岩瀬大輔氏がアドバイス 新入社員が仕事で急成長できる3つの原則

仕事術

公開日:2014/3/13

 もうすぐやってくる4月入社を目前にして、ドキドキとした毎日を過ごしている方も多いはず。まだ働いたことのない会社での新しい日々を、期待と不安で思い描いているのでは? 今でこそ堂々とした振る舞いで、バリバリと働いている先輩だって、かつては同じように眠れない緊張の日々を送っていたもの。そんな先輩から新入社員へ、実体験から得たアドバイスが綴られている著書を紹介したい。

 岩瀬大輔著『入社一年目の教科書』(ダイヤモンド社)は、ライフネット生命保険株式会社の代表取締役社長兼COOによるビジネス書だ。仕事で成果が上がるだけでなく、信頼も勝ち得る方法が満載。もちろん、中堅やベテランの方にとっても、今一度再認識すべき基礎として読める。実直に語られている内容は口コミでも評価が高く、現時点で20万部売れているベストセラーだ。

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 まず、著者は、人の何倍もの速度で成長するための3つの原則を挙げている。それは…。

1)「頼まれたことは、かならずやりきる」
新入社員であればすべての仕事を完璧にこなせるわけがない。では、そんな彼らがすべきことは「自主的に、催促される前に全部やりきる」こと。最後までやりきる姿勢を示すことで信頼を獲得し、次第に大きな仕事を任せられるようになる。

2)「50点でかまわないから早く出せ」
100点満点の状態にしてから、上司に提出しようと息巻いてしまいがち。でも、まずは50点の状態で上司に提出をして「赤ペンを入れてもらい、アップグレードしていけばいい」と説く。それは「上司や先輩の力をうまく使い、総力戦で仕事を進めていってほしい」という意味が込められているという。また、方向性が誤っていても、早期に修正ができるといった利点も。

3)「つまらない仕事はない」
新人の頃はコピー取りなどを任されることもあるだろう。単調な作業などと思わずに「資料を全部読んでしまえばいい」。そうすればビッグプロジェクトの動きが見えたり、取引先の真の姿などを垣間見ることができるとのこと。そう聞くと、コピー取りがまたとないチャンスに思えてくるから面白い。

 著者は上記の原則を示した後、具体的なアドバイスを語り始める。その中には「何があっても遅刻はするな」「メールは24時間以内に返信せよ」「質問はメモを見せながら」「仕事は盗んで真似るもの」といった基礎的なことも述べられている。そうした中に、著者ならではの持論が散りばめられている。たとえば…。

1)「カバン持ちはチャンスの宝庫」
落語家の弟子でもない限り、カバン持ちという立場にはなかなか成り得ない。でも、著者は、上司が取引先の偉い人に会いに行く場面で「ご迷惑でなければ、一緒に連れていってください」と願い出ることを薦めている。実際に以前務めていた会社のCEOがカルロス・ゴーン氏と会うことを知り、同行を願い出て、トップ同士の対談の進め方を肌感覚で学べたという。

2)「情報は原典にあたれ」
WEB検索をすれば、たいていの情報を知ることができる。しかし、著者は「関連する資料に行き当たったら、その資料にある参考文献にも当たってください」とアドバイスする。そして、参考文献に当たったら、さらにさかのぼっていくことで、原典にたどり着けるという。そうすることで、第三者のフィルターを通して提示された情報を鵜呑みにすることなく、まっさらな状態の情報源と接することができる。また、ライバル企業が知りえそうな情報であれば、ダメ元で問い合わせてみることも薦めている。

3)「まずは英語を“読める”ようになれ」
英語を社内公用語として定める企業も多くなってきたが「世界中に存在する情報のうち、日本語と英語の情報量の比は1:100ぐらいだと思います」と述べる。つまり、ライバルよりも有益な情報を得るには、英語を学ぶことが有利。また、英語で会話をするにも「中学2年生レベルの英語力で十分に伝わります」とのこと。

 ほかにも「仕事に関係ない人とランチせよ」「スーツは“フィット感”で選べ」「休息をとることも“仕事”だ」など、すぐに実行したくなるようなアドバイスばかり。新入社員だけでなく、仕事に慣れてきたビジネスパーソンも、本書を読んで初心を思い出すことをオススメしたい。満開の桜を眺めながら、新人だった頃の気持ちが蘇ってくるかもしれない。

文=八幡啓司