大自然すぎる!秘境でのゴルフとは!? ゴルフマンガ『オーイ!とんぼ』連載開始

マンガ

更新日:2014/8/5

 ゴルフマンガと聞いて何を思い浮かべるだろう? やはり藤子不二雄Ⓐによる『プロゴルファー猿』や、ちばてつやの『あした天気になあれ』だろうか。両作品ともに、テレビアニメ化され、『プロゴルファー猿』の必殺技「旗包み」や、『あした天気になあれ』の「チャー・シュー・メン!」の掛け声は、アニメを見ていた子供からゴルフをプレイする大人まで広く広まり、ゴルフマンガだけでなくゴルフの知名度・注目度を向上させた。

 ゴルフマンガといえば他にも、『ビッグコミックオリジナル』で現在も連載中の『風の大地』(原作:坂田信弘 画:かざま鋭二)、『週刊ゴルフダイジェスト』連載の『千里の道も』(原作:大原一歩 画:渡辺敏)が長期にわたって連載されている。特にゴルフマンガに興味がない人もそれらのタイトルも知っているのではないだろうか。

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『千里の道も』は2014年7月29日の掲載分をもって連載が終了。実に25年にわたる長期連載でゴルフマンガでは史上最長の作品となった。

 今回、その『千里の道も』に代わって『週刊ゴルフダイジェスト』(8/19・26夏休み超大号)で連載が始まったのが『オーイ!とんぼ』だ。『週刊ゴルフダイジェスト』はマンガ誌ではなく、ゴルフ情報を掲載する雑誌なので、マンガ作品はそれほど多くない。今回の『千里の道も』からのバトンタッチは25年続いた『千里の道も』を引き継ぐ歴史的なリニューアルと言えるのではないだろうか。

 『オーイ!とんぼ』の第1話は「幽霊船と、忘れられた島」というおよそゴルフマンガとは思えない不穏なタイトルで、出航の予定が時刻表に掲載されていない「幽霊船」と呼ばれているフェリーが夜の海を行くシーンから幕を開ける。

 そのフェリーに乗り込んでいる五十嵐一賀は、日本プロゴルフ協会を追放になった元プロゴルファーの中年男性。貯金もなく無職の五十嵐は、ネットで鹿児島県のトカラ列島での住み込みの仕事を見つける。家賃を滞納しアパートを追い出される寸前だった五十嵐は、渡りに船と「幽霊船」に乗って、面接を受けるためにトカラ列島を目指すのだった。

 トカラ列島は屋久島と奄美大島の間に点在する12島を指す。そのうち人が住んでいるのは7島で、いちばん人口が多い島で百数十名、いちばん小さな有人島は周囲がわずか4.7キロメートルしかなく、人口も60人を割り込んでいるという。唯一の交通手段のフェリーも鹿児島からの週に2便だけだ。いくらゴルフが自然の中で気持ち良くできるスポーツだといっても大自然すぎる場所だ。

 そんな日本最後の秘境とも言える場所に仕事の面接を受けにきた五十嵐は、すでに住み込む気まんまんで家財道具一式を持ち込んでおり、その中にはゴルフクラブも含まれていた。もちろんゴルフマンガなので、ゴルフクラブはしっかりと持ってきてもらわないといけないのだが、それがなければよもやゴルフマンガとは思えない第1話だ。

 原作を務めるのは、同じくゴルフダイジェスト社から刊行されている『ボギー』など多くのゴルフマンガ誌で看板マンガの原作を手掛けるかわさき健氏。作画を担当するのは、かわさき氏とともに『ボギー』で『カラッと日曜』を連載している古沢優氏だ。2人は、そんなゴルフ場があるとは思えない秘境トカラ列島を舞台にどんなゴルフを描いていくのだろうか。

 主人公・とんぼは、島の大自然を象徴するような奔放な子供で、第1話での登場シーンは素潜りでタコを捕まえて埠頭に上がってくるというワイルドなもの。とんぼはただの島の子供ではないようで、最後の場面ではなんとゴルフクラブを使って干してある布団を叩いているのだ。なぜとんぼはゴルフクラブを持っているのか。元プロゴルファーの五十嵐はこれから、とんぼと、島とどう関わっていくのだろうか。

 人生が破綻しかけていた五十嵐の中でさしあたった問題は生活の立て直しだ。正直今はゴルフどころではない。しかし、人生を見つめ直したときにゴルフは彼の中でどんな位置に落ち着くのだろうか。とんぼの成長とともに今後の展開が(そもそもゴルフがまともにできるのかという心配も含めて)とても楽しみな作品だ。

『週刊ゴルフダイジェスト』(8/19・26夏休み超大号)では、新連載の『オーイ!とんぼ』の他に、暑中御見舞スーパー付録として、女子ゴルファーを徹底解剖した「女子ゴルフ撮り下ろしエンタメ観戦BOOK」が付いてくる。プロだけでなく、勝みなみら最近話題のスーパー女子アマにも迫っている。

文=村上トモキ

『週刊ゴルフダイジェスト』8/19・26夏休み超大号( ゴルフダイジェスト社)