本好きたちの出会いの場? 話題のブックイベントとは

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/22

かつてこれほど頻繁にブックイベントが開催された時代があっただろうか。都会では連日連夜、トークイベントが行われ、著者との距離は近くなる一方。さらにここ数年、ビブリオバトルを筆頭に “本のプレゼン合戦”も盛んになってきた。『ダ・ヴィンチ』2月号では、語る、薦める、知り合うためのツールとしての“本”に、ライターの北尾トロが着目。なかでも娯楽性&ゲーム性の高い“ブックポーカー”に潜入取材を行っている。

ブックイベントには豊かな可能性がある。そう考えるのは私だけではなく、ブクブク交換やビブリオバトル以外のイベントがあるという情報を編集Kが見つけてきた。ブックポーカーなる催しだ。まだテスト段階というが、興味をそそられて見学に出かけることにした。

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ブックポーカーは、参加者が持ち寄った本を、制限時間内で会話することで的中させるゲーム性の高いもの。時間がくると持参本を並べ、誰がどの本を持ってきたかを推理した用紙を提出する。

初回ということで、主催者は参加者の動向を見つつ、臨機応変に対応していた。たとえば人数。あまり多いと十分に会話できず推理が進まないため、数名ごとのチームに分けて当てっこを行う。1回戦が終わるとチームを組み直す方式だ。会話のルールはタイトルを口にしないことだけ。著者名などを聞かれたらどうするのと心配になったが、それをしたらゲームが台無しになることを参加者はすぐ理解したようだった。そもそもブックポーカーは勝ち負けを競うことが目的ではなく、本好き同士がコミュニケーションを図ることが第一なのだ。

要領がつかめずざわついていたのは5分間くらいだろうか。以後はメモ帳を片手に聞き込みに精をだす人が目立った。聞いていると、本そのものではなく、好きなジャンルや読んだ時期から、趣味、仕事まで会話の中身は幅広い。そのうえで、本のどこに感銘を受けたのかと踏み込んだ質問をぶつければ、おのずと正解に近づける寸法。本好きが集まるだけに正解率も高く、狙い通りといえるだろう。まだ完成度は低いけれど、アイデアを持ち寄って磨きをかければ、先が楽しみな企画だ。

ただ、相手の趣味(本も含め)などを聞き合うことに多くの時間を割くスタイルには、出会い系パーティーっぽさも感じた。それだとどうしても“個”の力が前面に出て、ルックスが良かったり話がうまい人が有利になる。あと、情報収集に力が入れば入るほど、場内から笑いが少なくなることも気になる。フムフム、課題はそこだな。

「ヤル気になってますね」

あたりまえだよ編集K。まだ確立していないジャンルだからこそおもしろがらなきゃ。ビブリオバトルでもブックポーカーでもないイベントを、我々の手で編み出してみようじゃないか。

同誌では、本好きたちが本当に楽しめるブックイベントを北尾らが試行錯誤のうえ実施開催! その様子をルポ形式で掲載している。

取材・文=北尾トロ
(『ダ・ヴィンチ』2月号「走れ! トロイカ学習帖」より)