2014年No.1小説は東野圭吾『マスカレード・イブ』!

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/21

 本好きたちの一年を締め括る、「BOOK OF THE YEAR」大特集。あなたにとって、今年はどんな一年でしたか? どんな素晴らしい本との出会いがありましたか? ダ・ヴィンチ読者、書店員、文筆家など、本好き4589名の声が詰まったブックランキング、いよいよ発表です。

■小説ランキング部門(※誌面には50位まで掲載)
【1位】『マスカレード・イブ』(東野圭吾/集英社文庫)
【2位】『天の梯 みをつくし料理帖』(高田 郁/角川春樹事務所ハルキ文庫)
【3位】『ペテロの葬列』(宮部みゆき/集英社)
【4位】『明日の子供たち』(有川 浩/幻冬舎)
【5位】『銀翼のイカロス』(池井戸 潤/ダイヤモンド社)
【6位】『女のいない男たち』(村上春樹/文藝春秋)
【7位】『ハケンアニメ!』(辻村深月/マガジンハウス)
【8位】『村上海賊の娘』(上・下)(和田 竜/新潮社)
【9位】『虚ろな十字架』(東野圭吾/光文社)
【10位】『ビブリア古書堂の事件手帖 5 栞子さんと繋がりの時』(三上 延/メディアワークス文庫)

1位の『マスカレード・イブ』は、前作『マスカレード・ホテル』のエピソード0のような短編集だ。新田と尚美が出会う前、ふたりが仕事にどう向き合い、闘ってきたかがテンポよく描かれている傑作である。

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2位の『天の梯』は、大人気シリーズ「みをつくし料理帖」の最終章。シリーズをとおして、澪の波乱万丈の人生を、読みながら応援してきた読者も大満足できる結果だといえる。3位の『ペテロの葬列』もシリーズの続編である。ミステリーであれ、人情ものであれ、シリーズ化された独特な世界観や個性的なキャラたちに、多くの人が惹きつけられた結果だといえる。

また今回は、いわゆる「お仕事小説」のカテゴリーも10位以内に多く見られた。4位の『明日の子供たち』、5位の『銀翼のイカロス』、7位の『ハケンアニメ!』、10位の『ビブリア古書堂の事件手帖5』。1位から3位も、広い意味でいえば、このジャンルに属するだろう。「知らない職場が垣間見られる」「プロフェッショナルってどんなもの?」「働くことの意味とは?」といった、読者にとって身近な話題や興味が、そこに描かれているからだ。しかも読後に、元気になれるのがいい。仕事で落ち込んだり、悩んだりしたとき、そっと手に取り明日への力にする。「よし、頑張ろう!」と、背中を押してくれる、そんなお仕事小説の分野は、これからもどんどん広がっていくに違いない。

一方、『虚ろな十字架』や『ケモノの城』といった、ずっしり重い社会派ミステリーも健在だ。その魅力は、多くの人が、小説の中でしか体験できない世界だけに、「もし自分がまきこまれたら、どうなるのだろう」と、人生や生きることに真摯になれる時間を与えてくれるからかもしれない。

構成・文=大久保寛子/『ダ・ヴィンチ』1月号「BOOK OF THE YEAR 2014」より

●アンケート概要
本誌10月号、「ダ・ヴィンチニュース」にアンケート内容を告知。E-mailアンケート会員、全国の書店員の方々にもアンケートを送付。ネットリサーチ会社クロス・マーケティングのアンケート会員(一部)も回答。有効回答数4589通。1ジャンルにつき3作までの投票を可とした。

●集計について
2013年10月~2014年9月末までに発行された書籍・コミックスを対象とした。回答の中には、これに該当しない作品も含まれていたが、これらについてはランキングの集計から除外した。

ダ・ヴィンチ

『ダ・ヴィンチ』2015年1月号

KADOKAWA メディアファクトリー
定価600円(税込) 電子版500円(税込)

・第1特集 BOOK OF THE YEAR 2014
小説ランキングTOP50
コミックランキングTOP50など
高田郁 宮部みゆき 東出昌大 ピエール瀧 秦基博
・第2特集 ミステリー・エンタメ 2015年の隠し球はコレだ!
・表紙、STUDIO INTERVIEW 能年玲奈

※コミック、エッセイなど各ジャンルのランキングは
ダ・ヴィンチ1月号の「BOOK OF THE YEAR 2014」をチェック!