【旨いビールの飲み方】グラスを冷凍庫で冷やすのは絶対NG! ビール検定のテキストで学ぶ

食・料理

公開日:2014/7/22

 安くて旨い発泡酒や第3のビールの売上が急増している一方、ビールの販売量は右肩下がりの昨今、政府・与党は双方の酒税の見直しに着手することを発表した。つまり、どういうことか。発泡酒や第3のビールが増税になり、対照的にビールの価格が安くなるのだ。

 季節はビール真っ盛り、嬉しい話題も相まって、喉が鳴るビール党も多いのではないだろうか。そんなビール好きの間でいま、話題となっている検定がある。その名も「日本ビール検定」、通称「びあけん」。(財)日本ビール文化研究会がビール文化の発展と普及を目的に2012年1月に設立した検定で、階級は1~3級まで。問題は『改訂新板 日本ビール検定 公式テキスト』(実業之日本社)に沿って出題される。

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 テキストの内容は原料の解説や製造工程、世界のビール事情から歴史まで多岐に渡り、受検者にとっては必須データだが、単なるビール好きにとっては正直いらぬ知識。しかし、ただのテキストではないのだ。ビール好きが一番知りたい、“ビールが一層旨く飲めるコツ”を知ることができるのである。

 それでは、宅飲みビールが旨くなる方法を紹介しよう。

「居酒屋で飲む生とは味が違うし、酔えるなら何でもいい」

 そんな妥協で缶ビール・瓶ビールを飲んでいる人もいるかもしれないが、それは大きな間違い。

 樽詰ビール(生)=生ビール
 であり、
 缶ビール・瓶ビール=生ビール
 でもあり、中身は全て同じなのである。

 ではなぜ味が違うと感じるのかと言えば、それは泡の存在にある。

「ビールの泡は、グラスに注がれたビール中の炭酸ガスやホップや酵母が醸し出した香りの急な揮散や、空気との接触による酸化を防ぎビールのおいしさを保つ役割を果たしています。つまり“ふた”の役割を担っています」

 泡立ちは、ビールに含まれる炭酸ガスを衝撃を与え、適度に抜くことでできる。さらにその泡のきめが細やかなら細やかなほど、「泡持ちがよく、ビールの香りや炭酸ガスをビールから逃さない」という。

 そこでまずやってはいけないのが、「缶ビールを缶のまま飲む」こと。これでは炭酸ガスがほとんど抜けないことから、苦味を強く感じたり、炭酸ガス圧による刺激を感じ、ビールの旨さを引き出せないままだ。

 グラスも何でもよいわけではない。

「美しくゆるやかな曲線を持つ円筒形で、底に丸みのあるものが適しています。この形状のグラスは、ビールを注ぐとき円を描くように下から上へとなめらかにビールが対流して、きめ細やかな泡をつくります」

 対照的に適していないグラスは、「グラスの縦横比率が大きすぎる・小さすぎる」「グラスの先が開いている」「グラスの底が角張っている」「特殊な形」だというから、今すぐ自宅の食器棚をチェックしてみよう。

 適したグラスがあったなら、

「まずは冷凍庫でキンキンに冷やして、ビールを注ごう」

 良かれと思いやりがちなこの行為、実はやってはいけない勘違いだったのだ。

 冷凍庫で凍らせてしまうと、
「グラスとの接触面でビールが瞬間的に凍ってしまい、味が変化してしまうことがあります。また、ビールの適正温度が下回ってしまったり、グラスに結露ができやすくなり、その水滴によって泡の発生状態にムラが生じ、きれいな泡が作り出せなくなります」
 というが、冷蔵庫で適度に冷やすのはOK。注ぐ際にビールが温まるのを防いでくれ、ビールの爽快感が倍増するのだ。

 そして、ビールを旨く飲む上で最も重要なのが注ぎ方だが、誰もが旨く注げる「3度注ぎ」を紹介しよう。

 まず、当然のようにやってしまう「グラスを持って傾ける」行為は、泡が立ちにくくなるため実はNG。グラスはまっすぐテーブルに置いたまま、ビールを底面めがけて勢いよく注ぎ、泡がグラスの半分程度できたらいったんストップしよう。上部の粗い泡が消え、細かい泡の比率が多くなるまで待つのだ。泡が落ち着いたら、今度はグラスの縁に沿って、ビールをあまり泡立てないようにグラスの9割程度まで注ごう。再び泡が落ち着くまで小休止。最後は、さらに慎重にゆっくりと注ぎ、泡がグラスの縁より高く盛り上がるように意識するのがコツだ。

 するとどうだろう。ビールが旨くなる黄金比「7:3」が見事にできあがり、すでに視覚で旨さを実感でき、ひとたび口に入れれば、今まで「たかが宅飲みビール」と侮っていたことを後悔するだろう。

 “旨いビールの飲み方”を知れば、この夏、ビールがますます好きになるはずだ。

文=羽屋川ふみ