「発言小町」発! ネット民を感動の渦に巻き込んだ「40歳、初めてのお見合い」が書籍化!

恋愛・結婚

公開日:2014/7/17

 困ったことが起きたら、とりあえず、ネットで検索。なければ、掲示板で質問。そんなことが当たり前の世の中だ。「恋愛相談もネットでしている!」というと、「なんて可哀想な奴だ」と思う人も多いだろうが、どうやら、ネット上でのやりとりだって決して捨てたものではないらしい。顔が見えなくとも、WEB上でのやりとりが心の支えとなる場合も少なくはないのだ。

 『40歳、初めてのお見合い』(大手小町編集部:著、森ゆみ子:イラスト/ポプラ社)では、読売新聞が運営する「ヨミウリオンライン」の女性向けページ「大手小町」の掲示板「発言小町」に寄せられた、ほんわかエピソードを紹介している。「発言小町」といえば、女性ばかりが集う掲示板であるが故に、にちゃんねるよりもドロドロとした、女性ならではの毒にまみれているイメージが強いが、本書で扱われている6つのエピソードはどれも心温まるものばかり。特に、表題の「40歳、はじめてのお見合い」は、400万人のネット民たちをほんわかした気分にさせたスレッドのひとつ。2ちゃんねるでも「いい話じゃねーかw」「叩く理由が見当たらない」「良かったなぁおめでとう」と心から祝福するコメントが並んだこの第2の「電車男」ともいえる実話だ。

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 トピ主は、40歳、会社員のアキエさん。ずっと母と2人暮らしだったが、その母が昨年急死。独身で男性と付き合った経験がない彼女だが、ひとりになり、結婚がしたいと思い始めたという。ちょうどその時、亡き母の友人が43歳未婚(初婚)の男性を紹介してくれ、アキエさんは人生初のお見合いをすることに。「そこで、皆さまにお願いです。お見合いにあたって、外見や気持ちの上でのアドバイスをいただけないでしょうか。なにしろ男性と2人きりで話すことすら初体験なのです。」と「発言小町」で相談するに至ったようだ。

 「誠実に人生を送られてきたんでしょうね。そうでなければ、40歳のお見合いの話はなかなかないと思います。」という温かい言葉をかける者や美容院に前日に行くことや女性的なファッションを提案する者など、アキエさんに対して多くの人々が応援メッセージを投稿していく。「相手はダサいおじさんが来ますから、多くは期待しないで、食事を楽しむくらいの気持ちで臨みましょう」という辛口のコメントがあるのも面白いし、「同じ境遇!」「同じ年齢!」と共感するコメントも目につく。そんな彼らの後押しを受けたアキエさんはお見合いに向かう。

 「相手の方は少し地味な印象かもしれませんが、おっとりとした優しい感じでした。相手の方のスーツの後ろスリットにしつけ糸(バツ印の)がついたままで紹介者(母の友人)が場を和ませるように“もうダメね!”と笑って指摘したのですが、私は、この日のために新しいスーツで来てくれたことがとても嬉しかったです」。アキエさんは、しつけ糸ですら「長所」のように語ってみせる。そんな彼女の人柄に多くの人が魅了されたのか、応援メッセージが更に増えていく。そんな中お相手の男性からアキエさんに連絡が。お相手は、どうやってデートに誘ったら良いか、どこに行ったら良いか、ろくな服をもっていなくて幻滅されてしまうかもしれないと頭を抱えていたと言い、2人は、デートのための服を買いにいくというデートをすることに。結局、行き先はユニクロとファミレス。肩肘張らず、話せる相手と巡り合えたことでアキエさんは幸せそうな様子を綴りながら、アドバイスをくれたり、応援したりしてくれるすべての人にお礼を述べていた。

 顔が見えないが、パソコンの向こう側にいるのも、ひとりの人間なのだ。懸命に悩みを相談すれば、きっちりと返してくれる。アキエさんは常に投稿してくれた人への配慮を忘れずにいる。批判的なコメントにも丁寧に対応している様子は、彼女の人柄の良さを感じさせる。純粋で前向きな様子が多くの人に好感をもたらし、たくさんの人からのアドバイスを得ることができたのだろう。そして、そんな彼女の温かさがお見合い成功の鍵にもなったに違いない。ネット上でのやりとりを良いものにするか悪いものにするかは、もしかしたら、アナタ次第なのかもしれない。

文=アサトーミナミ