最注目アニメ「キルラキル」のスピード感はマンガでも味わえるのか?

マンガ

公開日:2013/12/22

 今期のアニメのなかで、その熱血っぷりと演出やスピード感で注目を集めている『キルラキル』。それもそのはず。燃え系アニメと言われるほど熱い『天元突破グレンラガン』の主要スタッフが独立して立ち上げた、新鋭のアニメスタジオTRIGGERが手がけているから。

 学園バトルものである『キルラキル』は、主人公の女子高生・纏流子(まとい りゅうこ)が父の仇を取るため、殺害現場に残されていた巨大な片太刀バサミの謎を追って本能字学園に転校するところから始まる。その学園には、絶対君主の生徒会長・鬼龍院皐月がおり、彼女が認めた人物だけが着ることのできる特別な制服がある。その“極制服”と呼ばれるその制服を着ると、どんな人でも強大な力を得ることができるというのだ。そんな『キルラキル』(あきづきりょう:著、中島かずき:監修/角川書店)のコミカライズが12月2日に発売されたのだが、その特徴であるスピード感はマンガでどう表現されているのだろう?

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 まず、視覚的なところで見てみると、とにかく効果線やキャラクターが画面に向かって飛び出してくるような構図を用いることで勢いを表現している。たとえば、流子のクラスメイトである満艦飾マコが、流子に抱きつこうと飛びかかってくるシーンや流子が皐月に襲いかかろうとするシーンでも、まるで読者に向かって飛んできているような構図になっているのだ。それに、効果線の上からさらに別の効果線を重ねることで勢いを増してみたり、線の種類や入れ方、角度にも工夫が凝らされている。

 また、マンガには時間の流れをゆっくり見せるには縦長のコマを、体感時間を短くし、勢いを出したいなら横長のコマ、スピード感を演出したいなら斜めのコマを使うといった技法があるのだが、そういった技法もきちんと取り入れて演出されているのだ。戦闘シーン以外で斜めのコマが使われているところはほとんどなく、人質に取られたマコを救出しに向かうシーンは、マンガの上半分が見開きブチ抜きになっている。

 そして、特にギャグマンガやバトルものに欠かせないオノマトペは、その言葉だけでなくフォントや使うシーンにもこだわって多種多様なものを駆使している。頭に物が当たったときの「ドスッ」には、トーンで何重にも影が付けられているので、身体がブレる感じが伝わってくる。また、あるキャラが2段階で落ち込む際には横書きの「ずううううん」から縦書きの「ズウウゥン」に変化するし、テニスボールをあてられてボコボコになった流子には、カケアミだけで書かれた「ボロッ」の文字が。こうやって、オノマトペ自体にも変化をつけることでキャラの動きを表現することができ、勢いのある中でもさらに緩急をつけることができる。マンガならではの、アニメとはまた違ったスピード感を楽しむことができるのだ。

 1巻はアニメに忠実に進んでいるようだが、作者はTwitterで「そろそろこっそりジワジワと自分の色とか出していければなぁと思っちょります」とつぶやいているので、2巻からの展開にも期待したい。

文=小里樹