突然の心変わり。少女に何が起ったか ―ブンガク!【第19回】―
更新日:2014/2/13
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~ブンガク部 放課後~
「へえ~、高校生のラノベコンテストね。そんな話、初めて聞いたね」
「はい、田中先生もつい先日、決まったって言っていましたから僕のほうも驚いてばかりです」
「直斗君、スゲーじゃん! ああ、なら俺たちもコンテストに参加したかったな」
「……仕方ないだろう。応募できるのは二人までなんだから、良いじゃないか今回くらいは一年生に花を持たせてあげてもさ。ま、ちょっと羨ましいけどね」
「そうだな、俺達も来年がんばればチャンスがあるかも知れないしな」
「まあ、そのときは先輩たちみたいに進学と平行してやらなきゃいけないからダブルの意味で大変だろうけどね」
「ま、その時は、その時さ! 人生は楽あり苦ありってやつだろう。まあ、そんなに気にするなって!」
「君のその無駄なやる気と自信は本当にどこからくるんだよ!」
「ところで『ツギハギだらけじゃねぇか、この世の中』(※1)っていうキャッチコピーのラノベが面白いんだけど智樹、読むか?」
『ツギハギだらけじゃねぇか、この世の中』(※1)
『ツギハギ運命翅(バタフライ)』(熊谷純/オーバーラップ)
大規模な感染症が蔓延した新宿の街を舞台に人々はその出来事を忘れたかのように日々を送っていた。そして、そこには確かに人でない“なにか”が存在していた。多重人格の少年、モテたいとひたすら願うホスト、悪即斬をモットーにしたトラブルシューター、そして普通の幸せを願う普通じゃない少女の4人が織りなす、ジェットコースターストーリー
「急に話題を変えるなよ! 本当に唐突、過ぎるわ!」
「あはは……」
「ま、それより直斗君もがんばれよ、俺達も応援するからさ!」
「あ、はい、ありがとうございます!」
「ところでコンテストはいつ頃なの?」
「……多分、二月の終わりくらいかな」
「あ、先生!」
「やあ、直斗君!」
「はい、おはようございます!」
「おはようございます!」
「うん、おはよう、みんな!」
「……あ、先生、今日はコンテストの話をしにきたんですか?」
「まあ、そうなんだけど……」
「……どうかしましたんですか?」
「ああ、いやそのね……唯ちゃんがここ2~3日、学校に来ていないみたいで、どうしたのかなってね」
「え、唯ちゃん、学校に来てないんですか!?」
「う、うん」
「確かに最近、唯ちゃんの姿をブンガク部でも見ないね」
「なんかあったんですか?」
「まあね、それでなんかあったのかなと思ってさ。君達なんか知らない?」
「俺達はそういう話は聞いていませんね、なあ……」
「ああ、うん、そうだね……」
「僕も聞いていません、あ、でもこの前、唯ちゃん誰かと電話で話していたような」
「え、そうなの、誰と話してた?」
「え、さすがにそこまでは分からないですけど……」
「う~ん、そっか……でも、まあ教えてくれて助かったよ。ありがとうね」
「あ、はい……」
「……じゃあね」
「う~ん、先生なんかちょっと変だったな」
「あと唯ちゃんの事もな、本当にどうしたんだろうな?」
「う~ん」
「……あの先輩たち」
「ん?」
「僕、先ほどの話で少し心配な事があるので一旦、家に帰ってからちょっと唯ちゃんと話をしてきたいんですけどいいですか?」
「でも、コンテストも近いし、直斗君は何かやる事をしておいたほうが……」
「……ふ~ん、別に良いんじゃね、今日は特にやることもないし。な、智樹!」
「え、なにそれ、なんで僕に同意を求めるの!?」
「いいから、智樹、今日は俺達も帰ろう、なんならファミレスで飯でもおごるぜ!」
「で、でも……」
「……いいから行くぞ、智樹!」
「ええ!」
「……石田先輩、ありがとうございます。では先輩たち、僕は急ぎますから、また!」
「おう、いってら~!」
「ああ、また明日~」
~それから~
「……家にも訪ねてみたけど、唯ちゃんは留守か。他に心当たりもないし仕方ない、携帯に電話をしてみようか」
トゥルルル~♪ トゥルルル~♪ トゥルルル~♪
『……はい、唯です』
「あ、唯ちゃん。直斗だけど……」
『あ、直斗君ですか?』
「うん、休んでるって聞いたから心配したよ、大丈夫?」
『はい、私は大丈夫です』
「そっか、なら良いんだけど……あ、コンテストの作品のほうの調子はどう進んでる?」
『……あ、そのことなんですけど……』
「な、なに?」
『……私、そのコンテストを辞退しようと思います』
「え、なんで!?」
『ごめんなさい、勝手なことを言って、ちょっと訳があって参加が難しくなってしまって……』
「そんな……」
『……学校には明日からちゃんと行きますから大丈夫です』
「あ、でも……」
『本当に大丈夫ですから、心配してくださってありがとうございました。じゃあ、また明日……(ブツッ)』
「あ、待って! ……唯ちゃん、どうしたんだろう?」
……つづく
次回予告
「こんにちは石田健です!」
「同じくこんにちは桜井智樹です!」
「いいや、唯ちゃんはどうかしたのか、心配だな」
「そうだね~、直斗君も大変みたいだし二人とも大丈夫かな?」
「まあ、ここは先輩らしく温かく見守ろうぜ! では……」
「次回の『ブンガク!』もお楽しみに!」