EXILE TAKAHIROの主題歌付き小説発売! 『三角のオーロラ』の読みどころはココ

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/21

ドラマだって映画だって主題歌があるのだから、小説だって主題歌があっても良いのではと考えたことがある人も多いはず。

そんな人にオススメしたいのが、EXILEを始めとしたトップアーティストの作詞を手掛ける人気作詞家・小竹正人氏の小説『三角のオーロラ』(小竹正人)。本書にはEXILEのTAKAHIROが歌う主題歌CDが付いている。しかも、主題歌は本小説のためのオリジナルで、歌詞は小説から着想を得た著者本人が書き下ろしているのだ。

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この作品は“クランプ”というLA発祥のストリートダンスに夢中になっている主人公のリクとリクを取り巻く人々とのつながりを描いた物語だ。

高校生のリクは“クランプ”の世界大会を観に行くため、カリフォルニアの叔父さんに会いに行った。しかし、本場のダンスの凄さに圧倒されると共に自分のダンスのレベルの低さにショックを受ける。失意の中、帰国する飛行機でリクが出会ったのは光だった。

帰国後、リクは光の家に遊びに行くように。光も光と同棲中の幸も純粋で汚れを知らないリクを可愛がる。年齢も職業も違う3人の関係は家族のようとも、友達のようとも言い難い特別なものとなっていく。そこにリクに長年片思いをする幼なじみの真友良が加わり不思議な4人の物語が繰り広げられる。

音楽も小説も楽しめる『三角のオーロラ』の魅力を紹介しよう!

■『三角のオーロラ』の魅力その1 作者がすごい!

小竹氏の主題歌付き書き下ろし小説は昨年6月に刊行された初作品『空に住む』に続く第2弾となる。前作では三代目J Soul Brothers from EXILE TRIBEが主題歌を歌い、累計6万部の売り上げを記録した。
作者の小竹氏はEXILEのほかにも小泉今日子、中山美穂、藤井フミヤ、中島美嘉、久保田利伸などのトップアーティストの作詞を手掛けている。
物語のキーになるのはオーロラ。オーロラは英語で“Northern lights”だ。リクの苗字は北野であり、北野と光を合わせると“北の光”=“Northern lights”になる。リクと光の強い繋がりを表わしている。一見何も繋がりが無さそうな名前にも裏の意味が隠されているのは、言葉のプロである作詞家ならでは。ぜひ、洗練された言葉の数々にも目を通してほしい。

■『三角のオーロラ』の魅力その2 夢を追うリクがカッコいい!
リクの子どものころからの夢はダンスで成功すること。
クラブのデイタイムイベントで催されたダンスコンテストでは後輩が何人も駆け寄ってくる人気者。文化祭でもダンスを披露したことのあるリクは学校でもダンサーとして有名だ。
そんなリクもクランプの世界大会ではレベルの高さに圧倒されてしまう。しかし、リクはめげない。その時の衝撃を胸にダンスの修行をするためにアメリカに向かう。
ダンスの先生からアメリカ行きを後押しされたリクは「世界に認められているダンサーになります! 周りのダンサーたちに“リク、BUCK!”って言わせてみせます」と言う。BUCKとはクランパー用語で言う「ハチキレてる」、「ヤバい動きをしている」に当たるクランプを踊るものによって最高の褒め言葉だ。
リクの夢を追う真っ直ぐな気持ちに心を打たれる人も多いのではないだろうか。

■『三角のオーロラ』の魅力その3 幸のお姉さんっぷりがステキ
光は明るくてお調子者。誰とでも仲良くなりすぐに家に招いてしまう。リクのことも飛行機の中で会話をしただけなのに家に招いてしまった。
幸はそんなお調子者の光を支えるデキる女。過去には光の調子の良さに腹が立つこともあったが現在はそういった部分も含めて光のことを全て受け入れ支えている。
リクが初めて光宅を訪れた時、光は留守だった。幸は自分ひとりしかいない部屋の中へリクを招き入れる。その後、リクを追いかけ真由良が勝手に来た時も部屋に招き入れ一緒に鍋をしようと誘う。
特に真由良に対する恋愛のアシスト力はすごい。「恋する乙女とは、ほんの些細なことでもいいから好きな人への“要件”がほしいものである。なんでもいいから理由をつけてメールをすれば、そこでまたその人と繋がることができる」と言いながらリクへの伝言を真由良に頼む幸は頼りになる存在。
幸のお姉さんっぷりは本書の魅力のひとつとなっている。

■『三角のオーロラ』の魅力その4 四角関係の恋愛物語
リク、真由良、光、幸の恋愛模様も読みどころのひとつだ。
リクは年上のお姉さんである幸に憧れにも似た恋心を抱く。真由良はリクを好きなのに素直になれず、いつも意地悪な態度を演じてしまう。青春の可愛らしい恋心を見せるリクと真由良。
しかし、それとは対照的に光は体の浮気を重ね、ついには真由良にも手を出そうとしてしまう。幸はそれに気付いていながらも追及しない。という風に、光と幸の大人の恋愛も展開されている。
淡い恋愛と濃厚な大人の恋愛の組み合わせは、おかしな四角関係を演出する。

魅力たっぷりの本書。ぜひ、主題歌を聞きながら贅沢な時間を味わってみてはいかがだろうか。

文=舟崎泉美

『三角のオーロラ』(小竹正人/講談社)