「前田玲奈」声優インタビュー＆撮り下ろしグラビア【声優図鑑】

これからの活躍が期待される声優に、声優を目指したきっかけや、初めてのお仕事、そしてプライベートなことまで、気になるあれこれについてインタビューを行い、さらに撮り下ろしのミニグラビアも交えて紹介する人気企画「声優図鑑」。

第31回となる今回は、TVアニメ『それでも世界は美しい』のニケ役や『人生相談テレビアニメーション「人生」』の二階堂彩香役などを演じる前田玲奈さんです。

――初めて声優という職業を意識したのはいつですか？

前田：高校2年生の夏ぐらいですね。ちょうど進路を決め始める時期に。それまでは服飾関係の両親の影響で、私もデザイナーになりたいと思っていたんです。でもあるとき、ちょっとした事件がありまして！ すごく覚えてるんですけど、学校の階段の真ん中あたりで、ある女の子が「前田さん、よかったら一緒にカラオケ行かない？」って声をかけてくれたんですよ。顔は知っていたし、何度かお話したことはあったけど、一度も同じクラスになったことがない子だったからびっくりして。

それで一緒にカラオケに行ったら、その子はガンガン歌うタイプで(笑)。電波ソングとか、萌え系のキャラソンを歌ってくれたんです。しかも、すごく上手に。私は内気でなかなか歌えずにいたんですけど(笑)。家に帰って調べたら、彼女が歌っていたのはアニメの曲だったんですよね。その影響でアニメを見たらすごく面白くて、声優さんのことも意識するようになりました。

――それまで、マンガやアニメに触れる機会は？

前田：小さい頃は『セーラームーン』を観ていました！ あと、『カードキャプターさくら』も好きで、追いかけてました。大道寺知世ちゃんの「絶対大丈夫ですわ」っていうセリフがすごく好きで！ 今でも緊張したりするときに、そのセリフを思い出して気合いを入れています(笑)。

小6くらいで好きになったのが『ドカベン』のマンガでした。もともと『ちびまる子ちゃん』が好きだったので、作家のさくらももこ先生のエッセイを読んでいたんです。そのとき、たしか里中くんのことが書いてあって、影響された記憶があります。『ドカベン』の単行本とか持ち歩いてました。「里中くん、めっちゃカッコいいよね？」って友だちに広めながら(笑)。少女漫画も好きなんですよ！ 中学・高校は共学でしたけど、色恋のない生活を送っていたので…(笑)、少女漫画からときめきの成分を吸収して、心を潤していました♪


――小さいころはゲームも好きだったとか。

前田：はい！ でも、RPGはあんまりできないんですよ。途中で地図がわからなくなるんです(笑)。それは、実生活でもそうなんですけど…(笑)。だから、FFとかドラクエは何度も断念して、マリオにハマッてました。裏ステージもあわせて完全クリアしていましたね。あと、お父さんと一緒に、『戦国無双』の共同プレイで敵をなぎ倒したりとか。あ、あと、ギャルゲーでいろんな女性をオトしていったりとか(笑)。

――『ドカベン』とか『ギャルゲー』とか、ちょいちょい男性的な目線が絡んできますね(笑)。

前田：そうですね…(笑)。私も、自分で話しながらそう思いました(笑)。

――では、声優の仕事を始めたころ、印象的だったことは？

前田：初めてアフレコをした『緋弾のアリア』のことはよく覚えています。私のセリフは「ふけつ！」っていう一言だったんですけど(笑)。一言だけなのに、間違えないように台本にペンでメモをしたり、言い方を何通りも考えて。初めて実際のアフレコ現場に入ってみて、ものすごく学ぶことがたくさんありました。『緋弾のアリア』はけっこうアクションシーンが多い作品なんですけど、主演の釘宮理恵さんのアクションンシーンの演技が、自分の想像をはるかに超えていて！ 本当にただただ、感動しました！

――TVアニメ『それでも世界は美しい』では、ニケ・ルメルシエ役で初主演されましたね！

前田：ニケ役が決まったときは本当に驚きました！ 歌がとっても重要な作品なので、歌とお芝居の両方ができるなんて、絶対にニケを演じたい！ と思ってオーディションに臨んではいました。歌の審査があったからか、スナックみたいなお店でオーディションをしたんですよ。飲み屋さん独特のアットホームな雰囲気があって。緊張はしましたけど、宴会でカラオケを歌うような感じで歌えたのは良かったなあと思います(笑)。ニケは、歌うと雨を降らすことができるんですけど、プロデューサーの方が後になって「あのとき歌った歌で、スナックに雨が降ったよ」って言ってくださって…。すごく嬉しかったです！

――演じたニケに対して、どんな感情が芽生えましたか？


前田：1話の収録が、すごく大変だったんですよ。朝から記者会見で、歌の初披露があったし、その後には初アフレコを控えていて…。今、思い出しても、記憶があいまいなくらいです(笑)。それに1話は、原作にはないオリジナルストーリーだったんです。自分の想像力のなさとか、不甲斐なさのために何度も録り直していただきました。そんな状態が2、3話まで続いたので、「私、向いてないんじゃないかな」って思ったりして…。でも、スタッフのみなさんは優しく「どれだけでも付き合うから、思っている通りにやってごらん」って言ってくださって。私のなかからニケの想いを引き出すように、接してくださいました。
だから、ツラいこともたくさんありましたけど、ふとした瞬間に、「私ひとりで戦っているわけじゃないんだ」って思えたんです。他の共演者さんも、「言葉をもっと大事に話してみたら」と声をかけてくださったり、みなさんがいい作品を作ろうとしていて。それを感じてからは、すごく楽になりました。ニケのために悩むことも多かったんですけど、同じくらい、ニケの言葉に助けられたこともたくさんあって、ニケと一緒に成長できた気がしています。

――いちばん心に残っているニケの感動シーンは？

前田：たくさんあるんですけど、いちばんはやっぱり第2話でしょうか。ニケが初めて雨ふらしの歌を歌うんです。原作を読んでアニメを観てくださった方にとって、私の歌がどう聴こえるのか、とても不安だったので…。でも、自分の出来る限りに精一杯歌わせていただいたので、それが届いたら嬉しいなと思っていました。

――では、『人生相談テレビアニメーション「人生」』の二階堂彩香役は、どんなキャラクターでしたか？

前田：主人公のいとこで、物語の舞台となっている第二新聞部の部長です。問題を提起するだけして去っていくという役回りで、嵐のような、お祭り女のような子です(笑)。わがままキャラに見えますが、じつは部長としてみんなのことを見守っている、心が優しくて正義感が強い女の子なんです。お姉さんというより、お母さんみたいな感じです(笑)。

――『六畳間の侵略者!?』のメグミ役はどんな役でしたか？

前田：今まで演じたことがないタイプのキャラだったので印象に強く残っています！ ドMキャラだったんです(笑)。「さげすまれたーい！」みたいな感じではしゃぎながら、楽しく演じさせていただきました(笑)。私自身も、どちらかというとMだと思うんですけど（笑）。というか、私個人はきっと役者にはMの部分がないと駄目なんじゃないかなって思ってます(笑)。


――では、プライベートのお話もぜひ！ まず、休日は何をして過ごすことが多いですか？

前田：プールに行ったり、走ったり、ホットヨガをしたり、休日もやっぱり仕事に繋がることをしていたいタイプです。あとは、映画を観たりとか。

――最近テンションが上がったことは？

前田：先週イベントで京都に行かせていただいたんです。翌日はお休みをいただいたので、京都観光をしてきました！ 初めての京都だったので、清水寺や伏見稲荷を訪れたり、抹茶のパフェを食べたりして、はしゃぎました！ あと、地元の方々と一緒に、鴨川の川縁に座ってゆったりした時間を過ごして…。すごく和みましたね。

――ちなみに、松田聖子さんのファンなのだとか。

前田：そうなんです！ 同じ福岡出身でもあり、尊敬しています！ ‘85年までの曲が特に好きなんですよ。松本隆さん作詞、松任谷由実さん作曲のコンビが大好きで。じつは、2カ月前に念願だった聖子さんのライブに行けたんです！ 初めて生の聖子さんを拝見しました！ もう自然と涙がツーッと流れてきて、心が洗われました…。憧れの人に会えるって、こういうことなんだなあって。みんなに夢を与えてくれる、憧れの人です。


――前田さんは今後、どんな声優を目指したいですか？

前田：私が憧れる声優像は、たとえば『サザエさん』のフネ役を演じていらっしゃる麻生美代子さんのように、いつも身近に感じさせてくれる“声”なんです。しかも、麻生さんは長く役者さんをされていらっしゃるので、すごく素敵だなぁと憧れています。私も、いつも身近に感じてもらえるような、国民的な“声”になれたらと願っています！ 歌のほうも、ただただ一生懸命歌う事しかできないのですが、このまま頑張っていきたいです。

――演じてみたい役のイメージはありますか？

前田：大人も子供も、世代問わず楽しめるアニメに出たいですし、動物系とか可愛い系も頑張りたいです(笑)。一時期演じさせていただいていた、赤ちゃんの声にもまた挑戦したいですね。あとは、思いっきりワルい役も演じてみたいです！ ふだん、そこまで悪になりきることってないじゃないですか。非日常的な役を演じられるとしたら、それほどのお芝居の醍醐味はないと思います。

――では最後に、ここまで読んでくれた読者にメッセージをお願いします！

前田：私のことを知らなかった方にも、こういう機会に知っていただけたら嬉しいです！ これから少しでも、私の声がみなさんのお耳に届きますように、真摯に、おごることなく頑張ります！ 私の印象だと、先輩の声優さんたちってお人柄が素晴らしい方ばかりなんです。私も、みなさんに愛されるような人になりたいです。応援どうぞよろしくお願いします！


――ありがとうございました！

次回の「声優図鑑」をお楽しみに！

前田玲奈

・前田玲奈（AIR AGENCY）
http://www.air-agency.co.jp/talent/maeda.html

・前田玲奈ブログ「CloveR ：）」
http://clover—0707.blogspot.jp

※関連作品情報
・「寄生獣」鈴木アキホ役
・「それでも世界は美しい」9月24日 Blu-ray BOX、DVD BOX発売
・人生相談アニメーション「人生」10月22日 Blu-ray、DVD第2巻発売
・11月1日、2日 ぽぷかるパーティー LIVE出演
・人生相談アニメーション「人生」スペシャルイベント~人生は楽しい！~ 1月11日開催

（取材・文＝麻布たぬ、撮影＝山本哲也、キャスティング協力＝吉村尚紀）