学園生活はいつだってほろ苦い ―ブンガク!【第14回】―

公開日:2013/11/11

 中高生を中心に大人気の「ライトノベル」(通称ラノベ)。最近ではテレビアニメ化などの影響でファン層も拡大しています。そこで、ラノベって言葉は知ってても読んだことがない、という初心者向けに“超”入門コラムをお届け!代表的な作品の紹介や、楽しみ方について、作家や絵師など関係者への取材も織り交ぜながら、ラノベ風の会話劇でお送りします。毎月第1・3火曜に更新予定!

制作協力:代々木アニメーション学院 / 文=カンダ ユウヤ 絵=ましま


【前回までのおさらい】
○【第1回】ブンガク部が廃部ってどういうこと?
○【第2回】帰国子女でラノベ好きな美少女あらわる!
○【第3回】ブンガク部の救世主?顧問をさがせ
○【第4回】ラノベ好きな先生からの挑戦状
○【第5回】『東京レイヴンズ』作者・あざの耕平さんに聞いてみた
○【第6回】ラノベって女の子でも読めるの?
○【第7回】中二病でトラブルメーカーってなんなの?
○【第8回】教えて!大人でも楽しめるキャラクター小説
○【第9回】ラブコメはラノベの王道!?
○【第10回】スピンアウト・スピンオフってどういう意味?
○【第11回】なぜ人気?主人公が人外のライトノベル
○【第12回】6人目の部員は引きこもりですが、何か?
○【第13回】メンバー揃ったし学園祭の出し物を決めよう!

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★ブンガク部の部員名簿はこちら!★

~とある文具店~

桜井智樹(普)
「あ、えーと、テープとハサミ、そして折り紙に飾りつけと、あとは……」

石田健(普)
「……智樹! あと、これもじゃないか?」

桜井智樹(普)
「ああ、そうか……」

石田健(普)
「じゃあ……あれも、コレも、アレも、これもだ! 」

桜井智樹(怒)
「いくつ持っていくんだよ! ……てか、なんだよ、そのお菓子は!?」

石田健(普)
「徹夜用の夜食にだよ、徹夜用!」

桜井智樹(困)
「おいおい、何で徹夜が前提なんだよ!?」

石田健(普)
「な~んとなく……」

桜井智樹(怒)
「なんとなくかよ!」

~ブンガク部 部室~

桜井智樹(笑)
「おはようございます!」

石田健(普)
「チースッ! おはようございます!」

中島優斗(笑)
「やあ、二人ともおはよう!」

桜井智樹(普)
「先輩、学園祭で使う資材を買ってきましたよ」

中島優斗(困)
「お疲れ、ありがと……何だ、これ? やけに多めに持ってきたな!?」

石田健(普)
「い~や、それほどでも~」

中島優斗(困)
「いいや、褒めてないから」

石田健(普)
「ああ、そうだ、それと部誌の入稿データは田中先生に渡しておきました。明日には印刷工場に行って印刷してくれるみたいですよ」

桜井智樹(普)
「あれ、そういえば他のメンバーはどこですか?」

中島優斗(普)
「……確か、今川さんは部の出し物の申請に、唯ちゃんにはポスター張りに行って貰っているよ。あと直斗は……どこに行ったかな?」

桜井智樹(普)
「で、先輩は何をしているんですか?」

中島優斗(笑)
「ああ、僕はちょっとした予定表をね」

桜井智樹(普)
「予定表?」

中島優斗(笑)
「ようやく直斗も引きこもりを脱して、入部してきてくれたからね。だから、こうして部のこれからの予定を立てていたんだ。色々とやることが増えたからね」

石田健(普)
「……あの、そういえば直斗君は何で引きこもりになんかなったんですか?」

中島優斗(困)
「ああ、そうか。そういえば話してなかったね」

桜井智樹(普)
「何があったんですか?」

石田健(普)
「あ、それは俺も知りたいですね」

中島優斗(困)
「まあ、あまり人に話すことじゃないけど……知ってもらっておいたほうがいいかな。まあ話せば多少、長くなるんだけどそれでもいいなら……」

石田健(普)
「別に良いっすよ」

桜井智樹(普)
「僕もいいですよ」

中島優斗(普)
「……うん、じゃあ、当時、直斗は高校デビューしたてで浮かれていたのもあってか当時はちょっとやんちゃだったね」

桜井智樹(普)
「へえ、意外ですね、今の直人君からは想像もつきませんけど……」

中島優斗(普)
「まあね、直斗も直斗で当時はそれなりに高校生活を上手くやっていたんだ。だけど、夏の初めあいつにとってのちょっとした事件が起きたんだよ……」

石田健(困)
「……事件? 何か学校で問題でも起こしたんですか? もしかして停学とか!?」

中島優斗(普)
「いいや、そんな騒ぎになるほどのことではないんだ。それは直斗自身の問題であるというか……なんと言うか、原因は他にあるという感じかな」

桜井智樹(普)
「原因!?」

中島優斗(普)
「実はあいつね、当時、好きな子がいたんだ」

桜井智樹(困) 石田健(困)
「マジで!?」

中島優斗(普)
「ああ、そして直斗はその子に告白した」

石田健(普)
「で、どうしたんですか?」

中島優斗(困)
「残念だけど直斗は即フラれたらしい……“身長が低くて前髪が隠れているような人は嫌だ”と言われたらしいんだ。それ以来“やっぱり僕の青春ラブコメはまちがっているよ(※1)”とか呟きながら直斗は引きこもりになってしまったんだ」

Fate/Apocrypha

「やっぱり僕の青春ラブコメはまちがっているよ」(※1)
『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』(渡 航/小学館)

青春は嘘で欺瞞だ。リア充爆発しろ! ひねくれ者で友達も彼女もいない高校生・八幡が生活指導の先生に連れてこられたのは学園一の美少女、雪乃が所属する生徒の問題を解決する手助けをする部「奉仕部」だった。それから八幡は自分とは正反対のスクールカーストに属する由比ヶ浜結衣、中二病全開の材木座義輝、テニス部員で可愛い女子にしか見えない戸塚彩加達と共に依頼を解決していく、青春は残酷だ!?ひねくれ男の妄言ラブコメ。2013年4月にテレビアニメ化された。

桜井智樹(困)
「ええ、なんじゃそりゃ!!」

石田健(困)
「直斗君、けっこう苦労したんすね」

中島優斗(普)
「うん、今となっては直斗にとってこれは封印しておきたい黒歴史みたいなものだからね。あんまし触れないでやろうと思うんだ……」

桜井智樹(困)
「……あ、先輩、先輩!」

中島優斗(普)
「ん?」

中島直斗(困)
「……兄さん」

中島優斗(困)
「あ、直斗!?」

中島直斗(困)
「……兄さんの、兄さんの……馬鹿野郎!!」

中島優斗(困)
「え、えええぇぇぇ……!!!」

中島直斗(困)
「兄さんなんか、ある日、爆弾がおちてきて、その子と一緒に吹っ飛んじまえぇ!(※2)うわわああぁぁん!」

Fate/Apocrypha

「ある日、爆弾がおちてきて、その子と一緒に吹っ飛んじまえぇ!」(※2)
『ある日、爆弾がおちてきて』(古橋秀之/アスキー・メディアワークス)

『人間じゃなくて“爆弾”? はい、そうです。最新型ですよ』と、ある日、空から落ちてきた50ギガトンの爆弾。だが、なぜか、それは昔に好きだった女の子に似ていた。そして胸にはタイマーがカチカチと音を立て時を刻んでいた。表題作に「都心に投下された新型爆弾とのデート」を含めた、七つの温かくておかしくて、ちょっとフシギなお話で贈るボーイ・ミーツ・ガールな物語。2013年にテレビドラマ『世にも奇妙な物語 2013年 秋の特別編』で実写ドラマ化された。

中島優斗(困)
「な、なに!? 待て、直斗! カムバック! カムバック……」

佐藤唯(困)
「ただいま戻りました。……あの、さっき直斗君が部室を飛び出していきましたけど何かあったんですか?」

石田健(困)
「ああ、実はね……」

田中先生(困)
「……た、たたた、大変だーッ!!」

中島優斗(困)
「て、今度は何だよ!?」

佐藤唯(普)
「あ、田中先生……」

桜井智樹(普)
「ど、どうしたんですか?」

田中先生(困)
「い、いや、それがね、実はさ、それがあれでね……」

中島優斗(困)
「はあ? とりあえず落ち着いて喋ってください!」

田中先生(困)
「あ、ごめん、ごめん、実は……その、部誌の入稿データをね……」

中島優斗(困)
「部誌の入稿データがどうしたんですか?」

田中先生(困)
「……部誌の入稿データをね、紛失してしまったんだー!」

中島優斗(怒)
「……な、なんじゃーそりゃーッ!?」

石田健(困)
「……あはは、やっぱり徹夜っスかね、コレ?」

桜井智樹(普)
「……あはは、だね」

……つづく

次回予告

佐藤唯(笑)
「こんにちは佐藤唯です!」

今川凜子(普)
「同じくこんにちは今川凜子!」

佐藤唯(普)
「なんかブンガク部が大変なことになってきましたね」

今川凜子(普)
「そういえば何があったの唯ちゃん?」

佐藤唯(普)
「私もよく分からないんですけど優斗先輩が直斗君の暴露話をしたらしいんですけど……」

今川凜子(普)
「それは大変、直斗君がまた引きこもりになってしまうかも……」

佐藤唯(困)
「え、それは困ります! では……」

今川凜子(笑) 佐藤唯(笑)
「次回の『ブンガク!』もお楽しみに!」