のぞき、レイプ、Hすぎる授業…本当はエロいシェイクスピア

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/22

ロミオとジュリエット』や『リア王』、『ハムレット』など、シェイクスピアといえば、格調高い名作を生み出す作家として有名だ。しかし、『本当はエロいシェイクスピア』(小野俊太郎/彩流社)によると、そんな彼の作品にも、のぞきやレイプといったエロシーンが多々あるというのだ。

たとえば、純愛として有名な『ロミオとジュリエット』。ここで描かれている時代で、男性が女性の手を握る口実となるのは、社交的なダンスのパートナーになることと手相を見ることだったそう。でも、ロミオはそれだけでは我慢できずに、ソネットと呼ばれる詩のやりとりのなかでジュリエットの手の平にキスしたいとお願いし、彼女に拒まれると今度は唇にキスさせてほしいとさらにあつかましく言い寄るのだ。そして、ロミオはジュリエットを聖者に見立て「あなたの唇で、ぼくの唇から罪を追い出してくださいな」とキスをする。それに対して、ジュリエットが「それではあなたの罪が私の唇に移ります」と返すと、「あなたの唇から罪がですって?」「じゃああなたの罪をぼくに戻して」と言って2度目のキスをするのだ。しかも、この手を握りながらキスするまでに劇全体の2割の分量が割かれているというのだから、これをただの純愛というのはいかがなものだろう。

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また、『じゃじゃ馬ならし』ではエッチな個人授業が行われる。主人公であるカタリーナの妹で、世間ではじゃじゃ馬なカタリーナと違い、よくできた美人の娘だと思われていたビアンカ。金持ちの箱入り娘である彼女だが、彼女に一目惚れし、古典語の家庭教師に変装してやってきたルーセンチオと恋のレッスンを始めるのだ。「隣にならんで、足なぞくっつけながら」の授業なんてそれだけでも十分エロいのに、その内容も「愛し合うにはベッドルームや鍵のかかるドアが大切で、暗いほうがいいけれど、明るかったらカーテンで暗くしよう」といったかなり実践的なもの。そして、そのあと2人はキスをして練習の成果を確かめる。

さらに過激なのが、『夏の夜の夢』に登場する妖精の王オーベロン。彼は、夫婦喧嘩の復讐として女王タイターニアに「惚れ薬」を飲ませるのだが、自分の妻が他の男と寝ているところをセッティングして、「背後でじっと寝取られる様子を覗き見ている」のだ。しかも、その相手は妖精のいたずらで頭をロバに変えられてしまったロバ人間。おまけに、その場所は森の中なのだ。復讐や処罰のためとは言え、自分の妻である女王と下等な動物とみなされていたロバのベッドシーンを眺めているなんて、かなり歪んでいる。

こんなふうに、シェイクスピアの作品もエロティックな視点から切り取ってみれば、また違った楽しみ方ができるかもしれない。

文=小里樹