8割の人は自分の声が嫌い? 自分の声が好きになる方法とは

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更新日:2021/9/1

   

 あなたは自分の声が好き? それとも嫌い? 私は嫌いだ。取材に使ったムービーや音声データの文字起こしをしていると、ガッカリ感が半端ない。いい声の人と会うと、引け目すら感じるときがある。

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 とある意識調査によれば、自分の声について「嫌い=80%、好き=5%、わからない=15%」という結果も出ているらしい。さらに、録音した自分の声を聞いた後で調査を行うと「嫌い=90%超」という結果が出たという。

 そんな嫌いな声をジッと我慢したまま、一生付き合っていかなくてはならないのか? イヤ、そうではない。話し方や意識を変えることで、あなたの声は変わる。「心に届く声、伝わる声」になるという。『8割の人は自分の声が嫌い 心に届く声、伝わる声』(山﨑広子/KADOKAWA 角川マガジンズ)から、声とは何かを学び、自分の本当の声を探してみたい。

 本書によれば、人間の地声の高さは声帯と声道の長さで決まる。それらは身長にほぼ比例し、長い=低い声、短い=高い声となる。よって身長が高い人ほど声は低くなり、身長の低い人は声が高くなるのが一般的だという。

 とはいえ、それで「声」が決まるわけではない。声帯など生来の素質に決定されるのはせいぜい20%。残りの80%は、後天的に獲得した「発声の癖」と「発声時の心身の状態」による。

 賑やかな家庭で育てば声も大きく強くなるし、落ち着きなく体を動かして話せば、声にも安定感がなくなり、相手に不安を与えてしまう。声には、その時々の発声者の心理状態のみならず、病気かどうか、どんな人生を歩んできたかといった「履歴書」のような情報が詰まっているのだ。

 調査結果によれば、自分の声が嫌いな人の多くが「自分自身に対する否定感を強く持って」おり、その理由は(1)声の中に「自分が嫌っている自分の本質」が表れていて、(2)声が「本当の自分のものではない」と感じるから…だそうだが、声に人生が映し出されるというのなら、頷ける話だ。

 だが、人は声色を使ったり、演技をしたりと、様々な声を無意識に変えてしまっている。それを聴くからこそ「コレジャナイ感」を持ってしまうのだ。

 そこで、山﨑氏は「本当の自分の声=オーセンティック・ヴォイス」を見つけることで、キライな声を変えられるという。詳細は本書を読んでいただきたいが、オーセンティック・ボイスとは、ざっくり言えば「人間の生命活動の最もバランスの良い状態から自然に出てくる声」であり、真実性を含み「相手に伝わる声」だ。その発見方法とは…

(1)録音した自分の声を30分以上聴く

 色々な状況において録音した自分の声を、30分以上聴こう。すると、イヤな声の中にも時折「いいな」と思える声が見つかる。それは「作り声」でも「テンションが高い声」でもない。多くの場合は「嫌悪を感じるよりも幾分低い声」だという。
 全部キライ! という人は、逆に「低めの声で話して録音」して聴こう。

(2)「いいな」の声を反復練習

 自分が「いいな」と思えた声が見つかったら、その時の状況や自分の状態を思い出して、同じことを話し、録音する。そして聴く。
 最初は作り声のようになったとしても、繰り返すうちに「いいな」が増えてくるはず。
 その「いい声」を「耳に記憶」させる。
「声を決めるのは喉でなく、あなたの耳(=聴覚=脳)です」と、山﨑氏。

(3)話すときの心がけ

 日本人の多くは首を前に突き出す「お猿さん型」で話をする。これだと、喉が緊張し、声が浅く絞られてしまう。軽くアゴを引き、首や肩やアゴの力を抜いて話そう。
 また、普段からゆっくりした呼吸を心がけたい。肩が上がるのはダメ! 軽くお腹と横腹が膨らむくらいを数回繰り返す。呼吸が安定したら、話し始めてOK!

 録音した声を聞き、「いいな」と思える声を練習して、自分の耳に覚えさせる─これがオーセンティック・ヴォイスを手に入れる「唯一にして最高」の方法だと山﨑氏は言う。

 声と向き合うことは、自分と向き合うことであるならば、声を好きになれたら、自分をもっと好きになれるかもしれない。
 録音…してみませんか、自分の声を? でも、やっぱり聞きたくない~ッ!

文=水陶マコト