いったいどうやるの!? BLにおけるED克服法とは?

BL

公開日:2013/11/20

20代や30代といった若い人の間で増加しているというED(勃起不全)。男は繊細な生き物だと言われるが、若い人のEDもストレスや精神的なものが原因になっているよう。こんな現実を反映してなのか、なんとBLの世界でもEDキャラたちが増えてきているのだ。そこで、11月7日発売の『十年目のラブメソッド』(川琴ゆい華:著、北沢きょう:イラスト/アスキー・メディアワークス)や『かわいすぎてこまる』(黒崎あつし:著、夏珂:イラスト/幻冬舎)、『囀る鳥は羽ばたかない』(ヨネダコウ/大洋図書)といった作品から、彼らがどうやってEDを克服していくのか見てみよう。

 まず、女の子との初めてのエッチで失敗し、それが原因でEDになってしまった『十年目のラブメソッド』の宇海の場合。彼は、初めての相手にあそこを見られたとき「え、これマジ?」から始まって「ちょお、ウケるんだけど、マジであれみたい」とキノコ形のチョコ菓子を引き合いに出して「かぁわいい~」とはしゃがれたそう。それがトラウマになっていたのだが、実は、彼にその女の子以外に、ずっと忘れられずにいた人がいた。それが、かつて家庭教師をしてくれていた載寧理人。そのときは気づいていなかったが、実は彼に恋をしていたのだ。その証拠に、理人と再会してから宇海のなかには「もしかして男が好きなのかもしれない」という仮説が浮かぶ。もしかしたら、彼と同じように自分の本当の恋愛対象をわかっていなかっただけということもあるかもしれない。

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 あるいは、『かわいすぎてこまる』の名取和真のように、EDになった原因ときちんと向き合うことで克服できることもある。かつての恋人であり、教師でもあった千葉淳也がレイプされ、その肌に残った生々しい暴力の跡を目の当たりにし、頭と身体が一気に冷え、それからEDになってしまった和真。その後も淳也のことは忘れられなかったが、彼の面影が浮かんでも見て見ぬふりをしていた。そして、もう恋人はできないと諦め、小さなパン屋をひとりで開いていたのだが、バイトでやってきた小さくてよく働く大久保菜人に徐々に惹かれていく。そのまま一度は彼と結ばれ、EDは治ったかと思われたが、酔っ払いに殴られた菜人の顔を見てまたEDになってしまう。でも、最終的にはもう一度淳也に会い、お互いに当時どんなことを思っていたのか言い合えたおかげで、本当に克服することができた。やはり、根本的な問題にきちんと向き合うことが大切なのだろう。

もう1つは、『囀る鳥は羽ばたかない』の百目鬼のように、自分で戒めているパターン。彼は、自分の父親が義理の妹をレイプしている現場を見てしまい、父親を殴って刑務所入り。その後EDになってしまったのだが、「自分の中から欲求そのものが脱け落ちてる」ことに気づいても、問題だと思わなかった。なぜなら、「自分は父親とは違う」と思えたから。その後、ヤクザである矢代のもとに付き人兼用心棒として雇われることになるのだが、はじめは「この人の髪に触れるのが好きだ」と思う程度だった。しかし、彼の優しさや不器用さを見て、徐々に心と体に変化が現れる。そして、百目鬼の初体験の話を聞きながら、彼の膝を枕にして自慰にふける矢代を見ていたら「勃ってしまう気がした」ので、途中からは憶えていないと嘘をついた。もし勃ってそれを矢代に知られたら、そばに置いてもらえなくなる気がしたのだ。だから、いつもなら「シャクらして」と言われればされるがまま一切抵抗しなかったのに、それを自覚してからは「今日は勘弁して下さい…」と断るようになる。彼の場合、自分の気持ちを解き放ちさえすれば、きっと克服することができるはずなのだ。

 こんなふうに、症状や原因によってもさまざまな対処法があるようだが、何よりも大切なのはまず本人がきちんとそれに向き合うことなのかもしれない。

文=小里樹