星降る夜にロマンを感じるSF&ファンタジー文庫

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/22

年の瀬も迫り、2014年まであと少し。今年をふりかえりつつ、新しい年の新しい自分に想いを馳せる人も多いだろう。この時期、注目されるのが「来年の運勢」。その道筋をひもとく重要なアイテムが「星座」だ。きらり輝く星は、実は何万光年も遠くにあるという。見えているものがすべてではなく、見えていないもののほうが時に大切だったりもする。古(いにしえ)から星はわたしたちを導き、照らしてきた神秘に満ちた存在なのだ。

ダ・ヴィンチ』1月号では、いくつもの時空と時間を超えて壮大な宇宙へのロマンを与えてくれる星降る夜にぴったりのSF&ファンタジー文庫を紹介。

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■『星を継ぐもの』 ジェイムズ・P・ホーガン/著 池 央耿/訳 創元SF文庫 735円
月面の洞窟で死体が発見された。それが何者なのかはわからない。しかし彼は5万年以上前に死んでいた。さらに日記のような手帳が見つかり別の場所からは新たな14体の死体が発見され……。人類の起源は? 別の星に文明が存在する? 謎が謎を呼ぶSFミステリー。

■『ペルセウス座流星群 ファインダーズ古書店より』 ロバート・チャールズ・ウィルスン/著 茂木 健/訳 創元SF文庫 1260円
9編の短編が、謎めいたファインダーズ古書店を主軸にして、ゆるりと繋がっている。表題作の「ペルセウス座流星群」は、人の心の移り変わりを、夜空の流星の流れになぞらえて描かれたもの。壮大な宇宙の営みと、人の心や、人の日常に棲む狂気が混ざり合う幻想文学。

■『新装版 ムーミン谷の彗星』 ヤンソン/著 下村 隆一/訳 講談社文庫 520円
ある日、ムーミン谷の空や川、庭がどす黒くなってしまった。その理由は、彗星が地球にやってくるからだとか。ムーミントロールとスニフは彗星を調べるため、川を下ったところにある天文台に向かう。途中、スナフキンと出会い、3人は冒険を続けていくが……。ファンタジーあふれる作品。

■『星月夜の夢がたり』 光原百合/著 鯰江光二/絵 文春文庫 770円
星や月、夜空に直接関連する物語は「海から来るモクリコクリ」「かぐや姫の憂い」「天ペガサス馬の涙」「天の羽衣補遺」「遥か彼方、星の生まれるところ」だが、32編の物語は、星のかけらのように、どれもきらめき、すべて輝いている。イラストも美しい。

同誌では他に2冊を紹介するほか、星の神秘をひもとく天文学的な文庫3冊も紹介。年越しは夜空を見上げながら、ファンタジーなひとときを過ごすのもいいかもしれない。

構成・文=大久保寛子/ダ・ヴィンチ1月号「文庫ダ・ヴィンチ」