「歩きスマホ」「自撮り」も収録! 『ジーニアス英和辞典』8年ぶりの大改訂は張り切りすぎ!?

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/21

ジーニアス英和辞典 第5版』(大修館書店)が、第4版から8年ぶりに大改定され2014年12月16日(火)に発売された。

最新の第5版では、「歩きスマホ:textwalking」、「自撮り写真:selfie」、「友だちリストから外す:defriend」など、多数の新語など約5000語句を追加して、収録語句数は約10万5,000となり、「『ジーニアス』史上最大の改訂」と呼ばれた第4版を上回る改定規模となった。

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さらに辞書の根幹部分である語義・用例を徹底的に見直し、より分かりやすくなっている。また、定評のある語法解説も最新の研究成果を踏まえて全面的にアップデート。さらに、英語を使ったり学んだりするうえで重要なコロケーション(=語と語の組み合わせ)や、類語比較の情報などを充実さている。巻末には、カラーイラストから事物の名称を知ることができるPicture Dictionaryを新設している。

「一から作るほうが楽だった?」担当編集者が語る改訂エピソード

『ジーニアス英和辞典』は前回、第4版で「『ジーニアス』史上最大の改訂」を行いましたから、今回は大規模な改訂をするつもりはありませんでした。しかし、初版からの編集主幹であった小西友七先生が第4版刊行間際に他界されて第5版では南出康世先生がただ1人の編集主幹になられたこと、編集委員や編集部のメンバーも第5版で大幅に変わったことにより、その方針はすぐに崩れました。私たちは『ジーニアス』を引き継ぐ者として、その使命感と責任感から張り切りすぎたのです。

第4版は1つの完成形ですが、それでも、つぶさに「研究」すると変えたい所がいろいろと出てきました。そのままで問題がなくても、「より分かりやすくするためにどうするか」「情報はどの程度まで示すのがよいか」といったことを考えると、正解がないだけにきりがありません。そして、辞書はいわば有機体ですから、何か1つ変えるだけで、連動して、同種の所、関連する所も逐一変えなければならなくなる。かくして、最終的に第5版の改訂規模は第4版を上回りました。第4版よりも間違いなく使いやすくなったはずですが、ここに至るまでは難航をきわめ、編集中「これなら一からつくる方が楽なんじゃないか」と思う瞬間が何度もありました。

<『ジーニアス英和辞典 第5版』の改訂ポイント>

■新語・新語義を多数追加――「英語の今」を反映
インターネットや新しいライフスタイルにかかわる語を中心に、多数の新語・新語義を追加。収録語句数は約10万5,000になっている。

[新語の例]

textwalking:歩きメール、歩きスマホ
selfie:セルフィー、自(分)撮り写真
defriend,de-friend:<人>を(SNSサイトなどの)友だちリストから外す

■コロケーションをより重視
掲載するコロケーションの数を大幅に増やし、学校やビジネスなどに関係する基本名詞には[コロケーション+]欄を新設。

ジーニアス英和辞典

コロケーションの例(e-mail 項)

■Picture Dictionaryを新設
カラーイラストページのPicture Dictionaryを巻末に新設。教室の授業風景をはじめ、家屋、街路・乗り物、地形・植物、人の動作などを美しいイラストに描き起こし、事物の名称を多数示している。

ジーニアス英和辞典

■語義の区分・配列を再検討
より分かりやすい語義区分と、使用頻度に合わせた語義配列を採用。また、重要な多義語にはインデックスを設け、知りたい語義がすぐに見つけられるように工夫している。

■前置詞のイメージがつかみやすい工夫
前置詞の意味の全体像を概念図や展開図で示し、意味の関連や広がりをイメージとして理解できるように工夫している。

ジーニアス英和辞典

前置詞の意味ネットワークを新設(over 項)

■類語の違いをわかりやすく解説
[類語比較]欄を約170か所に増やし、訳語を比べてもわからない類語の違いを、用例を示しながらわかりやすく解説。

ジーニアス英和辞典

【類語比較】欄を増強(retire 項)

■定評のある[語法]欄をアップグレード
最新の語法研究の成果を反映させ、[語法]欄の記述の見直しやアップデートを実施。英語の使用に際して学習者が疑問に思うこと、間違えやすいことについて具体的に分かりやすく解説している。

■用例を大幅差し替え
語句の使い方がよりわかりやすくなるよう、すべての用例を点検。使用実態に即したより適切な用例へと大幅な差し替えを行いました。

●『ジーニアス英和辞典 第5版
著者・編集主幹:南出康世
出版:大修館書店
価格:本体3,500円+税