まつもとあつしの電子書籍最前線 ソニー”Reader”が本好きに支持される理由

更新日:2014/3/19

読書家に支持される理由を探る

奇しくも新型Kindleの発表翌日にお目見えとなった新型ソニー”Reader”。3G通信にも対応し、PCを介さず端末から書籍を直接購入できるようになった。

9月29日、ソニーは読書専用端末”Reader”の新型を発表しました。

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直前に米アマゾンがKindleの新型を79ドル~(スクリーンセーバーが広告無しのモデルは109ドル、)と発表したこともあり、その内容に注目が集まりました。結果として、新型ソニーリーダーは、auの3Gネットワークに対応したモデルが、25,800円(税込)、Wi-Fiのみのモデルは19,800円となり、前モデルでは見送られた3G搭載を歓迎する声もありましたが、会見でも「(近日中に上陸が予想される)Kindleへの対抗策は考えていないのか」と海外系メディアから厳しい質問も飛んでいました。


10月20日に発売された新型ソニー”Reader”(※10月20日に発売されるのはWi-Fiのみのモデル)

シャープのGALAPAGOSが、初代のモデルの販売終了を発表し、国内の電子書籍がまだまだ流動的な状態にあるなか、ソニーはどのような戦略を描いているのでしょうか?

そこで今回は、ソニーリーダーのハード、そしてサービスプラットフォームを担当する方に話を聞ききました。インタビューを通じて、ソニー”Reader”は進化の発展途上にありAmazonのような苛烈な進化ではないものの、自分たちの強みを活かしながら、明確なビジョンをもってプロジェクトに取り組んでいるという印象を持ちました。さっそく、その中身を紹介していきましょう。

KindleやiPadがある中で「ソニーの読書端末」をどこに位置づけるか?

(右)ソニーマーケティング株式会社モバイルエンタテインメントプロダクツマーケティング部デジタルリーディングMK課統括課長北村勝司氏。(左)同ネットワークサービス部新規事業推進2課加藤樹忠氏。

――先日の発表会が奇しくもKindleの直後であったこともあり、どうしても比較して語られることが多いと思います。ソニーとしてはリーダーをどのように位置づけているのでしょうか?

北村:そうですね。まずは、”Reader”がターゲットをどこに定めているか、という辺りからお話したいと思います。

当初やはり、ビジネスを進めていくにあたって、「誰がお客様なのか」という視点にまず立って、商品作りやマーケティングをしていこうかと、”Reader Store”サイドと一緒に考え始めましたので。

調べたところ、この調査結果(図)がすごくわかりやすかったんですね。
で本を日常的に読んでらっしゃる方というのは、だいたい月2冊以上。つまり2週間に1冊ぐらい新しい本を読むっていわれる方や、常に本を持ち歩いているような方は、だいたい全体の3割ぐらいいらっしゃるということが見えてきました。

KindleやiPadがある中で「ソニーの読書端末」をどこに位置づけるか?

“Reader”の開発にあたって、ソニーが行った調査結果

この3割の方、つまり読書家の方々が、本をどの位購入されているのかを分析をしたところ、月に2冊以上本を買われる方が、世の中の本の7割から8割ぐらいを消費されているということが見えてきたんです。