【厨二、占い好き、魔法好きは必読?】ルーン文字、錬金術、ドラゴン…もはや魔術書! アルケミスト双書の世界

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/22

近頃、人狼ゲームや脱出ゲームが流行っている。最近では書籍化や映画化までされ、人気は確実に浸透しているように感じる。心理戦や謎、仕掛けなど、想像力を掻き立てるものはなぜこうも魅力的なのだろうか。少し前、“厨二病”という病が一気に知名度を上げた。最近のアニメでは、もはや定番キャラとなっている。いい歳して厨二病を患っていると“痛い人”認定されてしまうが、人間誰しも、少なからず「謎」や「神秘」といったものに惹かれるのではないだろうか?

そこで、そんな知的好奇心(?)を満たしてくれそうな本をご紹介しよう。創元社が刊行している、「アルケミスト双書」というシリーズ。魔術書のような装丁のこの本は、持っているだけで世界の不思議を手に入れたような気分になる。タイトルも「数の不思議」や「ルーン文字」、「錬金術」や「ドラゴン」など、その手のものが好きな人なら思わず集めたくなるものがずらり。表紙だけでなく、中も美しく怪しい図版が満載で、文系の筆者でもどんどん読み進めることができた。魔法が大好きな筆者は、今回この中から“魔法陣”と書かれていた「数の不思議」と、“魔術文字”とあった「ルーン文字」を購入してみた。

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まずは「数の不思議」。一体何が書かれているのか、と思いながらページをめくると、初っ端から“モナド 「一なるもの」”という全く分からないが興味をそそられる見出しが飛び込んできた。本書によると、「1を語るということは、1を対象として見ること、つまり1から離れてしまうことになる」から、「1を定義することなどできない」らしい。また、「1の荘厳な姿は神秘のベールに包まれたまま、わたしたちを寄せつけようとはしない。なぜなら、1は1にしか理解できないのだから」とのこと。なんだか1がかっこよく見えてきた…! 他にも、2以降の数字はもちろん、「時間と空間」や「魔法陣」、「神話、ゲーム、詩」など様々な方面の数字を美しく神秘的に解説している。

次は「ルーン文字」。古代ヨーロッパの魔術文字と書かれているが、「始まりもいまだ解明されておらず、神秘に包まれている」文字なのだそうだ。P6の「ルーン詩」のページでは、文字に込められた詩が解説されている。どの文字にも、非常に細かい意味が込められている。これだけの意味があれば、魔術の詠唱時間も短くて済みそうだ。「イス・ハガル」と言えば「氷はとても冷たく、すべらかなり。霜により精巧に作られた美しき床。宝石のごとく輝き、硝子のごとく透きとおる。/雹は真白き種子なり。天の高みから、風に渦巻き、またたく間に水へと変わる」と言ったことに。たった5文字で極寒の世界に誘ってくれそうだ。文字の解説の他にも、ルーン文字が刻まれた赤鹿の枝角やブローチ、魔よけの指輪や短剣など様々な遺物が図版と共に説明されている。

アルケミスト双書は、これ以外にも非常に多くの種類が出版されている。厨二病患者はもちろんのこと、占いや魔法が好きな人、美しいものに惹かれる人、また小説などを書きたい人など、多くの人が楽しめそう。書店で見かけた際には、ぜひこのシリーズでディープな世界を覗いてみよう!

文=月乃雫