コレだけは押さえておきたい、海外ミステリー文庫

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/22

佐藤健×渡部篤郎のW主演でドラマ化された『ビター・ブラッド』(雫井脩介)。香取慎吾主演で放送中のドラマ『SMOKING GUN』も原作は民間科捜研を舞台にしたミステリーマンガだ。4月期ドラマは“原作モノ”でなくとも刑事&ミステリードラマが豊富。映画では、松岡圭祐の「万能鑑定士Qの事件簿」シリーズが綾瀬はるか&松坂桃李主演での実写公開をひかえており、ミステリー人気はとどまることを知らない。ドラマをきっかけに原作に手をだしハマった人も多いだろう。

しかし、魅力的なミステリー作品は国内にとどまらない。さらに多くの傑作・名作が揃っているのが海外ミステリーだ。群像劇、法廷もの、サイコサスペンス、冒険ミステリー、警察小説、謎解きミステリー。多岐にわたるジャンルのなかから、『ダ・ヴィンチ』5月号ではコレだけは押さえておきたいミステリー文庫をミステリーの達人、書評家の杉江松恋氏にチョイスしてもらっている。ここではそのうち、5冊を紹介する。

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■『推定無罪』 (上・下) スコット・トゥロー/著 上田公子/訳 文春文庫 各743円(税別)
女性検事補キャロリンが殺された。首席検事補のわたしは、その被害者と男女の関係にあった。捜査を進めていくうちに犯行現場からわたしの指紋が検出され、わたしは殺人罪で起訴されたが…… 。法廷であきらかになるずさんな捜査、思い込み、検察側の失策。わたしは黒か白か、真相は?

■『二流小説家』 デイヴィッド・ゴードン/著 青木千鶴/訳 ハヤカワ・ミステリ文庫 1000円(税別)
二流小説家は刑務所にいる連続殺人犯から、手紙をもらった。4人の女性を誘拐し、拷問にかけ惨殺、その後遺体をバラバラに遺棄した殺人鬼から、自分の告白本を書かないかと。小説家は殺人犯に会いに行き、とんでもない交換条件を持ち出される。指示に従い行動すると新たな猟奇殺人が起こり……。

■『クリスマスに少女は還(かえ)る』 キャロル・オコンネル/著 務台夏子/訳 創元推理文庫 1200円(税別)
クリスマスを控えたある町で、少女ふたりが忽然と消えた。15年前にも同じことがあった。違ったのはクリスマスに少女の遺体が発見されたこと。犯人はすぐに捕まり現在も服役中。それなのに事件は起こった。小児性愛病理を専門とする心理学者は言う。「犯人は15年にわたって殺しを繰り返している」と。

■『ボーン・コレクター』(上・下) ジェフリー・ディーヴァー/著 池田真紀子/訳 文春文庫 各680円(税別)
鑑識中に第四頸椎を損傷し、四肢麻痺になったライム。ベッドの中で毎日を過ごしていたが、ある日昔の同僚・NY市警殺人課の刑事が捜査協力の依頼に来た。最初こそ断るものの、アメリア・サックスという女性巡査に惹かれ、彼女を遠隔操作し現場復帰! 知識と経験を活かし連続殺人鬼を追い詰めていく。

■『卵をめぐる祖父の戦争』 デイヴィッド・ベニオフ/著 田口俊樹/訳 ハヤカワ文庫 900円(税別)
1942年、レニングラードはナチスドイツの猛攻に困窮していた。ここに住む17歳のレフは、ドイツ兵の死体から所持品を盗み、捕らえられた。銃殺刑にされてもおかしくないのに、脱走兵のコーリャとともに秘密警察の大佐のもとに連れて行かれ使命を与えられた。1週間以内に卵を1ダース調達して来いと……。

構成・文=大久保寛子/ダ・ヴィンチ5月号「文庫ダ・ヴィンチ」