肉食vs.草食、既婚vs.未婚、都会vs.地方…あらゆる階層で繰り広げられる女の戦いの実態とは

社会

公開日:2014/3/30

 久々に会った友人や、結婚・出産と新たなライフステージに進んだ友人に対して、虚勢を張ったり、無駄な自虐を仕掛けたり──。決して相手を嫌悪しているわけではないのに、会話の中に“罠”や“小さな悪意”をしのばせ、見えざる戦いを繰り広げたという経験を持っている人は少なくないのでは? そんな「言葉や態度で自分の優位性を誇示してしまうこと」を「マウンティング」と名付け、その実態をつまびらかにした『女は笑顔で殴りあう マウンティング女子の実態』(筑摩書房)が話題を集めている。

 著者は、『臨死!! 江古田ちゃん』(講談社)の瀧波ユカリと、『負け美女 ルックスが仇になる』(マガジンハウス)などの著作を持つコラムニスト・犬山紙子。これまで女性特有の複雑な言動を、鋭い視点で描いてきた2人が明らかにするマウンティングとは、実際にどんなものなのだろうか。

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 「やさぐれ女子vs.純情女子」のケースを見てみよう。やさぐれ女子は「酸いも甘いも噛み分けた方が人間的に上なのよ」とアピールしたがり、純情女子は「純情ぶりっこ」で仕返すという。純情女子が処女だと判明したとき、やさぐれ女子は「私と同い年なのに、いろんなことをまだまだ知らないんだね」と上から目線、それに対し純情女子は「私はずっと赤毛のアンみたいな子どものまま」とメルヘンな世界にいる自己肯定をすることで、他人からの批判をディフェンスする。

 身を置く環境が異なることで、マウンティングに発展するケースもある。その筆頭が、「田舎暮らし女子vs.都会暮らし女子」。都心の12万円のワンルームを自慢する都会暮らし女子に田舎暮らし女子が地元の相場を説明すると、「あはははは! 田舎って何だかほほえまし~い」。田舎暮らし女子が「給料全部、自分のものにさせてもらっちゃている~」と経済的な余裕を誇示しようとすると、都会暮らし女子は「私は自分に投資中だから~」と保身のためのなぞの言い訳を繰り広げる始末。引いた目で見ると不毛な争いだが、当人たちは、黙れば負けるとばかりに次々マウンティングを仕掛けていくのだ。

 周囲がどんどん結婚していく中で孤独感を強める独身女性と、結婚したことで「現役」じゃなくなったと不安がる既婚女性のバトルも強烈だ。ラブラブな新婚生活を聞いた独身女性が「でも同じ人とずっと一緒って張り合いがなくなって老けるよね~」とジャブを打てば、既婚女性が「そっち側には戻れなくなっちゃったかなあって気がする」とストレートをお見舞い。「女は捨てちゃった、みたいなこと?」と独身女性が再び果敢に挑むも、既婚女性からの「妻になったってことかな」と顔面にめり込むほどの強烈パンチを打ち込まれる。

 マウンティングの具体例を見ると、今の自分に自信がなかったり、相手が自分のコンプレックスを刺激する存在であるときに、試合開始のゴングが鳴らされるようだ。しかし、マウンティングは多くの場合、相手の関係に亀裂を入れる。マウンティングをしないためにはどうすればいいのか。

 瀧波氏は「“その言い方はちょっと傷付くな~”とかその場でストレートに返せれば一番いい」と提案している。マウンティングに真正面から対抗すれば、相手もさらに自分の上に立とうとして応酬は途切れることがない。本書でマウンティングの全貌を把握すれば、事前にマウンティング回避を講じられるだろう。