【里田まいも困惑?】手料理よりもチャリティ活動? 日米でこんなに違う「野球選手の妻」

スポーツ

公開日:2014/6/29

 メジャーリーグ1年目にして大活躍を見せているニューヨーク・ヤンキースの田中将大。今年1月に念願のメジャー移籍が決まったとき、その大型契約と共に日米のメディアから注目を浴びたのが田中の妻、里田まい夫人だった。

 メジャーで活躍する日本人選手の妻には、幼少期に海外在住経験があり、もともと英語が堪能だった人が少なくない。たとえば、現ニューヨーク・メッツ松坂大輔の妻、柴田倫世夫人は、高校時代にアメリカへ1年間の留学経験がある。ロサンゼルス・ドジャースで活躍した石井一久氏の妻、木佐彩子夫人も、幼少期の7年間をロサンゼルスで過ごした帰国子女だ。彼女達は英語力を活かして、不慣れな環境に飛び込んだ夫の生活をサポートしてきた。

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 そんな中、アイドルグループ「カントリー娘。」のメンバーとして知られるまい夫人は田中と共に「英語は苦手」と公言。ワイドショーでは、そんなまい夫人が果たして“メジャーリーガーの妻”を全うできるのか?と興味を持って取り上げられた。

 12年前、田中夫妻と同じように、アメリカに飛び立った一組の夫婦がいた。セントルイス・カージナルスなどで8年間プレーした田口壮氏(現NHK解説者)と、妻の恵美子夫人だ。

 メジャーリーガーの夫と、元スポーツキャスターの妻。一見華やかなバツイチアラサー同士が過ごしたアメリカでの日々は、豪華爛漫なメジャーの奥様生活からは程遠い「こんなはずじゃなかった」ことだらけの8年間だったという。田口夫妻の波乱万丈なアメリカ生活は、恵美子夫人の著書『メジャーリーガーの女房 ヨメだけが知る田口壮の挑戦、その舞台裏』(マイナビ)に赤裸々に綴られている。

 恵美子夫人は、日米で“野球選手の妻”に求められることが全く違うことに、カルチャーショックを受けたという。

 日本では野球選手の妻というと、陰から夫を支える「内助の功」というイメージが強い。栄養価の高い手料理を用意して、試合を終えた旦那の帰りを待つ。プロ野球の世界にはそんな“良妻”像がある。実際、恵美子夫人は田口氏と結婚した当初、周囲からの「女子アナにまともな食事が作れるのか?」という偏見が悲しかったという。

 ところがアメリカでは、まずメジャーリーガーの奥様たちのほとんどが料理をしないそうだ。理由は「(毎日試合で忙しい)夫と少しでも会話したり、グラスをゆっくり傾けたりする時間を大切にしたい」から。夫婦の時間を大切にするのであれば、家事をしないことで“ダメ妻”扱いされることもないという。

 彼女たちには、日本にありがちな「陰から支える」甲斐甲斐しさもなければ、表に立つことを一切拒むような、極端な思慮深さもない。彼女たちは、ロールモデル(社会の模範)としての振る舞いを求められるアスリートのパートナーであり、選手と共に表舞台に立つ機会が多いのだ。

 メジャーの各球団には、選手の妻たちから成る“奥さん会”が存在し、頻繁にチャリティイベントを主宰するなどして社会に貢献する。ワールドシリーズでは、相手チームの奥さんたちにギフトを用意して、奥さん会同士でお互いの健闘を称え合う習慣がある。メジャーリーガーの夫を持つことの特別さ、大変さを理解し合う彼女たちは、共に行動することで絆を深め、選手と共に“チーム”としてシーズンを戦うのだ。

 まい夫人は、自身もタレントとして活動していただけに、表舞台に出ることに抵抗は少ないはず。アメリカでは、周囲の目を気にしてマー君の“良妻”に徹する必要などない。メジャーリーガーの妻として、臆することなく堂々と活躍して欲しい。

文=内野宗治