単純な「恋愛」ではない、成長と自立 「わたしのマーガレット展」を見逃すな!

マンガ

公開日:2014/11/16

 「懐かしい~!」「名場面!」……黄色い声があちこちで響き渡り、女性来場者を熱狂させた「わたしのマーガレット展」。『マーガレット』『別冊マーガレット』の創刊50周年を記念した展示で、先月まで六本木の森アーツセンターギャラリーで開催されていた。豪華な内容を改めてレポしておきたい。

 本展は、2誌が共通して重きを置いてきたテーマの「恋愛」を、一つのコンセプトにしていた。冒頭では、様々な作品の恋愛の名場面を切り取った導入映像が流れ、涙する人もちらほら……。会場の内装も、キラキラとした少女マンガそのものを演出していた。展示の目玉はなんといっても397点におよぶ原画! 初期から現在の連載作まで、合計70作家の歴代の名作が並んだ。

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 1963年の創刊以降、サスペンスにギャグ、ホラー、学園コメディまで、多彩な作品が生まれたが、早い段階で「恋愛」は2誌の大テーマとなっていた。多くのラブストーリーが誕生したが、一概に「恋愛」といっても単純でなかったことは、本展で俯瞰してもはっきりと分かる。

 例えば、『ベルサイユのばら』では、歴史に翻弄される命をかけた男女の恋愛が描かれたし、『ホットロード』では、行き場のない若者の繊細な青春が独特な筆致で描かれた。『マーガ』『別マ』のラブには、常に登場人物の成長と人間としての自立が描かれていたのだ。それらがどれほどの女性たちに元気と勇気を与えていたことか。本展では改めてそれを実感できる。展示は今後巡回も計画されているようだ。見逃した人は必見!

文=倉持佳代子/ダ・ヴィンチ12月号「出版ニュースクリップ」