4人に3人は本を書きたい!? 出版したいなら“スキマ”を狙え!

マンガ

公開日:2014/6/26

 売れないと言われようと、著者になるのを夢見る人は多い。でも自費出版をしたいわけでもない。そんな人々のために、『ダ・ヴィンチ』7月号では、ライター・北尾トロが著者になる方法を検証している。文才がない? 経験がない? あるのは熱意だけ? 平気だ。むしろそのほうが好都合。いまはアマチュアが活躍できる時代で、本を出すチャンスは減っていない。食いぶちを他に持ち、そんな声を気にしないで済むアマチュアは、プロより逆境に強いのかもしれない。

 検証にあたって『ダ・ヴィンチ』読者約200人に「あなたは著者になりたいですか!?」というアンケートを行った。(1)死ぬまでに1冊は本を出してみたいと思うか? という質問には76%(148人)が「はい」と回答。(2)本を出すために具体的に取り組んでいることはあるか? という質問には58%(88人)が「はい」と答えた。

――4人中3人が、死ぬまでに1冊は本を出したいと考えているなんて……。本誌読者対象のアンケートとはいえ、ここまでの数値を叩き出すとは思っていなかった。編集Kはどうだ。

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「出してみたいかと尋ねられたら、イエスと答える人が多い。これはわかります。ボクが注目したいのは、本を出すために何か具体的にやっている人が58%もいたことです」

 ぼんやりした憧れではなく、本気で考えているんだな。

 出してみたいとは思わないと答えた人の理由は、文才がない、書けるとは思わないというものだから、文才あるし書けそうだし、実際書いてるもんねって人が相当数存在するわけだ。それだけに動機もけっこう現実的。

・自分の感じたことや経験を文章にまとめることで明確にしたいと思ったから(会社員・23歳・女)

・生きた証を残したい(無職・35歳・男)

・これまでの人生、たくさん読んできたので、一度くらいは書くほうになってみたい(会社員・43歳・女)

 私が“いま”を感じたのは、「賞を獲り、印税で喫茶店を建てたいから」(会社員・36歳・女)というもの。賞までもらっておきながら、やりたいのは喫茶店ってなんだよ。受賞作がよほど話題にならなきゃ喫茶店建たないよ。とまあ、突っ込みどころは満載で、この中途半端さを「甘い」と切り捨てるのはたやすい。しかし、ほんの一握りしかいないベストセラー連発作家を目標とするのではなく、他に足場を持った上で、書くことを続けていこうとする考えはおかしくないと思う。この人は、マイペースの執筆活動がしたいのであって、締め切りに追われ、対談だのインタビューだのイベントだのに忙殺される生活に憧れてはいないのである。趣味的に作家活動をしたいというのは、現状のシビアさをふまえた意見とも言えるだろう。

 本を出すために具体的に何をしているのか。こちらの回答も多彩だ。

・とりあえずひとつの作品を仕上げることから……。短編は書けてもたとえば中編を書けるか、ということで原稿用紙200枚を目標に書いています。かなり長い時間をかけて1作品書きました(会社員・23歳・女)

・コンクールに送る。出版社に売り込む。有名な人の個展では芳名帳に無駄に力を込めて(連絡先を)書く(イラストレーター・25歳・女)

・友達と同人誌を作っていた(主婦・37歳・女)

・人に見せるつもりで日記書いてます(司書・45歳・女)

「実際に投稿をしている人も多く、ブログ等で文章の練習をしたり、ネタ帳を書いたり、という人が目立ちました」

 集計した編集Kによると、本を書く=小説を書く、と捉えている人が目立ったそうだ。従来からある作家への王道、ストロングスタイルだ。ただ、王道路線は実力勝負。デビューのチャンスは限られた人にしか与えられない。

「パイは小さくても確実に売れれば、素人にも本が出せるのではないか。この仮説が成り立つかどうか、別角度からの調査が必要ですね」

 同誌では、ニッチを狙えば誰にでも本を出せるのでは、という仮説に基づき出版社を直撃。はたしてそこに光明はあるか?

(『ダ・ヴィンチ』7月号「走れ! トロイカ学習帖」 取材・文=北尾トロ より)