音楽との相乗効果で何倍も楽しい! ボカロ小説ランキング

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/21

初音ミクに代表される“ボカロ”。パソコン上で、メロディーと歌詞を入力すると人間の声をもとにした歌声が再現できるというもの。そんなボカロと小説がリンクした“ボカロ小説”が女子中高生を中心に人気だ。そこで、ライトノベルの編集者を経て、現在はサブカルチャーのライター・評論活動を手がけている飯田一史さんに、珠玉のボカロ小説を紹介してもらった。

■1位 『ミカグラ学園組曲1 放課後ストライド』 Last Note. KADOKAWA メディアファクトリーMF文庫J 580円(税別)
舞台は、全寮制私立高校・ミカグラ学園。学内の部活は文化系ばかりだが、各部の代表者たちは異能力の持ち主で……。原曲を手掛けたLast Note.の書き下ろし作品。

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■2位 『悪ノ娘 黄のクロアテュール』 悪ノP(mothy) PHP研究所 1200円(税別)
14歳の暴君王女と王国の顛末を歌詞にした曲『悪ノ娘』『悪ノ召使』のノベライズ作。業界初のボカロ小説でもあり、歌詞の読み解きや複数曲のリンクという手法を生み出した。

■3位 『リンちゃんなう! SSs(ショートストーリーズ)』 sezu/著 ガルナ(オワタP)/監修 一迅社 1200円(税別)
クリプトン・フューチャー・メディア社のボカロソフト「鏡音リン」のシンボルキャラクターの存在を軸にした短編集。ボカロに関する小ネタも多く、わかりやすいオチも痛快。

■4位 『人生リセットボタン』 KEMU VOXX/原案 木本雅彦/著 PHP研究所 1000円(税別)
謎の少女と出会いリセットボタンを入手した中学生のユウトは、完璧な人生を築こうとするが……。ランキングの選者・飯田さんは「曲を聞かずに読んでものめりこめる」と語る。

■5位 『from Y to Y』 ジミーサムP/原作 三上康明/著 一迅社 1200円(税別)
切ない恋心を歌った原曲を基に、田舎町で育ったユウカ、ミサキ、ショウタの物語が描かれる。ほとんど一般文芸のようなたたずまいに、飯田さんは「新鮮な作品」と評価する。

■6位 『先生と少女騒動』 マイナスP(ワンダフル☆オポチュニティ!)/原案 美雨季/著
角川ビーンズ文庫 580円(税別)
旧校舎で不気味なメモを見つけた主人公は、つい深入りしてしまい……。原曲で表現された“事件の表と裏”に加え、小説ではさらなる別の側面が判明。純愛の結末を描く衝撃作。

■7位 『クワガタにチョップしたらタイムスリップした』 家の裏でマンボウが死んでるP/監修 タカハシヨウ/著 講談社 1200円(税別)
思わぬ方法で50年後の世界にタイムスリップしてしまった女子高生が主人公の青春SFストーリー。予測不可能な展開と、斬新な言語感覚が印象的で、オリジナリティにあふれる。

■8位 『こちら、幸福安心委員会です。』 うたたP/原作 鳥居 羊/著 PHP研究所 1200円(税別)
AIによる統治で“幸福度100%”を目指す国家・みずべの公園市国が物語の舞台。明るい曲調と残酷な結末で大人気となった原曲の、裏側に潜んでいた切ない逸話が明かされる。

■9位 『ココロ』 トラボルタ/原作 石沢克宜/著 PHP研究所 1200円(税別)
“ロボットに魂は宿るのか?”をテーマにした切なさ満載のシリーズ第一作。初期ボカロムーブメントを代表する楽曲で、09年に著者によって舞台化された後にノベライズされた。

■10位 『いーあるふぁんくらぶ』 みきとP、黒渕かしこ、ヨリ(横槍メンゴ)/原作・監修 御門 智/著
一迅社 1200円(税別)
中華スターにあこがれるリンとグミが通う中国語教室に、アイドル声優の心響が入学。思わぬ展開が続くコメディ作。飯田さんは「原曲の細部までストーリー化してある」と唸る。

取材・文(ランキング部分)=澤井 一/ダ・ヴィンチ9月号 「その道のプロに聞く! ダ・ヴィンチなんでもランキング」