オタクが3次元での恋愛を成功させるにはどうしたらいいの? オタク漫画家、結婚への道

恋愛・結婚

公開日:2014/5/29

 「うちの旦那(嫁)が照れ屋さんで画面から出てこない」などと言っていられるのはいつまでだろうか。2次元の世界からは一生離れたくはない。しかし、年齢を重ねるにつれて、現実は迫ってくる。いつかは3次元の世界での、恋愛や結婚を考えなくてはならない時が来るのだろう。だが、現実の世界での恋愛においては初心者。何をどう振る舞って良いのか途方に暮れてしまうに違いない。どうやったら3次元での恋愛を成功させることができるのだろうか。

 カザマアヤミ氏著『恋愛3次元デビュー 30歳オタク漫画家、結婚への道。』(双葉社)は、恋愛初心者だったカザマ氏が、成人漫画家の夫・紺野あずれ氏と出会い、結婚するまでを描いたコミックエッセイだ。カザマアヤミ氏といえば、『せなかぐらし』(芳文社)の著作で知られる清純恋愛漫画家だが、30歳で結婚するまで、一度も男性とお付き合いをしたことがなかったという。そんな彼女の3次元恋愛成功までの道のりはオタク達にとって人ごとではない。一体どうやってカザマ氏は「3次元恋愛デビュー」を果たしたというのだろうか。

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 カザマ氏が初めて恋愛を意識し出したきっかけは、小学3年生の頃に読んだ少女マンガ。それ以来、男子と関わっただけで恋愛を妄想する体質になった彼女は、男子と普通に関わり合うことすらできなかったらしい。おまけに、中高大と女子校に進学したため、大人になるまでこの体質は変わらなかった。

 2次元の世界に没頭した成果なのか、漫画家としての仕事も順調になり、連載が軌道に載り始めたが、友人とも会わず、家に引きこもる日々に、カザマ氏は20代半ばで急に危機感に襲われるようになったという。「漫画書いて、2次元に萌えて、生涯誰とも付き合うこともなく過ごしていいのだろうか」。そんなことを思った彼女は3次元の恋愛に本気を出すことに決めた。

 しかし、清純漫画家とはいえ、3次元での恋愛初心者のカザマ氏は恋愛を始めるにしても何から始めて良いのか分からない。モテ本を読みあさり、大切なことをノートに書き取ってみたが、現実では上手く振る舞えない。恋愛は出会わなければ、始まらないから、思いきってネットで知り合った男性に2人で会おうと会ってみたが、質問攻めし過ぎて相手に引かれてしまう始末。それに、カザマ氏は次第にいろんな男性と会っているうちにあることに気づいたらしい。「コミケのコの字も知らない人とはできる話なんてない!」。オタク相手ではなくては恋愛などできないと思い知らされたのだそうだ。

 だが、人間は努力すれば、変わることができる。何人かの男性と会って話しているうちに、カザマ氏は次第に男の人を意識しすぎないようになっていった。同時期に趣味で麻雀を始めていた彼女は、憧れの漫画家・紺野あずれ氏がTwitterで麻雀についてのツイートをしているのを見つけ、思い切ってリプライを飛ばし、麻雀をすることに。その後、Skype IDを交換し、次第に沈黙していても気まずくならない関係に心地良さを感じたカザマ氏の方から告白し、見事付き合うことになったのだそうだ。しかし、それでも3次元の恋愛初心者のカザマ氏は自分に自信が持てずに、紺野氏に向かって「私で勃ちますか?」と聞いてみたり、初Hする前には、痛さを心配するのではなく、エロ漫画のような「アヘ顔」になることに怯えてしまうオタクっぷりを発揮していたそうだ。

 「2次元と3次元の区別が、恋愛面では全然できていなかったことに気づかされた」とカザマ氏は語る。それは、どんなオタクにとっても人ごととはいえないだろう。実際の恋愛を知らなければ、情報はマンガやアニメ、ネットだけなのだから、3次元の恋愛に挑戦すれば、自分が気づかぬ間に挙動不審になってしまっていることだってあるかもしれない。だが、彼女は、逃げることはなかった。恐れることなく、精一杯現実の恋愛と向き合おうとした。そんなひたむきな心が3次元恋愛成功の鍵となるのかもしれない。いつかはカザマ氏のように、現実に恐れずにいつかは飛び出そう。大丈夫。現実で失敗しても画面の中ではちゃんと2次元の旦那も嫁も見守ってくれているのだから。

文=アサトーミナミ