デビュー17年、再ブレイクで注目されるモー娘。 ”今”を知るためのおすすめ曲を紹介

芸能

公開日:2014/6/5

 AKB48、ももいろクローバーZ、BABYMETALなどの台頭により、盛り上がりをみせる2010年代のアイドルシーン。地下アイドルやご当地アイドルの隆盛、「歌ってみた」「踊ってみた」動画への派生など、様々な背景がある中で、ここにきて「モーニング娘。’14(以下、モー娘。)」への注目が高まっている。auのCM起用や、ソチ五輪での公式応援ソング提供など、各メディアにて次々と話題が繰り出されているほか、Web上でも「今のモーニング娘。」というキーワードが浮かび上がるなど、世間の関心が上昇しつつある。

 デビューから17年目。安倍なつみや後藤真希、辻希美や加護亜依などが在籍していた、いわゆる「黄金期」の記憶を残している人たちも少なくないと思うが、ふたたびモー娘。へ興味を抱いた人たちへ向けて、これまでの歴史を振り返ると共に、モー娘。を愛してやまないライターによる「今のモー娘。を知るためのおすすめ曲」をいくつか紹介していこう。

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■モー娘。のデビューから『LOVEマシーン』、そして現在へ
 モー娘。がデビューしたのは1997年。当初は、オーディション落選者により結成されたユニットだったが、メンバー加入やメディア出演などで話題を集めていった。そして、1999年。後藤真希の加入と『LOVEマシーン』発売をきっかけに、国民的アイドルグループの地位を不動のものにしていった。現在、活躍しているアイドルユニットのメンバーからも、当時のモー娘。への憧れを抱く発言を多くみかけるが、その功績の裏には振り付け師・夏まゆみの存在があった。

 夏まゆみは著書『ダンスの力 モーニング娘。AKB48…愛する教え子たちの成長物語』(学研パブリッシング)にて、当時の記憶を振り返っている。夏は振り付けやその指導にあたり、常々「振りまで含めて歌っていること」という精神を注ぎ込んだと語る。そして、2007年までのあいだ、『ハッピーサマーウェディング』『恋愛レボリューション21』など、次々とヒットを飛ばすモー娘。へ、指導者として時には厳しく、いっしょに涙を流しながら、老若男女の誰もが歌い、踊りたくなるというアイドルユニットの成長を支え続けてきた。

 モー娘。は、今でこそアイドルユニットの主流となった「メンバー加入」と「卒業」を繰り返すシステムを確立したが、初期メンバーから脈々と受け継がれるプロとしての精神を踏襲して、歌やダンスというパフォーマンスを日々進化させ続けている。

■歴史を受け継いだモー娘。の「今」を知ることができるおすすめ曲
 そして、2013年12月。モー娘。は「モーニング娘’14」への改名を発表。さらなるステージを歩みはじめているが、デビュー当時からモー娘。を愛してやまないライター・Yさんに、今のモー娘。を知りたい人に向けて、MVがとりわけきわだつおすすめ曲を解説付きで伺った。

『One・Two・Three』(通算50枚目のシングル。2012年7月4日 発売)
 初めて聴いたときに「新しい時代が始まる」という予感をもたらしてくれた曲。曲の展開がキャッチーで、テンポもよく誰でもノリやすい。歌唱力のあるメンバーに目が行きがちだが、ダンスが上手いメンバーの配置もうまい。なかでも、サビあたりで前方に構える現メンバー・石田亜佑美に注目。9~10期メンバーのそれぞれに歌割りがあるため、個々の声質の魅力を感じることもできる。

『ブレインストーミング』(通算53枚目のシングル。2013年4月17日 発売)
 当時、エースとして活躍していた卒業メンバー・田中れいながイントロ部で後手に回り、9~11期の4人が踊ってスタートを切ることから、世代交代を如実に感じられる。歌唱力やダンススキルのみならず、各メンバーのキャラクターが分かるようにも工夫されている印象。曲に勢いがあり、歌詞にも“再燃”への意気込みを感じさせる。小島よしおの「そんなの関係ねぇ」を思わせるキャッチーな振り付け、間奏部で見られる現メンバー・鞘師里保と石田亜佑美のバトルシーンのようなダンスもみどころ。

『What is Love?』(通算55枚目のシングル。2014年1月29日 発売)
 トリプルA面シングルの1曲。ポップでノリがよく、口ずさみやすい。タイトルや歌詞全体で「愛」になぞらえて匂わされた「アイドルとは?」という問いかけが意外に深い。メンバーの配置によりハートを形作るなど、最近注目されている「フォーメーションダンス」も健在。モー娘。というグループが持つ歌やダンスの実力、独特なユニークさが、存分に発揮されている。武道館公演で撮影されたPVからは世代の新しいメンバーに楽しむ余裕も見え、まさしく“再スタートしたモー娘。の今”が凝縮されている。

 最後に、ライターのYさんは「メンバーの加入・卒業による可変性もモー娘。の魅力」と語っていた。今秋には、歴代最長の在籍期間を持つ道重さゆみが卒業する。しかし、世代が変わるごとに楽曲やダンスなどを受け継ぎながらも、新たなパフォーマンスを展開できるのも歴史あるモー娘。ならではの特徴である。また、メディア出演もアイドルにとっては欠かせないものだが、いちばんの魅力を感じられるのは、生のパフォーマンスを楽しむことのできるコンサートだ。今後もさらに歴史を重ねていくモー娘。に要注目である。

取材・文=カネコシュウヘイ