AVメーカー女性プロデューサーが女性に薦める「セックスハウツー本」

更新日:2014/12/10

   

 書店の棚にずらりと並んだセックスハウツー本。どれを選んだらいいのか分からない! そもそも本当に役に立つの? という疑問を胸に、性のプロフェッショナルにお会いしてきました。おすすめセックスハウツー本をあげてくれたのは、AVメーカー・ソフトオンデマンドの女性向けアダルト動画サイト「GIRL’S CH」運営責任者・田口桃子さんです。

――GIRL’S CHは女性専用アダルト動画サイトとして大人気ですね。開設はいつですか?

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田口 2013年に開設したのでもうじき2周年になります。開設当初はスマホ専門の動画サイトとしてスタートしました。女性は自分専用のパソコンを持っていないこともあるので、スマホでこっそり見られるというのが重要だったんです。今では月間130万人もの方が訪れています。

――GIRL’S CHにもハウツー動画がたくさんありますよね。女性向けのセックスハウツーものって需要があるんでしょうか。

田口 すごくあります。ふつうのAVって公開日の再生回数が、多くて1万回くらいなんですが、ハウツーものだと5万回、10万回いくことがありますから。

――最近の傾向や、人気の動画は?

田口 GIRL’S CHでいうと「オナニーでイク」系の動画が人気です。フェラの仕方とか、騎乗位のやり方とか、女性から男性へのテクニックを教える動画もいろいろ作ってみたんですが、いちばん反響があったのがオナニーで自分自身が気持ちよくなる方法。ここ最近の傾向として、テクニックを磨くことより、いかに女性が気持ちよくなれるか、ということにポイントが移ってきている気がします。

――パートナー向けというより、あくまで女性が主体と。

田口 これまでハウツーものというと「相手をどう楽しませるか」にポイントがあったと思うんです。それが自分の体のことをもっと知りたいという風に変わってきた。実際に、大人の女性向けのメディアでは「男性が本当に嬉しいのは、テクニックよりも女性が本当に感じている姿」という考え方が普及してきているように思います。ここ1年半くらいの傾向ですね。
 

そんな田口さんが、実際に役立つセックスハウツー本としてセレクトしてくれたのは以下の3冊。
・アダム徳永『実践イラスト版 スローセックス完全マニュアル』(講談社)
・関口由紀『カラダがときめくちつトレ!』(アスコム)
・高木希奈『精神科女医が本気で考えた心と体を満足させるセックス』(徳間書店)

 
――順番にコメントをいただきましょうか。まずは『スローセックス完全マニュアル』から。

田口 アダム徳永さんは男性向けAVのようながつがつしたセックスに否定的で、コミュニケーションを重要視したスローセックスを提唱されています。女性にももっとセックスを積極的に楽しむように、と仰っていますよね。ハウツーものなんですけど、テクニック的なことよりも、意識改革みたいなところが大きい本です。

――GIRL’S CHでもハウツー動画にしているそうですが、反響は?

田口 アダムさんの動画は「パートナーと一緒に見たい」というコメントがすごく多かった。彼パートナーとのセックスに何らかの不満を持っていて、変えてほしいなと思っている女性が多いんでしょうね。

――な、なるほど。『カラダがときめくちつトレ!』は、NHKの『あさイチ』で紹介されて話題を呼んだものですね。

田口 誰にでも実践できるといえばスローセックスはパートナーがいないとできないですが、ちつトレは誰でもどこででもできますから(笑)。しかも膣を鍛えると、美肌効果や冷えとり、尿もれにも効果があるんです。この本では「コアガズム」というものが紹介されていて……。しかも膣を鍛えると、美肌効果や冷えとり、尿もれにも効果があるんです。この本では「コアガズム」というものが紹介されていて……。

――コアガズム?

田口 腹筋運動をしているうちにオーガズムに達しちゃうというもので、アメリカ女性の間ではよく知られているとか。これはサイト上でも「ホントにそんなものあるの!?」と盛り上がりました。この本がすごいなと思うのは、「言い訳」がいっぱい用意されていることです。女性が性のことに関心をもつには、やっぱりどこか言い訳が必要なんですよね。健康のためとか、美容のためとか。美容のためだし、と言いつつ本当はオーガズムのことを知りたい。そういう女性心理にぴたっとはまった本だなと。

――3冊目は『精神科女医が本気で考えた心と体を満足させるセックス』。ちょっとしたブームの女医さんが書いたセックス本ですね。

田口 精神科のお医者さまなので、テクニックよりもメンタル面で役に立つことが書かれていますね。男女がセックスに求めるものや恋愛観の違いが、医学用語を交えて分かりやすく説明されています。

――女性読者としても納得の内容?

田口 「ある、ある」と思いつつ読んでました。サイトでも反響があったし、そうだよなと納得したのは「女はキスなしでオーガズムを得られない」という指摘です。女性向けのAVってキスシーンが多いし、GIRL’S CHでもキスシーンが丁寧に描かれている動画は人気が高いんですよ。それを科学的に説明してもらって、なるほどと思いました。

――女医さんの本というのもポイントでしょうか。

田口 そうですね。説得力がありますし、「わたしは医学書を読んでるんです」っていうのは言い訳にもしやすいし。例えば『セックスカウンセラーが教える~』のようにセックスと直結してしまう露骨な本だと、女性はまだ手に取りにくいと思うんですよ。

――アダルトDVDを部屋に並べちゃう男子とは大違いですね。ちなみに、男性が読んで役に立つ本はどれでしょう。

田口 アダム徳永さんの『スローセックス完全マニュアル』はAV的な世界とは対極のことが書かれているので、一度読んでおいて損はないと思いますよ。男性の方でもガツガツした激しいセックスから、スローセックス的なものへ流れが変わってきている気もしますしね。

――セックスハウツー本は、今後どうなっていくんでしょう。

田口 『ちつトレ!』からオーガズムの部分だけを抜き出したような、よりダイレクトな本が登場するような気がします。動画サイトの反応を見るかぎり、みんなが本当に知りたいのはどうすれば気持ちよくなれるか、オーガズムを得られるかだと思う。今は女性がどんどん積極的になってきているので、そういう本が出てくるのも、時間の問題だと思います。

 今回あげていただいた3冊は「塾の勉強にたとえると、『ちつトレ!』は自習用、『精神科女医が本気で考えた~』は普通クラス用のテキスト、『スローセックス』は特進クラス用」という感じだとか。それぞれのレベルに合わせて、より深いセックス知識を身につけてください。なお、ここで紹介された3冊はGIRL’S CHの動画としても視聴可能。18歳以上の女性はそちらも要チェック!

取材・文=朝宮運河

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