いくつになっても胸キュンしたい！ 大人の女性が“乙女ゲーム”にハマる理由をシナリオライターが分析
エンタメ 公開日：2014/5/9
普段の生活では考えられないイケメンと恋に堕ちる乙女ゲーム。
最近は大人の女性の間でもブームになっているという。筆者もそのような話は聞いたことはあった。しかし、実際には乙女ゲームがどういうものか良く知らない。
そんな筆者が頼まれたのが乙女ゲームシナリオの仕事。普段からシナリオは書いていたものの。乙女ゲームは書いたことも遊んだこともない。
一度プレイしてみた。しかし、全くもってリアリティがない……現実に置き換えると引いてしまうようなキャラクターに、キザなセリフが多数。
乙女ゲームにハマる理由が全くわからない。そんな筆者は『キュンとさせる乙女シナリオが書ける本』（吉神あや：著、なま子：イラスト/総合科学出版）で、乙女ゲームのシナリオの書き方を勉強してみることにした。本書では、現在も乙女ゲームのシナリオライターとして活躍する吉神あやさんが、乙女ゲームシナリオの書き方を教えてくれる。
■キャラクターの魅力は重要
乙女ゲームシナリオで大事なのはキャラクター。キャラクターはドS、ヤンデレ、わんこ系など属性を作り、それ合わせて年齢、誕生日、血液型、性別など細かい情報を作る。設定は細かい方が書いている時のキャラクターのブレ防止にも役立つ。
甘い言葉をささやく登場人物たち、彼らを魅力的に見せるためには作者自身が、ここが魅力というポイントを押さえておかなければいけない。魅力がないと、甘い言葉をささやかれてもプレイヤーは何も感じないという。
■ラブイベントがなければ恋も始まらない
そして、ラブイベントも必要。ラブイベントとは「目が合ってドキッとする」「手を繋ぐ」「唇以外のところにキス」「抱きしめられる」「涙を見せる」「キス」「それ以上」など、キャラクターと恋愛に絡むスキンシップをさせる。そうすることで主人公とゲームの攻略キャラクターはお互いを意識するようになり、また2人の関係も深まっていく。
このラブイベントはプロット作成時から考えなければいけないほど、重要なポイント。吉神さんはもっとも大切な作業と言い切っている。
上記の2点を踏まえ、乙女ゲーム初心者の筆者なりに乙女の気持ちを考えてみた…。
・キャラクターにしても設定にしてもありえないぐらいロマンチックなシチュエーションを求めている。現実逃避したいのかも…。
・手を繋ぐ、困っているところを助けられる、やきもちを焼いてもらう、キスや抱きしめられる。など、現実にありえるトキメキを求めている。
・現実社会から離れて、全く違う世界に頭を切り替えてプレイしているのだからキザなセリフなどもあり。むしろ、キザなセリフ歓迎！
・現実の恋にうんざりしている大人の女性の方がはまりやすいのでは？
考察したことを踏まえ乙女ゲームシナリオに取りかかり、原稿を送る。するとこんな反応が。
「キュンキュンするシナリオで良かったです。もう少しエロさがあった方が良かったですね。そこを直してみて下さい」
エロさ…考えなかった。女性とは贅沢な生き物だ。夢のような設定に、甘い言葉に、エロさまで求めるのだから……。
乙女ゲームというのは女性にとって、現実を忘れさせ素敵な恋愛をしたいという夢を叶えてくれる魔法のようなものなのだろう。乙女ゲームブームは複雑な女心が生み出したものに違いない。
文＝大沢ルイ
