【面接テク】愛想笑いは、もはや作法! 「上機嫌」を身につけよう ―齋藤孝×坂東眞理子 公開対談レポート
更新日:2014/5/7
2014年1月に刊行された、齋藤孝氏、坂東眞理子氏の両氏による新刊『会話に強くなる~話す力・聞く力を育てる33のメソッド~』(徳間書店)の刊行を記念して、東京・三軒茶屋の昭和女子大学・人見記念講堂にて公開対談が行われた。
公開対談前半では、人材の適正を見きわめる採用試験の面接対策を指導。
同書の中でも「4人の中でいちばん話しやすい相手は誰だったかを投票するんです。そうすると、意見が一致するんですね。やっぱり、それは上手にうなずいてくれる『うなずき力』と『あいずち力』があった人なんです」(齋藤)、「笑顔で『うんうん』とうなずきながら聞いてくれる人ですよね。講演のとき、私はうなずいてくれて、一生懸命聞いてくれる人がいたら、それを心の支えにして話をすんです」(坂東)とある。
公開対談でも、面接でも大切なのはコミュニケーション能力で、上手く話せなくても、うなずき率が高いと好印象を与えると面接のコツを紹介した。
うなずきが大切な理由として、聞くことの重要さがある。コミュニケーションは自分の言いたいことを一方的にしゃべるのではなく、相手のためだと心得ることが大切で、リアクションがないのは心が冷たいか、社会性が足りないと判断されることもあるのだという。
さらにうなずくだけではなく「笑い」も大切だという。「相手が何かジョークをいったり、気の利いたことをいったとしても、なかなか反応できない人が増えている」(齋藤)、「相手のジョークに応えるのは社会的な礼儀だということを知らないんですよ」(坂東)と同書にあるように、話をニコニコして聞いて、相手がジョークをいったら、面白くなくても反射的に声を出して笑うなど、「上機嫌」は、ひとつの作法として「技」として身につけるといい。
採用試験を突破する齋藤メソッドとして「目を見る」「微笑む」「うなずく」「あいづちを打つ」という具体的な方法も紹介された。
そしてそういった能力を高めるためには友達同士だけではなく、経験値が高い目上の人の話を聞くことが必要だという。しかしそういった適当な目上の知り合いがいない場合は、毎日2時間以上の読書で莫大な経験値を積むことができるという。
同書の中でも読書の利点を説いている。「文学を読んでいると変な人を受け入れるためのトレーニングになるので、幅が広がってくる(中略)ドストエフスキーなどを読むと、ほんとうに過剰な人しか出てきませんよね。ああいった人たちと実際につきあうとなればきついですけど(笑)、文学だから耐えられるわけですよね」(齋藤)、「その理解の幅がタフさにつながるというのは、同感です(中略)これからの時代に必要なのは、ストライクゾーンを広げて、もう少しタフになること」(坂東)。
自分の幅を広げて相手を受け入れることがコミュニケーションの根本といえるかもしれない。
公開対談後半では「どんな人とも30秒で打ち解ける」「共感しつつ、アイデアを出す」「チームでクリエイティブな企画を具体的に出す」という課題を、身体を使ったコミュニケーション方法でこなしていく方法を実践的に紹介した。
公開対談は終了してしまったが、同書もすべて対談形式で書かれている。2人の会話を読み進めるうちにコミュニケーションに役立つ、実践的なメソッドを手に入れることができる。初対面の人や目上の人が苦手という人はぜひ手にとってもらいたい。問題を突破するヒントがあるはずだ。