クソでも役に立つ? ウンチを観察して分かる体の健康

健康

更新日:2014/8/13

 歩くのも辛くなるほどの暑さが続いているが、読者のみなさんはいかがお過ごしだろうか。猛暑により自律神経が乱れ、体調不良になるという話もあるが、ともあれ、健康にはいついかなるときでも気をつかっていきたいものである。

 さて、健康でいるためには何らかの方法で、体の調子を察知しなければならない。あるときふと目まいがしたとか、急にだるくなってきたといったように、体に明らかな変調をきたすようであれば誰しも気づくはずだ。しかし、体内で何らかの病気や疾患を抱えている場合、必ずしも体感できる症状が出るわけではない。それならば、何を参考とするべきかなのだが、今回はあえて、ふだん目に止めない「ウンチ」に焦点を当ててみたい。

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 その上で参考にしたいのが1冊の書籍『ウンチのうんちく』(左巻健男/PHP研究所)である。何やらタイトルからしてツッコミたくなるような雰囲気だが、ぜひともこらえて頂きたい。同書は、ウンチとはそもそも何か、何からできているのかといった話から、1冊を通してウンチにまつわる「うんちく」を、科学的に真っ向から取り上げた書籍である。そして今回は、同書の中から健康にまつわるウンチの話を取り上げていきたい。

 体内環境が健全かどうかを見極めるために、同書は何より「便を観察する」のが一番だとうたっている。そして、腸内細菌の研究者が挙げる理想のウンチを以下のように記している。

 ・毎日、力まずにストーンと出る
 ・色は黄色から黄褐色(茶褐色や黄色、緑っぽい色)
 ・重さは200~300グラム(分量はバナナ2~3本分)
 ・臭うけれども、きつくない
 ・硬さは、バナナ状から練り歯磨き状
 ・水分量は80%(便器に落ちると水中でパッとほぐれて、水に浮く)

 なぜかやたらとバナナが例に挙がる同書だが、何はともあれ、分量や硬さはバナナを基準に考えると分かりやすい。また、ウンチの太さは肛門括約筋の強さによるとされており、健康な状態であれば、皮をむいたバナナと同じ程の太さになるという。そして、トイレットペーパーで拭く必要がないくらいスルリと便が出るようであれば、消化器が正常に働いていると思ってよい。

 さらに、ウンチの色も健康かどうかを見極めるためには重要である。通常は茶褐色や黄色、緑っぽいような濃い色だが、脂質を過剰に摂取しているときは白っぽくなる。また、タール状でドロっとしたウンチの場合は、体内の消化管から出血している可能性もあるため、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、胃がんなどが疑われる場合もあるそうだ。

 同書ではこの他にもウンチにまつわる解説だけではなく、宇宙飛行士がどうやってウンチをするのかなどの、非常に興味深い話がたくさん詰まっている。また、同書を手に取ったのはたまたまだったのだが、何の因果か、お台場の日本科学未来館では「トイレ? 行っトイレ! ~ボクらのうんちと地球のみらい」も開催されている。

 子供たちだけではなく、夏休みに突入した大人たちも少なくないだろう。クソの役にも立たないとはいわずに、この機会にぜひとも、ウンチについて考えてみるのはいかがだろうか。

文=カネコシュウヘイ