世界のトヨタと合体! 裸と文章で表現にトライするAV女優・紗倉まなにインタビュー

更新日:2014/12/10

   

 『アラサーちゃん』峰なゆかを始め、作家として活動するAV女優経験者が増えてきた昨今。紗倉まなもGAZOOなど複数の媒体で連載を持つ一人だ。2012年のデビュー以来、多数のアダルトビデオ作品に出演。人気女優として活躍する一方で、マルチに活躍する21歳のトップ女優が文章を書くこと、AVの仕事について、いま感じていることとは?

――複数の媒体でコラムを連載されていますが、書くようになったきかっけは。

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紗倉 もともと文章を書くのが好きで、ブログでもずっと長文を書いていたんです。それを見た事務所のスタッフが「そんなに好きならお仕事でやってみる?」と言ってくださって。ウェブ媒体のmessyさんが最初で、そこからちょっとずつ広がっていった感じです。

――GAZOOのコラム(金属系女子・紗倉まなの「愛ってなんですか?」)は、AV女優さんとしての立場と、一人の女の子の素朴な意見がミックスされて、すごく面白いですね。

紗倉 嬉しいです! わたしはそれほど恋愛経験があるわけじゃないので、女性マネージャーの意見を聞いたり、ネットで検索したりして、独りよがりな記事にならないように気をつけて書いています。messyのメインの読者さんはわたしよりちょっと年上の女性。体験談だけで書くと、誰も共感できないよってことになりかねないので。

――プロ意識が高いですね。読んだり書いたりっていうのは、昔から好きだったんですか。

紗倉 本を読むのはもともと好きです。学生時代はそれこそ『ダ・ヴィンチ』さんを読んで。あ、サービスじゃないですよ(笑)。載っている本を買ったりしていました。映画を見るより、本を読んでる方が好き。特に好きなのは桜庭一樹さん、三浦しをんさんです。

――紗倉さんのコラムやブログを読んでいると、AVの現場って明るく楽しいんだっていうことが伝わってきますね。想像していたのとだいぶイメージが違う。

紗倉 「AV女優だから」っていう目で見られるのがいやなんですよ。お仕事なので当然辛いこともあるんですけど、それはどんな職種でも一緒ですよね。ひとつのお仕事として、なるべく明るいところを伝えたい。といっても、根が暗いので、どうしても文章に暗い面も出ちゃうんですけど……(笑)。

――全然そうは見えませんよ。一人の時は何をされてるんですか。

紗倉 喫茶店に行くのが趣味ですね。色んな喫茶店に行っては、ピラフばっかり食べてます。あとは気になるマンホールの蓋を見つけたら、写真に撮ったり。

――マンホールの蓋?

紗倉 シュールな写真を撮って、それに面白コメントみたいのをつけるのが好きなんですよ。一人の時はそういうのを考えたりしてます。

――ここ数年、AV女優さんをテレビや映画で目にすることが多くなりました。環境の変化は感じますか?

紗倉 わたしがお仕事を始めた時は、すでに先輩の女優さんがテレビに出ている状態で、お仕事しやすかったんですよ。入るまでは『闇金ウシジマくん』みたいな世界を想像してたんですけど、思っていた以上に明るくて。現場もアットホームでびっくりしました。古くからのスタッフさんには「10年前にはこんなことありえなかったよ」と言われますね。

――AV女優になりたい子が増えているという話もよく聞きます。

紗倉 それも分かるという感じです。現役のAV女優さんて、トータルで1万人くらいいるらしいんですよ。その中には、歌や演技で活躍されている方もいますし、バラエティに出ている方もいるし。何気なくテレビを付けたら、知り合いの子が出てるっていうことも多いですから。女の子たちが自分のポジションでそれぞれにがんばってるので、ある意味、アイドルの世界に通じるものがあるのかなと。

――紗倉さんが『ヤングアニマル嵐』の表紙を飾ったように、アダルト以外のメディアに進出していく機会も増えそうですね。

紗倉 ますますそうなっていくと思います。可愛くて、キャラの立った女優さんがホントいっぱいいますからね。テレビでも深夜以外の番組に出演するようになったり、アダルトと一般の境目がなくなっていくと思いますね。

――紗倉さんご自身は今後こうなりたい、というビジョンはありますか。

紗倉 コラムとかいろんな形で表現のお仕事をしていきたいんですが、やっぱり現役でAVにこだわりたいんです。紗倉まなという名前をいただけたのはAVのお仕事だし、コラムにしても現役じゃないと書けないことってあると思うんです。本職をおざなりにして、肩書きだけAV女優っていうのは、わたしにはすごくもったいない気がして。

――かっこいいですねえ。そもそも紗倉さんはなぜAVに?

紗倉 中学生の時に、父の書斎でたまたまAVを見つけてしまって「こんな世界があったんだ!」と衝撃を受けたんです。テレビや雑誌だとせいぜい水着までですけど、AVは全部をさらけ出してるじゃないですか。それにびっくりして。しかも体位が次々変わって、彫刻っぽい綺麗さもありますよね。裸でサーカスをやってるというか。

――裸でサーカス(笑)。

紗倉 それ以来、AV女優になりたい、裸で表現する仕事に就きたいと憧れてきたので、このお仕事は大切にしていきたいんですね。

――表現の仕事といえば、小説を書かれるつもりはありますか。

紗倉 一年半ほど前、体調を壊して入院しちゃったことがあったんです。その時に、「暇だなー」と思って、頭の中にあることをぽちぽちとガラケーに打っていったら、小説みたいになっちゃって。原稿用紙に書き直したら、80枚くらいになってました。

――80枚の小説! 何日間の入院だったんですか。

紗倉 2、3日です。まだコラムとかを始める前だったし、文章もめちゃくちゃなんですけど。「小説を書くって面白い」と気がつきました。退院して高橋がなりさん(ソフト・オン・デマンド代表)に見せたら、「ここが駄目、そこも駄目」ってすっごい駄目出しされちゃいましたけど(笑)。いつかまたチャレンジしてみたいなという気持ちはあります。

――ぜひ読ませてください。ゲーム『龍が如く』最新作にも出演されますし、これからは「紗倉まなみたいになりたい」という子がますます増えそうですね。

紗倉 そうなることができたら、朽ち果てててもいい(笑)。これまで道を拓いてくれた方がいて、わたしのようなポジションがあると思っているので、わたしもAVのお仕事をできるかぎり貫いていきたいなと思っています。

取材・文=朝宮運河

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