「2014年本屋大賞」決定! 大賞は和田竜『村上海賊の娘』

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/22

全国の書店員が選ぶ、いま一番売りたい本を決める「本屋大賞 2014」の受賞作が決定した。ノミネート作品10作品の中から大賞に選ばれたのは、和田竜氏の『村上海賊の娘』(新潮社)。

同作は、第139回直木賞候補にもなり、映画化もされた『のぼうの城』の和田竜氏の最新作。『週刊新潮』に2年に渡り連載された作品で、戦国時代、瀬戸内に生きる海賊衆とその海賊衆の娘・村上景の生き様を描く。織田信長と本願寺との戦いが激化する中、本願寺に助けを求められた村上海賊は信長方の眞鍋海賊との決戦に臨む。第一次木津川合戦の史実に基づくエンタテインメント作品だ。

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授賞式では昨年の大賞受賞者・百田尚樹氏が花束贈呈に登場。「タイトルを見たときにこれが取ると思った。去年一番売れたのは村上春樹さんの本、そして去年の本屋大賞は私の『海賊とよばれた男』、村上と海賊なのでもうこれしかないと感じた」「書店員の皆さんは、同じ海賊本なので一緒に並べていただけると、僕の本も一緒に売れるかもしれないのでよろしくお願いします」とコメントし会場を沸かせた。

和田氏は「百田さんのあとはやりにくいなあ」と戸惑いをみせながらもリラックスした様子で登壇し「書くのに4年かかったと言われるが、資料を読み込むのに1年、連載に2年、単行本にするのに1年と、受験生のようです」「僕は喫煙者で、タバコはベランダで吸わなければいけなくて、そのときにリビングでテニスを見ていた妻に「フェデラーの奥さんってなんだか怖いね」と話しかけられた。これとまったく同じ会話を1年前にも交わしていたのに気づいた。そんな単調な時間が続きがちな執筆だったが、この受賞はその苦しい時間が実ったというか、ご褒美のようだ」と喜びを語った。

翻訳小説部門は『HHhH プラハ、1942年』(ローラン・ビネ 高橋啓:訳/東京創元社)が選ばれた。同作はナチスドイツを舞台にしたシリアスな内容だが、今までにないユニークな手法で書かれた小説。同作は第4回「Twitter文学賞 海外部門」でも第1位となっている。翻訳者の高橋氏は授賞式で「東京に長く住んでいたが、帯広に引っ込んだとたんにこんな晴れやかな賞をいただくことができて、引っ込んだのは失敗だったかなあ」とユーモアを交えて喜びを語った。

「本屋大賞」は今年で11回目。本屋大賞部門は、2012年12月1日から2013年11月30日の間に刊行された日本の小説が対象で、1次投票には全国479書店605人、2次投票には330書店より386人の投票があった。

■2014年本屋大賞受賞作■

大賞 『村上海賊の娘』(和田竜/新潮社)
2位 『昨夜のカレー、明日のパン』(木皿泉/河出書房新社)
3位 『島はぼくらと』(辻村深月/講談社)
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4位 『さようなら、オレンジ』(岩城けい/筑摩書房)
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5位 『とっぴんぱらりの風太郎』(万城目学/文藝春秋)
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6位 『教場』(長岡弘樹/小学館)
7位 『ランチのアッコちゃん』(柚木麻子/双葉社)
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8位 『想像ラジオ』(いとうせいこう/河出書房新社)
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9位 『聖なる怠け者の冒険』(森見登美彦/朝日新聞出版)
10位 『去年の冬、きみと別れ』(中村文則/幻冬舎)

詳しい情報は本屋大賞公式サイトにて。