「セックスで女性ホルモン活性化」は眉唾! あの産婦人科医が女性誌にケンカを売る!

健康

公開日:2014/3/5

 女性誌の見出しに踊る「セックスできれいになる」の文字。さらには「女性のオス化」「布ナプキンで子宮にやさしい生活」「骨盤が歪むとこんなに悪いことが!」「私らしいお産」などなど、女性の体にまつわる健康情報は次から次へとアップデートされ、真贋もハッキリしないまま「もしかしたら私のこと?」と悩んだり、いったいどれを信じていいのやら、というカオス状態だ。

 その現状を見かね、「本来女性のためにある女性誌が、女性のカラダについて眉唾な情報をまことしやかに流し続け、その結果、女性を追いつめたり、健康を損なわせたり、人生の大事な選択を間違えさせたりすることは見過ごせません」「そんな訳で、私は女性誌にケンカを売ることにしました」というのは、産婦人科医・宋美玄先生の新刊『女のカラダ、悩みの9割は眉唾』(宋美玄/講談社)だ。そこでダ・ヴィンチニュースでは宋先生に直撃! なぜメッタ斬りすることに?

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「実際に診察室を訪ねてくる患者さんが、“私の不調の原因は、夫と夫婦生活がなくて女性ホルモンが足りないせいでしょうか?”“薬を飲むのは体に悪いので、なるべくオーガニックの力でホルモンバランスを整えます”など、女性誌の健康情報に影響されて、無いところに病気を作ったり、必要な治療を拒否したりする方が数多いので、全国の女性に知ってもらいたいと思って執筆しました」

 「恋愛やセックスをしないと女性ホルモンが出ずにオス化する、というのは眉唾情報であって、ホルモンの分泌量に影響を与えることはありません」と言う宋先生。じゃあ何が出るのか、という話は本書でたっぷりと説明されているので、一度でも「セックスすると、女性ホルモンが活性化してきれいになるんでしょ?」と思ったことのある人は、何にどう尾ひれがついてこんな話になっているのかをよーく確認して欲しい。ちなみに宋先生は、雑誌などで女性ホルモン活性化についてコメントしている人たちを見て「この人ら、ホルモンなめてるよなあ」とゲンナリしているそうです。

 では雑誌、そしてもっと間違い情報が氾濫するネット、出どころの怪しい口コミなど、あちこちで氾濫する健康にまつわる「眉唾情報」に踊らされないための「ヘルスリテラシー」、私たちはどんなところに気をつけるべきでしょうか?

「まずは基本的なカラダの知識を身につけることです。看護学生用の教科書などがおすすめです。また、情報に飛びつく前に、情報に客観的な根拠があるのか? イメージ戦略に囚われていないか? など疑う姿勢を持つことです」(宋先生)

 これまでに「◯◯が健康に良い」という情報を聞き、あわててスーパーへ買いに行ったことのある人、注意ですよ…。

 本書は「セックスではきれいにはならない」というところから始まり、ホルモンや冷え、ピルについて、そして妊娠、出産、更年期などに関する眉唾情報をバッサバッサと斬りまくる。しかし「宋先生、ケンカ売っとるな~」と笑いながら読み進めるうちに、だんだんと「んー、こんなに間違ったことがまことしやかに語られているんだ…」と感じることになるだろう。

 そして本書は女性だけでなく男性も必読だ。「勃起は副交感神経の問題で、リラックスしないとダメ」なのをいいことに「ペニスゆとり教育」で甘やかされている男性は、いかに女性の体を理解していない自分勝手な状態かを猛省することになるだろう。

 宋先生は「女性も男性も互いのカラダを知ること、妊娠・出産を女性だけの問題と思わないこと、女らしさ、男らしさを押し付けないこと、ですかね~」と語る。間違った情報を修正するためにも、そして手遅れにならないためにも、今すぐに読んでほしい1冊だ。

文=成田全(ナリタタモツ)