就職しなくても、どうにか生きられる方法はある! 人間の値打ちを決める3つのCとは

ビジネス

公開日:2014/11/4

 大学生は、高学年になればなる程、「就活」ばかりを話題にし始める。苦労して入った大学での半分近くの期間、就活で悩み、せっかく就職したのに、わずか数年で退職。「就活」とはなんと多くの時間と労力を無駄にするイベントなのだろう。多くの学生はそのようなことを思っても口にすることはできない。誰もが「就職しなければならない」と思い込んでいるからだ。

 評論家で文筆家のオタキングこと岡田斗司夫氏は著書『僕たちは就職しなくてもいいのかもしれない』(PHP研究所)の中で、就活をめぐる学生たちの行動を無駄だと言い切っている。たとえば、お見合いサイトとか出会い系が「若くて美人」「高収入でイケメン、高身長」といった人に有利にできているように、就活サイトは、高学歴や資格保持者ばかりが有利。元々、就活サイトに頼らなくても就職ができる人が、視野を広げるために登録するのには役立つが、学歴も資格もない場合は、地元で仕事を探すか、親戚に紹介を頼むか、あらゆる友達に「働き口ないかな?」と聞いてまわったほうが、ずっと良い仕事が見つかる可能性が高いのは明らかだ。いまの若者は「働く」というのを「どこかの会社に雇われる=就職すること」と自動的に考えてしまっているのがそもそも間違いであると岡田氏はいう。

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 岡田氏は、いわゆる「就活」で目指す「就職」など必要ないと断言する。就活とは本来、自分がやりたい仕事を探して、条件を選んで、10個の企業を受けたら、3~5個くらいは内定をもらえるようなものであるべきなのだが、現代の就活は、倍率があまりにも高い。企業側も1人ひとりの個性を見る時間はなく、学歴や資格で振り分けたりするなど、無意味に条件を厳しくしないと、人材を選べない。「就活を普通に続けていたら、いつかは就職先が見つかるだろう」と考えるのは、毎日パチンコ屋に通っていたら、いずれはマイホームが手に入るだろうと考えるのと、同じくらいバカらしいと岡田氏は論を強める。

 いわゆる「就職」で1つの企業に従事するよりも、これからの時代は、自分の能力やその評価を武器に、「仕事サーフィン」といえるように複数の「仕事」を見つけて働く方が良いと岡田氏は語る。彼は、人間の値打ちは、3つのCで決まるという。それは、「コンテンツ」と「コミュニティ」と「キャラクター」。「コンテンツ」は、今までどんな仕事をしてきたか、どんな仕事ができるのか、どのくらいできるのか、といったことの総和、いわゆるキャリアや能力を指す。

 たとえば、岡田氏の会社、FREEexのメンバーのトモカズさんは「シンセサイザー業界」でシンセサイザーのプログラミングを仕事としていた。しかし、その価格が低下するにつれて、次第に、楽器を会場へと運び、セッティング、配線の仕事も請け負うようになった。このように自らができる「コンテンツ」を充実させていくことが大切であると岡田氏はいう。また、トモカズさんの活躍ぶりを見た先輩達はますます様々な仕事を依頼するようになった。これが2つ目のC、「コミュニティ」。

 そして、トモカズさんに多くの仕事が集まった一番の理由は、彼の人柄、3つ目のCである「キャラクター」がコミュニティ内に浸透したためである。「彼なら、どんな仕事もやってくれる」「彼はこういうのが好きだから、損を覚悟でやってくれる」。コンテンツ(能力)を得るために所属したコミュニティの中で、彼のキャラクターが浸透して、しっかりと認識されることで、仕事が集まり始める。こうなると、能力が不足している分野でも、キャラクターを評価してくれるコミュニティの誰かが補佐してくれるようになり、自然と仕事が集まる循環ができるのだ。複数の仕事を持てば持つ程、コンテンツもコミュニティも大きくなり、可能性は広がっていく。

 キャラクターというのは、特殊なおもしろキャラというわけではなく、「いい人」な上にほんのちょっとトッピングが載っていれば、十分。岡田氏は「いい人」の究極形態を、働かなくても人に愛され、養ってもらえる「愛されニート」に見ているが、その例を漫画の登場人物に見出している。

 たとえば、『ドラゴンボール』の孫悟空は、フリーザと戦うためにナメック星に行くにあたって、悟空は新しい宇宙船に乗って行くが、宇宙船は、カプセルカンパニーの社長がタダでつくってくれる。『ワンピース』のルフィも『北斗の拳』のケンシロウもニート。『ドラえもん』ののび太くんは、ドラえもんに甘えることで初めてひみつ道具を手に入れることができるし、『こち亀』の両さんも、中川を頼っている。このように、愛される「いい人」になれれば、どうにか世の中を渡っていけるものなのだ。

 学生のうちにすべきことは、就活ではなく、3つのCを充実させることだ。自らのコミュニティを充実させた上で、SNSで「仕事を探しています」「こんな仕事がしたい」「私はこんなことができる」ということをアピールしつつ、自らの能力を高めるすべを考えることが大切だろう。「どうにか就職せねば」と切羽詰まっている若者は視野狭窄。常識にながされず、これからの時代を生き抜くヒントがここにある。

文=アサトーミナミ