向井理、綾野剛、天海祐希、武井咲、古田新太……今クールも大量放映! 警察ドラマの意外なトリビア

テレビ

公開日:2014/1/20

 警察ドラマといえば、もはやどのクールでも見ないことはない定番もの。1月からも、向井理と綾野剛のW主演で初回視聴率18.9%を記録した『S-最後の警官-』(TBS系)や、天海祐希主演の『緊急取調室』(テレビ朝日系)、檀れいが初の刑事役を務める『福家警部補の挨拶』(フジテレビ系)、杉本哲太に古田新太のあまちゃん俳優コンビの『隠蔽捜査』(TBS系)、武井咲が新米刑事を演じる『戦力外捜査官』(日本テレビ系)など、大量の警察ドラマが放送される。これほど根強い人気を誇る警察ドラマだが、人気を左右する大きな要素のひとつに、そのリアルさがあげられるだろう。そのために欠かせないのが警察監修の存在。元警察官で数々の警察ドラマに監修者として携わってきた倉科孝靖が警察ドラマについて語った『「警察ドラマ」のトリビア ドラマを100倍楽しむために』(竹書房)から、警察や警察ドラマのトリビアを紹介してみよう。

 『相棒』のスピンオフとして、鑑識の米沢守を主人公にした映画『鑑識・米沢守の事件簿』が作られ、注目を集めた鑑識の仕事。『福家警部補の挨拶』で福家警部補に従ってしまう二岡や『戦力外捜査官』の採証マニア・中西のように、今期も個性的な鑑識官の活躍が見られそうだが、彼らのすごいところはTVドラマではまったく描かれない日常業務にも表れている。なんと、足跡係は普段「靴の見本市が開催されている会場に出向いて、データベース化されていない靴の足跡を全て写真撮影」しているというのだ。これはタイヤも同様らしく、事件を抱えていないときも常にデータを収集し、最新のものに更新し続けている。ドラマに登場する鑑識官と同じように、よほど好きでなければ続けるのは大変そうだ。

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 また、捜査本部の入口脇には必ず貼られている捜査本部名。「月島運河女性警察官変装水死体事件特別捜査本部」や「春海橋河川敷工員射殺事件特別捜査本部」といったように、やたらと長い本部名が達筆な字で書かれている。これを警察は「戒名」と呼んでいるそうだが、誰が名付けて、どんな人が書いているのか気になったことはないだろうか。名付けるのは事件現場に臨場する捜査一課の庶務担当管理官で、これを書いているのは各警察署に配置されている書道4段5段の署員。彼らの普段の仕事は、なんと「年賀状や暑中見舞い、各種団体連絡協議会の案内状の宛名書き」なのだ。確かに細分化されている警察組織だが、そんな仕事にまで担当の警察官がいるなんて驚きだ。

 さらに、『相棒』のムードメーカー的存在である角田六郎は、現在組織犯罪対策課5課の課長になっているが、放映当初からシーズン4までは生活安全部薬物対策課課長だった。「暇か?」が口癖の角田だから、彼のいた生活安全部はよっぽど暇なのかと思ったかもしれないが、実はまったく暇じゃないのだ。ここでは、経済事犯から環境事犯まで幅広い事件を扱っているので、産業廃棄物の不法投棄取り締まりや風俗営業、賭博、売春、少年事件、ストーカー被害、児童ポルノ法違反取り締まり。今まさに活躍が期待されているサイバー犯罪対策も生活安全部の管轄なのだ。ちなみに、自分の名前で架空口座が作られていないか調べたいときは「口座手渡し」と入力すると「○○銀行の口座、七万円で売却します」というようなページが出てくるので、そこから自分が作った口座かどうかを確認すればいいそう。警察には、こういった検索のテクニックを必要とする課もあるのだ。

 しかし、ドラマはあくまでもフィクション。だから、リアリティにこだわりながらも、実際とは異なる部分も出てくる。たとえば、ドラマでは必ず登場するホワイトボード。ここに事件の概要や写真を貼っているのだが、実際はすべて口頭で伝達するそう。これは、視聴者にできるだけわかりやすく情報を伝えるため。同じように『臨場―劇場版―』で遺体の検視を行う際、「吉川線」や「手掌面」といった医学用語や専門用語は復唱しながら記録するようにしてもらったという。

 こういった警察監修の細かい気配りも、警察ドラマの人気に一役買っているのだろう。今後も、ますますいろんな部署や人物にスポットを当てた警察ドラマが登場してくると思うが、こんなふうにトリビアも合わせて知っていれば、ドラマを何倍も楽しめるかもしれない。

文=小里樹