ドラクエ、FF、ハリポタ…あの魔法世界の元ネタは?

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更新日:2014/1/29

 最近「ライトニング リターンズ ファイナルファンタジー13」が発売された「ファイナルファンタジー」シリーズや、RPGの基礎を作り、いまだに根強い人気を誇る「ドラクエ」シリーズ、物語が完結した後もUSJでアトラクションが作られる「ハリーポッター」シリーズなど、魔法世界を舞台にしたファンタジーは世界中の多くの人から愛されている。そんな魔法世界にも、さまざまな伝承にまつわる元ネタがあるよう。そこで、11月19日に発売された『魔法世界の元ネタ図鑑』(ヘイズ中村、魔法研究会/学研パブリッシング)から、魔法世界に登場するキャラ、アイテムの元ネタや、実際の伝承とは違う部分などを紹介してみよう。

 やはり、魔法世界の生き物と聞いて思い浮かべるのは、ドラゴンだろう。ドラクエシリーズでも看板モンスターとして扱われ、「典型的な西洋のドラゴン型から、東洋の竜型、実在した恐竜型」にいたるまで、さまざまなタイプのドラゴンが登場する。また、ファイナルファンタジーシリーズにも、敵キャラとしていろんなドラゴンが出てくる。そんなドラゴンの語源は、蛇を意味するギリシア語の「dorakon」。この語は「にらみつける」という意味の「derkesthai」とも語源的に近く、もともと蛇が獲物を「凝視する」行動に由来していたようだ。だから、もともと西洋でのドラゴンといえば蛇のようなものがイメージされていたのだろう。その後、四肢を持つものや翼を持つものなどが考え出され、ドラゴンのイメージも多様化していった。

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 また、「ファイナルファンタジー」シリーズでは欠かせないHP回復アイテムであるポーション。『ファイナルファンタジー12』以降は、現実世界でも清涼飲料水として発売され、話題になった。しかし、ポーションは直訳すると「水薬」のことなので、実際は病を治す薬だけでなく、命を奪う毒薬も液状ならこう呼ばれるという。ハリーポッターシリーズでスネイプが担当していた「魔法薬学」も、原語は「ポーション」。だから、この作品に登場するポリジュースや真実薬といった魔法の薬も、ほとんどがポーションなのだ。

 さらに、『ドラクエ8』から登場した錬金釜は、いくつかのアイテムを釜の中に投げ込むことでより強いアイテムをつくることができるのだが、その釜の名前を「カマエル」という。ダジャレだと思っている人が多いだろうが、実はとても偉大な天使の名前からきているのだ。カマエルの伝説には「ユダヤ・キリスト教の中での七大天使数えられており、ガブリエルとともにゲッセマネの園に出向き、イエスを励ました」というものから「天上の第6位階にあたる“能天使”の指揮官である」「悪魔を成敗する“破壊の天使”を率いて戦っている」といったものなどがある。本来なら、お釜に単なるダジャレでつけていいような名前ではないのだ。

 そして、「ハリーポッター」シリーズでは人気のキャラとして登場する「屋敷しもべ妖精」だが、ゴブリンから着想を得ているようなので、実際はドビーのようなかわいい友達ではない。ヨーロッパの伝承によると「洞穴や木立に棲息し、人間の子供をさらって食べる」と言い伝えられてきたもの。

 こういった元ネタまで知っていくと、また違った楽しみ方ができるかもしれない。

文=小里樹