偉人もけっこうダラダラしてた!? 最新科学で解き明かすダラダラ生活のススメ

暮らし

公開日:2014/7/28

 ボーッとしている時間が長い人をみながら、無性にイラついて「働かざる者、食うべからずじゃ!」と熱いビンタの一発を見舞いたくなったことがある人、実は少なくないのでは?

 しかし、神経科学的にいうと「わたしたちはそんなに頑張るべきではありません。というよりも、何もしないほうがいいくらいなのです」というではありませんか!

advertisement

 そう記されているのは「何もしないメリット」を科学的に解明する書籍『できる人はダラダラ上手 アイデアを生む脳のオートパイロット機能』(月沢李歌子:訳/草思社)。著者は、スウェーデン出身の神経科学研究者、アンドリュー・スマート氏。何もしないほうがいいってどういうこと?

「近年の心理学研究は、脳の創造的な可能性を生かすには、邪魔の入らない長い休息が必要であることを示しています。少なくとも、休むことは、脳の健康にとって、目的のある精神活動と同じように必要だと考えられているのです」

 なんでも、2001年にセントルイス大学の認知神経科学者が「安静時の脳活動」に関して、何もしていないときに活発化する「デフォルトモードネットワーク」を発見。このネットワークは、いわば自動操縦で目的地までつれていってくれる脳のオートパイロット機能のようなものだとか。

 具体的にいうと、怠惰でいるときの脳内では広範囲にわたるネットワークが形成され、各領域が情報のやりとりをスタート。無関係に思えることを結び付けたり、パターンを見つけたりして、“ひらめき”が生まれやすくなるのだそう。

「クロマニヨン人は暇だったから創造的破壊を起こせた」
「XとYの座標軸を思いついたとき、デカルトはごろ寝をしていた」
「働きたいときだけ働くタイプだったニュートン」

 など、偉大な科学者や芸術家たちも案外ボーッとしていたらしい。それがすぐれた発見や名作を生んだのだから、うーんすごいぞ、ダラダラパワー。

 このダラダラ術を取り入れるには、「楽な姿勢をとったり、心地よい枕を見つけて横になったりして、課題やタスク主体の活動を忘れるだけでいいのです。すぐれた絵画を見たり、気に入った音楽を聴いたり、いたずら書きをしたりするのもいいでしょう」と、方法は至ってカンタン。

 ただし、メールや電話、フェイスブック、TO DOリストの確認などはダラダラタイムには不向き。脳に刺激を与えず、ボーっとすることが大切らしい。

 あわただしい日々を過ごし、とにかく脳を酷使しがちな現代人。クリエイティブ力を高めたい人はもちろん、働きづめで疲れている人、頭の中をクリアにしたい人は、さあ、今から10分だけでもレッツダラダラ!

文=矢口あやは