【ファッション誌を読んでいるのになぜかダサい…】 非おしゃれ女子“あるある”満載のコミックエッセイ!

暮らし

更新日:2016/1/8

 以前、ボーナスで購入した7万円のジャケットを着ていたら、「オジサンっぽい」と言われたことがある。……オジサンではないのだ!“マニッシュ”なのだ!“マニッシュ”の定義はよく分からないが、雑誌に「この秋はマニッシュが気分」と書いてあったのだから、マニッシュが気分なのだ!

 お洒落な友人の「ユニクロばっかりだよ」という言葉を真に受け、全身ユニクロで固めたところ、「THE・ユニクロ」になったこともある。「洋服は、何を着るかではなく、どう着るか」という説もあるが、最も重要なのは「だれが着るか」ではないかと思う。根っからセンスのない筆者が何をどう着ようと、悲しいかな、お洒落には見えない。

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(なんでわたしばっかり……)といじけていたところ、書店で、「コーデ苦手女子 応援コミックエッセイ」なるものを見つけた。タイトルは『着ていく服が見つからない 洋服選び受難女子 応援コミックエッセイ』(曽根愛/KADOKAWA メディアファクトリー)。もちろん即買いした。飲み会などに誘われても、「服がないから今度でいい?」と断って大ヒンシュクを買っている筆者のために書かれたかのようだ。

 主人公は、デザイン系会社勤務のフジコ(30歳)。“おしゃれ偏差値いまいち女子”のフジコが、日々、「着ていく服が見つからない!」と嘆きながら、お洒落な同僚たちのアドバイスを受けつつ、でもやっぱり失敗を繰り返しつつ、それでも少しずつお洒落になってい……くような、いかないような、そんなエッセイ。

 筆者も含め、アラサー女性が必ず通る道。それは、「いつまで20代に着ていた服を着ていいのか?」という普遍のテーマ。フジコも、(女の子らしい服、着たいな~、まだイケるかな~、着ちゃっていいかな~、つーか、着てみたい!!)と109へ。ピンクのフリフリワンピを着た店員さんに「ご試着されますか?」と聞かれ、「いや、いいです!!(めっそうもねえ)」と店にも入れない。……分かるよ、フジコ。その気持ち。

 そしてたまたま通りがかったコスメコーナーで、お姫様アイテムを発見する。(ファッションはムリでも、これなら大丈夫かも)と、コンパクトミラー(おそらくジルスチュアート)をGET。「女子はみんな、いくつになってもお姫さまだもんね」……分かるよ、フジコ。その通りさ。

 2月のまだ寒い季節、早くもスプリングコートが店頭に並んでいる。(セールまで待つか?)――早くてもプレセールで5月。すぐ夏になってしまう。(定価で買うか?)――スプリングコートに29,800円は高い。でも今買えば4カ月は着られる。思い切って定価で買おうと、次の日、再びお店へ。サイズはS・M・L、色もベージュ・ピンク・カーキと揃っている。お店は空いているし、店員さんもゆっくり接客してくれる。そしてフジコは気づく。「定価で買うのは、時間を買うのと同じなんだな」

 非おしゃれ女子が、そう簡単にお洒落になれるわけではない。それでも小さな努力を積み重ねて、なによりお洒落を楽しむことで、(わたしも変われるのではないか?)と思わせてくれた。ありがとう、フジコ。

P.S. 昨日、「絶対、着ないだろうな」というジルの新作ワンピ、買っちゃった。

文=尾崎ムギ子