阿笠博士ではなかった!? 名探偵コナンの黒幕「あの方」とは一体……?

マンガ

更新日:2015/3/16

 11月18日には単行本の81巻が発売され、12月7日には映画『ルパン三世vs名探偵コナン THE MOVIE』も公開される『名探偵コナン』。連載開始からそろそろ20年が経つというのに、いまだにその人気は衰える気配を見せない。現在は黒の組織に迫る新章へと突入しているが、やはり気になるのが黒の組織のボスである「あの方」とは一体誰なのかということ。黒の組織のメンバーには、ジンやウォッカ、ベルモットのように、お酒にちなんだコードネームがあることはご存知だろう。そして、実は「アガサ」という名のカクテルがあることから、阿笠博士が黒幕なのではないかという説が出たこともあるのだ。

 しかし、実際には「クラブサンデー公式ブログ」で2011年10月に行われたインタビューの「黒ずくめの組織のボスは誰ですか!?」という質問に対して、作者の青山剛昌自身が「阿笠博士じゃないよ(笑)」とハッキリ否定しているのだ。

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 それならば、本当の黒幕は誰なのか。11月9日に発売された『名探偵コナンの真相 第2版』(コナン追跡隊/データ・ハウス)から、“あの方”につながるヒントを紹介してみよう。

 まず、作者は阿笠博士じゃないということ以外にも、いくつかのヒントをあげている。たとえば、2006年1月13日の朝日新聞では「実は、ボスの名前はすでに原作のどこかに出ている。捜してみて下さい」と語っているらしい。だから、少なくとも53巻のFILE 8「釘とへび」までには登場していることになるという。「どこかに出ている」「捜してみてください」と書いていることから、あの方はメインキャラクターではない可能性が高く、さらにわざわざ「ボスの名前は」と書いていることから、本人はまだ登場していないのではないかと考えられる。そこから導き出される人たちは、以下の面々。

 1人目は、FBI捜査官でジョディ・スターリングたちの上司であるジェイムズ・ブラック。ジェイムズという名前は、シャーロック・ホームズの宿敵であるモリアーティ教授のファーストネームと同じなのだ。さらに、「あの方」のメールアドレスを打ち込むと童謡の「七つの子」の出だしに聞こえるのだが、それは「あの方」の正体を暗示するものでは…? と考えた人も多い。その点、ジェイムズ・ブラックの名前にはカラスの色である黒=ブラックが含まれている。あるいは、ジェイムズ・ブラックに全く同じ名前の兄弟がいるのではないかという可能性も考えられているよう。ホームズの宿敵・モリアーティ教授にも、同じ名前の兄弟がいた。ミステリ好きからしてみると、これもなかなか粋な展開なのかもしれない。

 2人目は、新一の実の父である工藤優作。妻である有希子の友人が黒の組織の一員だったり、彼が生み出した「闇の男爵」の正体を明かしていないこと、新一をも上回る頭脳の持ち主であることなどから、この説が浮上しているよう。

 3人目は、阿笠博士の伯母にあたる阿笠定子。冒頭で「アガサ」というカクテルがあると書いたが、実はそのカクテルの正式名称は「アーント・アガサ」。つまり、アガサおばさんとなるのだ。

 4人目は、大富豪だった烏丸蓮耶。自分の館に隠された財宝を見つけるために学者を集めたが、なかなか手がかりがつかめないと次々に彼らを殺した。すでに亡くなっているとされているが、そのときですら100歳を超える長寿。黒の組織が研究しているものが不老不死に関するものならば、死んだとされる年から40年以上経った今でも生きている可能性は高いのかもしれない。

 5人目は、美國島で行われた儒良祭りの名簿に書かれていたという大黒連太郎。その名簿には、灰原愛の本名である宮野志保やウォッカの裏設定上の名前である「魚塚三郎」、同じくジンの裏設定上の名前である「黒沢陣」という名前が3つ並んで書かれていたよう。もちろん、名簿に名前が載っていただけなのでどんな人物かは一切わからない。ただ、服部平次が大黒連太郎の名前が書かれたページを見て「元外務大臣に官房長官に日銀の総裁!! 昔、日本を動かしとったお偉いさんがぎょーさん名前連ねてんでー!!」と言っていたことから、日本にとっての重要人物だと考えられる。彼には、黒幕に似合いそうな条件がバッチリそろっているのだ。

 いよいよ、物語もクライマックスに近づいてきている。ここからは、ただそれぞれの話を楽しむのではなく、こんなふうに過去の発言と照らし合わせながら自分なりに「あの方」を予想してみるのも楽しいかもしれない。

文=小里樹