「離婚」を考えない妻なんていない!? リアル妻たちのぶっちゃけ座談会(前編)

恋愛・結婚

公開日:2014/11/8

 結婚9年目、2児の母である主婦が、つぶやくように結婚生活の暗部を語る『離婚してもいいですか?』。タイトル通りの不穏な思いを、日々の生活で淡々と募らせていく主人公・志保の姿に、今、多くの女性たちから賛否両論、様々な想いが寄せられている。実際、いまどきの妻たちの「離婚」をめぐる本音はどんなものなのか? 妻たちのリアルを探るべく、ダ・ヴィンチニュースでは、問題の本を題材にワーキングマザー3人衆によるぶっちゃけ座談会を開いてみた。

 
座談会出席者

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(左から)妻A美、妻B子、妻C絵

【妻A美】 結婚13年目で小1の息子あり。会社員の夫が家事全般を担当し、妻の長期出張も可能な逆転夫婦。夫は子煩悩なタイプだが若干キレやすく、いつの間にかイライラをためて逆噴射することがある。

【妻B子】 結婚8年目で4歳の息子あり。自宅を仕事場とするクリエイティブ職の夫は、極めてのんびり派でマイペース。洗濯機や電子レンジの使い方もいまいちと、ひとりでは何もできないタイプ。

【妻C絵】 結婚9年目で6歳と3歳の息子あり。脱サラして独立した夫は「これ!」と決めたらつっぱしるタイプで、大胆な決意表明に驚かされることしばしば。7歳年下でもあり、大抵は許してしまう。

 

『離婚してもいいですか?』を読んでみて

【妻A美】いやーこの読後感の悪さはピカイチですね。

【妻B子】重かったですね。最近、なるべく後味の悪い本は避けていたのに、久々にやられました。

【妻C絵】身につまされるというか……表紙のほのぼのタッチにすっかりダマされましたね。

【妻B子】そうそう、表紙ずるいよね。だって心理描写はホラーだもん(笑)。でも、正直なところ、主人公の志保には9割方共感しましたね。「私も一緒だよ」って思ったし、この作品を読むことで「こういう思いをしているのは、自分だけじゃない」って救われるような人もいると思う。ただ、最後までずるずる離婚するかどうか悩み続ける姿には「辛かったらさっさと別れればいいのに」とも思いました。主人公の場合はパートだから収入が不安だろうし、子供も2人いるしで踏み切れないんだろうけど。

【妻A美】こういうジレンマに陥っている人、案外多いのかもしれない。パートだと経済的に独立できるほどの収入はないし、仕事を押さえている分時間に余裕があるから主婦業もかっちりやらされるし。

【妻C絵】で、やってないと夫や世間に批判されちゃうから、このスタイルは一番しんどいという。実際には短い時間でも働くと疲れるし、その上にままならない子育てもあるしで 、救いのない中どんどんネガティブになってく感じなんでしょうね。

世の妻たちは「離婚」を日常的に考えている?

【妻B子】はっきりいって離婚なんて、世の妻たちは普通に考えるもんでしょう。私も志保に9割共感ですからね。

【妻A美】 私も週に1、2回は考えますよ。

【妻C絵】ええー、そんなに(笑)。家のこと旦那さんがやってくれてるんでしょ?

【妻A美】うちは夫がキレやすいタイプだから、それが起こらないようにヒヤヒヤしてる状況がイヤで、その予兆をじわじわ感じる時がしんどくて、いつも「離婚したい」って思っちゃう。でも、子どもの前では平然とした母でいたいから、「切り出すのは明日にしよう」とか思ってるうちに、怒りそのものを忘れちゃう(笑)。

【妻C絵】そもそも怒り続けられる時間というものが、あんまりないものね。私も寝たら忘れちゃうほうだし。

【妻B子】そうやって気分をリセットできるのは、ある程度気に入ってる仕事で、毎日忙しくしてるからのせいでもあるよね。

【妻A美】仕事でもトラブルはいろいろ起こるし、私生活の怒りなんて持続できない。でも、家にこもってる妻の場合は、怒りを逃がすことなく持続してしまって、「離婚」が現実になっちゃう人はいるんだと思いますね。

【妻C絵】主人公・志保の場合はパートはしているものの、世界は狭い感じがしますね。愚痴は言っても誰かに相談する感じはなくて…根本的な悩みを人に言えない感じ。

幸せのモデルケースに幻想を抱きすぎ!?

【妻A美】今の自分の状況を恥ずかしいとか情けないとか思って、家庭のアラを晒したくない気持ちもどこかにあると思う。志保という人は、「子供が二人いて、旦那はやさしくて」みたいな幸せのモデルケースみたいなものに近づきたかったタイプなのかもしれないな、と。

【妻C絵】家族の定番パターンみたいな。

【妻A美】そうそう。ステレオタイプのものを求めるあまり、旦那がそこと違うから、ぶつくさ言っているようにも見えるわけで。

【妻C絵】たしかに志保は、「夫にもっといやな決定打があれば離婚できるのに」みたいな、変な受け身になってますね。

【妻A美】いつの間にか世間体の話になっている。幸せ風に見られたいという思いがあるのかもしれませんね。本当は世間がどうというより、自分がどうなんだろうってことだと思うけど。

【妻B子】そこだよね、問題は。私の場合、母も妹も離婚してるし、そもそも離婚に対してのハードルが低いから「面倒なら(夫を)切ってしまえ」って感覚になるんだけど、そうじゃなかったら「離婚」の2文字のハードルは高いだろうというのはわかるんです。だけど、やっぱり、そんなに嫌ならやめちゃえばいいだけなんじゃないかと思うし、志保が友達だったら「別れろ」って言うと思う。

【妻C絵】 前に、同級生の友達から突然、「離婚したい」ってメールで相談されたことがあったんだけど、私はこの本を読んで彼女のこと思い出しましたね。彼女はコンビニでバイトしてたんだけど、結局、経済的に不安があるからって思い留まってましたね。

どうしても「離婚」の2文字が頭から離れなかったら…

【妻A美】志保がもし友達なら、「悩むより行政行け」って言うかな。

【妻C絵】いきなり行政ですか(笑)!

【妻A美】離婚して受けられる公的補助とか、まずは調べた方がいい。

【妻B子】志保も一応、経済的な面を考えてはいたよね。

【妻A美】でも空想の世界で暗算してただけでしょう。本格的に役場で情報収集してメドを立てるべき。

【妻B子】うちの妹も2人子供いても離婚して、補助とか受けてちゃんと生活してるし、結局、本気になればなんとかなるものなんですよね。だから、「これだったら暮らしていける」っていう最終案を持った上で、そのまま結婚生活を続ければいいんじゃないかと思う。最後の切り札を持つのは大事なことだから。

【妻C絵】主導権は私にあるっていうのは、本当のとこで自信になるでしょうからね。

【妻B子】とにかく大前提として、妻側は結婚しても仕事を辞めちゃダメなのは明らか。この本で実感する人は多いはず。

【妻A美】会社によっては出産で続けられなくなる場合もあるけれど、でも先の夫婦関係や経済状況を考えずに辞めてしまうところに、「離婚したくてもできない」という問題が起きる面もあると思いますね。出産ならまだしも、結婚で辞めるのはもってのほかでしょう。「寿退社は地獄の始まり」ですよ。

【妻C絵】こ、寿なのに…。(一同爆笑)

 悟り切ったような妻たちの本音に若干たじろぎながら、このあと、独身女性が素朴な疑問ぶつけ、さらに結婚生活のリアルが明らかにーー。
>>後半に続きます

取材・文=荒井理恵

離婚してもいいですか?

離婚してもいいですか?
(野原広子 KADOKAWA メディアファクトリー 1000円)

夫は中小企業のサラリーマン、結婚9年目で2児の母であり、スーパーのパートで働く主婦・志保。端からみればいわゆる「平和な普通の家庭」であるはずなのに、志保の心の中には「離婚」の文字が浮かばない日はない。夫の心ない言葉、いくら言っても治らない生活習慣、そして会話のない日々。積み重なる小さなダメージに志保の心はどんどん頑になり、その影響はやがて子どもたちの情緒にも影響を及ぼし…。離婚したい、でも自信がないーー揺れ動く志保の姿は、当然の結果なのか、単なる我侭なのか?ほんわかした画風ながら、鋭い心理描写で「夫婦」というもののあり方を問いかける、注目のエッセイ風コミック。