兼業主夫が教える旦那をイクメンにするコツ

出産・子育て

公開日:2014/7/28

 ずいぶん世間にも浸透してきた“イクメン”だが、まだまだ育児の割合は女性主体の家庭がほとんどだろう。本当はもう少し分担してほしいと思っているが、なかなか言い出せない奥さんもいるだろうし、家事が一切できないからと諦めて、任せっきりになっている旦那さんも多いのではないか。しかし、『コミックエッセイ 新ニッポンの父ちゃん  兼業主夫ですが、なにか?』(杉山錠士、アベナオミ/主婦の友社)によると、旦那をイクメンにするためのコツがあるというのだ。著者であるジョージこと杉山錠士は、イクメンブームの前から放送作家との兼業主夫として育児や家事をこなしてきた人物なのだが、旦那を彼のようなイクメンにしたり、自身がイクメンになるためのコツとはいったいどんなものなのだろうか?

 まず、イクメンという言葉を生み出したNPO法人『イクメンクラブ』には、イクメンクラブ3カ条というものがある。それが以下の3つだ。

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1.イクメンとは、「育児を楽しめるカッコいい男」のことである。
2.イクメンは、子どもたちを広く多様な世界へ誘い出す。
3.イクメンは、妻への愛と心づかいも忘れない。

 それに、父親団体のなかでもっとも大きいといわれるNPO法人「Fathering Japan」のホームページには、「“よい父親”ではなく“笑っている父親”を増やすこと、それがFathering Japanのミッションです」と書かれている。つまり、イクメンは必ずしも家事ができなきゃいけないというわけではないのだ。これだけでも、家事ができないからと諦めていた旦那さんたちにとっては、ずいぶんハードルが下がったのではないか。

 また、旦那さんに家事や育児を手伝おうという気持ちはあっても、仕事を終えて家に帰ってくると、どうしてもスイッチがオフになってしまい、なかなか実現しないことも多い。そんなときは、「今度、時間ができたら○○しよう!」と思うのではなく、「○○をしたいから時間を作ろう!」と思うことが大切なのだという。わかっているけどできないという。

 人は、「家事や育児のスケジュールを手帳に書きこむ」といいらしい。例えば、「16時から打ち合わせ」と書いたあとに「20時から子どもとお風呂」といったように、仕事と同じような形で書きこんでおく。そうすると、仕事中でもチェックするし、何かお誘いがあっても「あっ、お風呂に入れる日か」と踏みとどまれる。仕事上必要なお誘いなら断らない方がいいけど、行かなくてもいいお誘いは受けないという判断ができるようになるというのだ。

 そして、育休をとったり、育児に挑戦してみる際には、「やりすぎないこと」が大切だという。育休中は、仕事を忘れてどっぷり育児に浸かるという人もいれば、仕事のことも気にかけながら育児に追われるという人もいるだろう。でも、「すべてを自分でやろうとせず、苦手なことは妻に助けを求める」ことも必要なのだ。せっかく育休を取ったり、育児にチャレンジしてみても、その間に燃え尽きてしまってはイクメンにはなれない。気負わずに楽しむことがポイントなので、ジョージのように娘をフットサルやサッカーに連れ出したり、飲みの席に連れて行って自分の趣味に巻き込んでしまうくらいでもいいのだ。特に、奥さんが2人目の子どもを妊娠している間は、まる2ケ月、7歳の長女と2人で過ごさなければならなかったので、よく居酒屋にも行っていたという。なかには、居酒屋に「子どもと行くのはよくない!」と言う人もいるだろう。しかし、そういった場で大人に対する接し方や話し方を覚えていくし、ファミレスとは違う居酒屋メニューの食べ方など、うんちくを語ることで「パパって物知り!」と見直してくれたりもするので、メリットもあるとジョージは語る。これは、父親ならではの子育て方法だと思うし、父親としての信頼や威厳を保つためにも効果的なのかもしれない。

 イクメンという言葉が定着したとはいえ、毎日の送迎や保護者会、乳幼児健診など、まだパパがやるには肩身が狭い思いをすることもたくさんある。そんなときは、ママ友やパパ友と交流する場を設けたりしながら情報交換をし、壁や偏見、不安を消していくといいらしい。旦那さんをイクメンにしたければ、お互いにママ友、パパ友の輪に引き込み、その人にしかできない育児を模索するところから始めてみるといいのではないか。

文=小里樹