二郎のラーメンは性欲を刺激する? 超人気グルメの解剖学

食・料理

更新日:2014/1/31

 何時間並んだって食べたいものがある。中毒的に食べたくなってしまうものがある。何故、私達はこんなにも食に突き動かされてしまうのだろうか。

 『あれは錯覚か!? 超人気グルメのぶっちゃけ解剖学 教授3人がヒットの“なぜ”を紐解く』(笠岡誠一、都築馨介、横川 潤/柴田書店)では、ありとあらゆる「大人気グルメ」の人気の秘訣について栄養学、生理学、マーケティングの視点から考察している。なぜ売れるのか、なぜ行列ができるのか、なぜ食べてしまうのか…。その理由を紐解くことでヒット商品の真相が見えてくるらしい! 早速、私達も「大人気グルメ」の秘密に迫るとしよう!

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■「上あご」は生殖器と同じ快感を得ている!? ラーメン二郎の中毒性
 例えば、この本で最初に取り上げられているのは、驚きのボリュームと美味しさでカルト的人気を誇る「ラーメン二郎」。二郎は、並盛りに肉、野菜、脂、ニンニクを加えて行くと、なんとそのカロリーは1600キロカロリーに及ぶという。一般的な醤油ラーメンは一杯500キロカロリー程度であるから、二郎のラーメン一杯で通常の醤油ラーメン3杯分のエネルギーを摂取することになる。おまけに総エネルギーの中身は60%が脂質。二郎のラーメンを食べるだけで1日の適切な脂肪の摂取量を超えてしまうそうだ。

 だが、二郎は「ジロリアン」と呼ばれる熱烈なファンを魅了しつづけている。これは二郎には中毒性があり、人にとんでもない快感を与えるためらしい。高脂質の食品は脳内でのドーパミンや麻薬様物質であるβ-エンドルフィンの放出を増加させ、人に「もっと食べたい」という欲求を起こさせる。おまけに二郎の太い麺は、歯ごたえだけでなく、口腔内の天井部分、上あごの奥のところにある「軟口蓋」に物理的な刺激を加えることで、快感を与える。軟口蓋は生殖器と同じくらい敏感。程よい刺激は快感となるし、強い刺激はβ-エンドルフィンを放出させる。これが食べ始めると、「もっと食べたい」と思い、食べ終わると、「まだ食べたい」という欲求に繋がってくるのだという。この本の中で、文教大学健康栄養学部管理栄養学科准教授・笠岡誠一は「最近の男性は”草食系”なんて呼ばれていますが、本来の性欲を満たす代わりに口の中で性欲を満たす、みたいなこともあるのではないでしょうか」との驚きの説を提唱している。

■パンケーキはラーメン二郎に似てる?
 二郎はそのボリューム満点のラーメンから、完食後に「達成感」や「征服感」を与えるとも述べられているが、これと似ているというのが、近年ブームの「パンケーキ」だ。例えば、ハワイ発祥の「エッグスンシングス」のパンケーキは直径11cm、厚さ1cmでその上に高さ15cmほどのホイップクリームがトッピングとともにこんもりと盛られている。エネルギーは1皿で合計1390キロカロリーもあり、女子はとてもひとりでは食べられない量だが、3~4人でシェアすれば、カロリーは決して高くはない。1時間程度並んだ後に出される豪華なパンケーキは食べる者の「精神的な欲求」を満たし、仲間とともに完食することが出来れば、「達成感」を与える。そして、ホイップクリームは後を引き、また食べたいという欲求を巻き起こさせる。まさに「パンケーキ版二郎」と笠岡は述べている。超人気グルメには思わぬ共通点もあるようだ。

 この本では他にも「俺のフレンチ」や「丸の内 タニタ食堂」から「ノンアルコールビール」「カップ麺」まで様々な人気グルメの秘密、クセになってしまう理由に切り込んでいる。超人気グルメを食べに行く前にぜひその人気の秘密もチェックしておこう!

文=アサトーミナミ