酒量をちょっと減らしたい人が知っておくべき、お酒の数字

健康

公開日:2014/1/7

 怒涛の年末年始が過ぎ去り、さぞやあなたの肝臓はお疲れのことでしょう。「疲れた」くらいならよいけれど、好きな人の前で記憶をなくして醜態をさらしたり、ついウッカリ骨折してしまったりと、「もう一生酒は飲まない!」と、ついできもしないことを口走ってしまう“ちょっと痛い人”が急増するのも毎年のこと。

 ……こんな自分を今年こそはどうにかしたい……くぅぅ(涙)。

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 アルコール医学の第一人者で、「エタノールパッチテスト」の考案者である国立病院機構久里浜医療センター院長の樋口進氏の著書『お酒が減らせる練習帳』(メディカルトリビューン)によると、お酒を無理にやめる必要はなく、ある一定量まで減らせば、健康や社会生活への悪影響はだいぶ軽減されるそう。まずは実現可能かつ具体的な目標を定めて、自分の飲酒量や飲み過ぎてしまうパターンを探るべし。早速、そのために必要なお酒にまつわる“数字”を見ていこう。

1.お酒の単位“ドリンク”で自分の飲酒量を知る
 お酒に含まれる純アルコール量の共通単位である“ドリンク”を使うことで、さまざまなお酒に含まれるアルコール量をほぼ正確に把握することができる。毎回の飲酒量をドリンク換算して手帳につけるだけで、飲酒量は減ることが医学的にも確認されているのだ。

 生活習慣病のリスクを高めるドリンク数は、一般的に男性で1日4ドリンク、女性で2ドリンクといわれている。よって、日々の飲酒量は中年男性2ドリンク以下、女性・高齢者1ドリンク以下に留めておくのが理想。ドリンク数は〔アルコール量(g)÷10g〕で換算されるため、アルコール度数の違いから多少の違いは出るものの、目安を覚えておこう。

ビール・発泡酒・第三のビール (350ml缶/5%) 1.4ドリンク
ビール 中ジョッキ (500ml/5%)   1.5ドリンク
日本酒 1合(180ml/15%)  2.2ドリンク
ワイン グラス1杯(120ml/12%) 1.2ドリンク
ウィスキー シングル(30ml/40%)  1.0ドリンク
ウィスキー ダブル(60ml/40%)  1.9ドリンク
焼酎・泡盛(180ml /20%) 2.9ドリンク
焼酎・泡盛(180ml /25%) 3.6ドリンク
焼酎・泡盛(180ml /30%) 4.3ドリンク
焼酎・泡盛(180ml /35%) 5ドリンク
梅酒(180ml /14%) 2ドリンク

2.休肝日は1週間に2日とる
 飲酒による脂肪肝は、多量のアルコール分解に伴い、中性脂肪がたくさんつくられるために起こる。脂肪肝は、たまった脂肪のために肝臓が黄色く変化するが、減酒か断酒すればもとのきれいな肝臓に戻る。これを怠り、飲酒を続けると、肝臓の細胞が壊され、硬い線維質に置き換わり、肝硬変になるリスクが。1週間に2日は飲まない日を設け、働き尽くめの肝臓を休ませよう。

3. ビール中ビン1本を飲酒したら、最低5時間は運転しない
 アルコールの分解速度は1ドリンクあたり2時間30分程度。医療関係者で作るアルコールや薬物に関する3つの学会は、飲酒運転を予防するために「飲酒したら、運転するまでに〔飲酒量(g)÷4〕時間以上待つ)ことを呼びかけている。

4.男女とも約3割がアルハラ被害の経験あり
 お酒に酔った人が飲酒を強制したり、暴言をはいたりする、いわゆる「アルコールハラスメント」(アルハラ)の被害を受けたことがあると答えた人は、2003年の調査において、成人男性31.3%。女性26.3%。被害を受けた約4割が、その後の生き方や考え方に影響を与えたと回答。健康被害や飲酒運転、アルハラなどアルコールに関連した社会問題の多くは、1日平均6ドリンク(純アルコール度60g)を超える飲酒者が引き起こしている。

 種類が増えたノンアルコールドリンクを利用したり、減酒仲間を作って飲酒の頻度や量をチェックしあったりと、無理なく進めることが減酒成功への第一歩。自分を責めるのも、周囲の人が「努力が足りない、だらしない」と非難するのも逆効果。パートナーの減酒をサポートする場合は、目標が達成できなくても、がんばった部分やよかった部分を見つけて、励ますほうがより効果的なのだとか。ぜひ、実践してみよう!

文=山葵夕子