出会いは守護霊のおかげ!? 作者2人が語る『テラフォーマーズ』誕生秘話

マンガ

更新日:2014/9/26

 TVアニメの放送がスタートしたマンガ『テラフォーマーズ』。人型に異様な進化を遂げたゴキブリと人類の戦いという奇想天外な設定が読者を鷲掴み、一気に人気マンガへと駆け上がった。

 原作者・貴家悠は昨年春まで大学生だったという期待の新鋭。そしてこの大胆なイメージを流麗かつ迫力ある絵で表現してみせる橘賢一。『ダ・ヴィンチ』10月号では、息の合った名コンビが、『テラフォーマーズ』誕生秘話を語っている。

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【貴家】『ヤングジャンプ』を立ち読みしていたら、橘先生のアシスタント募集の広告が目にとまったんです。いつもは読み飛ばすページなのに、なぜかそこだけ光って見えた(笑)。一旦コンビニを出たんですけど、その募集が気になって『ヤンジャン』を買いました。今思うと、守護霊がなんか言ってたんですよ、きっと。

【橘】4年前に『ヤンジャン』の担当編集者から、「話作りはうまいけど、絵は下手だから育ててあげて」と頼まれたのが貴家くんなんです。

【貴家】アシスタントの面接のとき、別の出版社に持ち込んでボツになったラグビーマンガを編集者に見せたんです。そしたら、「こんなに絵が下手なのに最後まで読ませるとは」と評価されて(笑)。

【橘】集中連載の忙しいときだったので、何もできない大学生を寄こされてちょっと困りましたね。ただ、好青年だし、やる気もあるので、ちょっと手伝ってもらいました。3回だけですけど(笑)。

【貴家】当時はトーンの削り方すら知らなかったですからね。

 その後、『ミラクルジャンプ』の新創刊が決まり、橘さんは貴家さんの原作でSFを描いてみることを提案されたそうだ。

【貴家】編集さんから「潜水艦か宇宙船か火星の話で書いて」と言われたのがきっかけです。火星に苔とゴキブリを送って環境を変えるという理論は本当にあって、それを子どもの頃にTVで見て覚えてたんですね。宇宙船か火星の話で自分が知っていることといったら、それしかなかった(笑)。

【橘】僕もSFなんて描いたこともなかったので、最初は勉強勉強でしたね。テラフォーマーの造形については、担当編集者を交えて3人でアイデアを出し合って作っていった感じです。人間の顔のようでありながら、微妙な違和感みたいな怖さを出そうって。

【貴家】女子にどんな話か聞かれたら、ほぼアウトですよね。デカいゴキブリが……って(笑)。

【橘】気持ち悪さを狙って描いてるので、ある意味、褒め言葉なんですけど、そこで引かないで読んでほしいですよね。

 『テラフォーマーズ』は設定だけ聞くとそう思われかねないが、実際はスタイリッシュな絵と、熱くて個性的なキャラが活躍する純然たるSFバトルだ。秋からのTVアニメ化により、世間のイメージは「カッコイイ」という評価に一転するに違いない。

取材・文=大寺明/ダ・ヴィンチ10月号「コミック ダ・ヴィンチ」