一番おもしろいBLを選ぶ、「このBLがやばい!」大賞2015年度版投票受け付け中! 昨年の受賞作は…?

BL

公開日:2014/9/25

 突然ですが、アナタはマンガを購入するとき、どんな基準で選んでいますか? 口コミやレビュー記事を参考にしたり、書店でジャケ買いをしたり、「○○万部突破」という記録に惹かれたり…。その基準は人によってさまざまだろう。ちなみに、ぼくはジャケ買い派。「これは、きっとおもしろいかも…!」という謎の直感で購入するケースがほとんど(その分、当たりハズレの振れ幅も大きいのだけれど…)。

 でも、どうせならハズレじゃない作品を選びたいもの。そんな人たちに支持されているのが、毎年年末に発表される、宝島社が主催する「このマンガがすごい!」大賞だろう。ランクインした作品はヒット間違いなしともいわれ、実際、過去には『進撃の巨人』(諫山 創/講談社)や『君に届け』(椎名軽穂/集英社)など、大ブームとなった作品がズラリと並ぶ。何を読むか迷った際には、とりあえず同賞に選ばれた作品を選べば、まあ間違いはないだろう。

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 …おっと、今回は「このマンガ」の話じゃなくて。実は、世間には「BL」に特化したマンガ大賞があるのをご存じだろうか。それが宙出版による「このBLがやばい!」大賞だ(音の響きから、なんとなく「このマンガ」を意識している感は否めないけれど、そこは目をつぶっておこう)。

 同賞はその名の通り、その年、一番おもしろいと思われる「BL作品」を選ぶ賞だ。作品はマンガと小説の2部門にわけられ、いずれも実に濃ゆい作品が並んでいる。自らを腐女子(腐男子も含む)と称するのであれば、どれも必読のものばかり。もちろん、これから腐っていこうかなと思っている人たちへの道標ともなりうる。9月30日(火)までは、WEBから2015年度版の投票も可能なので、すでに腐りきっていてイチオシのBLのがあるならば、投票してみるのもおもしろいだろう。

 ちなみに、2014年度、マンガ版で第1位に輝いたのは、『東京心中』(トウテムポール/茜新社)。小説版は『nez[ネ] Sweet Smell』(榎田尤利:著、湖水きよ:イラスト/大洋図書)だ。そこで、ものは試しに、マンガ版の王者『東京心中』を読んでみたのだけれど…、これがとってもおもしろい!

 物語の舞台となるのは、TV業界。そこで、新米ADの宮坂絢と、先輩ディレクター・矢野聖司の恋模様が描かれる…。とここまで聞くと、「やっぱりただのBLじゃん!」と思われるかもしれないが、この作品の魅力はそこに留まらない。

 2人の恋愛を中心に据えつつも、もともと映画が好きで映像の世界に飛び込んだ矢野の夢に向かう姿や、仕事に意義を見出さないイマドキの若者である宮坂が成長していくさまがつぶさに描かれ、それはある種の青春モノとしても読めるのだ。TV業界の現場は非常に厳しく、もちろん宮坂にとっての矢野は、まるで鬼のよう。しかし、大好きな映画の話をするときだけは、矢野もキラキラとした笑顔を浮かべる。そのギャップに、宮坂は心をギュッと掴まれてしまうのだが、ぼく自身もうっかりキュンとしてしまった。おそらく、大勢の読者も心奪われたに違いないと思う。

 そんな矢野に夢中になる宮坂は、まるで犬のよう。BL風にいうならば、「ヘタレわんこ」属性を持ったキャラってとこか。見ていて若干痛々しくなるほどの従順っぷりだが、大好きな相手に対して盲目的になってしまう気持ちはわからなくもない。…というか、かなり共感できてしまう。それに対して、矢野のツンデレっぷりときたら、まさにこちらの心をかき乱す。矢野さん、もう勘弁してください。

 想像しているよりも、2人の甘々シーンは少なめ。それよりも、業界内での日常を丁寧に描いているので、BLアレルギーを持っている人でも抵抗なく読めるだろう。ぼくも、いつしか宮坂に感情移入し、すっかり作品のトリコになってしまった。2人の物語がどのようなカタチで着地するのか、しっかり追いかけて行こうと思う。…はっ! もしかして、ぼくも腐り始めているんですかね!?

文=前田レゴ