Macユーザーは損をしがち? 増税前に知りたい、賢い買い物術

マネー

公開日:2014/2/11

 あと数カ月で消費税が増税される。企業は増税後、いかに消費者に買い控えさせないか躍起になり、あらゆる策を練るに違いない。消費者はますます賢く買い物をするように心がける必要が出てくるだろう。

 エコノミストの吉本佳生氏は『スマホは人気で買うな! 経済学思考トレーニング』(日本経済新聞出版社)の中で、私たちが企業のホンネを知るための経済学思考について触れている。経済学思考はエコノミストが経済現象を分析する場合の考え方だ。経済の論理に裏付けられた企業の行動を読み解くことは、賢く買い物をしたい消費者にとってメリットが大きいと吉本氏はいう。

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 たとえば、「価格差別(差別価格)」という言葉がある。「価格差別」とは、「モノやサービスを売る店や企業が高くても買う客には高く売り、安くないと買わない客には安く売り、より多くの利益を得ようと狙うこと」だ。だが、「あなたは高くても買ってくれるお客さまですか?」と質問されて、「はい」と答える人はいるわけがない。そこで、企業にとっていかに顧客を見分けるかが重要なポイントになると吉本氏はいう。

 この顕著な例がクーポンだ。有効期限などの使用条件を細かく決めたうえで配布することで自己選択型の価格差別のツールとなっている。企業はいわばクーポンを通じて顧客が価格に敏感かどうかをテストしているのだ。クーポンの有効期限通りに使うことができた者だけが安い商品を手にすることができる。

 このような「価格差別」は私たちの無意識のうちに行なわれていることがあるらしい。最近ではスマホに電子クーポン券を送る「ケータイクーポン」も普及しているが、これは全ての顧客にバラバラの価格を提示することができる完全な価格差別を狙うこともできると吉本氏は指摘する。「ケータイクーポン」は顧客ごとに異なる内容の電子クーポンを送ることも可能だ。買い物で絶対損をしたくない者はクーポンをよくチェックするだけでなく、それが本当にお得なのかどうか、きちんと見極める必要となる。

 スマホだけでなくパソコンも賢い買い物のための必需品となるだろう。だが、お得情報の検索にも注意が必要そうだ。吉本氏によれば、WindowsユーザーよりもMacユーザーに対し、より価格の高い商品を提示するサイトが存在することを指摘している。Macを使う人たちの年収は、Windowsパソコンを使う人たちよりも平均的に高いのだという。このことに基づいて、アメリカの大手旅行予約サイトでは実際にMacユーザーにはより高級な部屋を表示する設定にしていることもあるらしい。吉本氏によれば、これはデータ分岐を活用した価格戦略として話題な策だというから、日本においても導入されているかもしれない。

 賢い買い物をするためには、常に企業の意図を考えることが重要だ。なぜクーポンをバラまいているのか。なぜこれは無料で提供されているのか。それを経済学的思考で分析した上で、どう行動すれば自分にとって得かを考えれば、あなたも賢い買い物ができるに違いない。

文= アサトーミナミ