第152回「芥川賞」は小野正嗣『九年前の祈り』に、「直木賞」は西加奈子『サラバ!』に決定

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/21

第152回芥川賞・直木賞(日本文学振興会主催)が発表された。選考会は15日、東京・築地の新喜楽で開かれ、「芥川賞」は小野正嗣『九年前の祈り』に、「直木賞」は西加奈子『サラバ!』に決定した。

【第152回 芥川賞・直木賞】
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芥川賞

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「九年前の祈り」(群像9月号)

小野正嗣

群像

地元の言葉で言うところの「ガイコツ人」=外国人との間にできた息子・希敏と共に、故郷に戻ってきたシングルマザーのさなえ。彼女を苦しめるのは、息子のなかの「引きちぎられたミミズ」だ――。九年の時を経て重なり合う二人の女性の思い。痛みと優しさに満ちた〈母と子〉の物語。

小野正嗣●1970年大分県生まれ。東京大学大学院総合文化研究科言語情報科学専攻博士課程単位取得満期退学、文学博士(パリ第8大学)。立教大学文学部文学科文芸・思想専修准教授。
『水に埋もれる墓』が第12回朝日新人文学賞を、『にぎやかな湾に背負われた船』が第15回三島由紀夫賞を受賞。過去に、「水死人の帰還」(02年文學界10月号)、「マイクロバス」(08年新潮4月号)、「獅子渡り鼻」(12年群像11月号)が芥川賞候補に。『経済成長がすべてか? デモクラシーが人文学を必要とする理由』などの翻訳も手掛ける。

直木賞

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『サラバ!』

西加奈子/小学館

サラバ 1977年5月、圷歩は、イランで生まれた。父の海外赴任先だ。チャーミングな母、変わり者の姉も一緒だった。イラン革命のあと、しばらく大阪に住んだ彼は小学生になり、今度はエジプトへ向かう。後の人生に大きな影響を与える、ある出来事が待ち受けている事も知らずに――。

西加奈子●1977年イラン・テヘラン生まれ。大阪、エジプト・カイロなどで幼少期を過ごす。関西大学法学部卒業。2004年『あおい』でデビュー。2005年『さくら』がベストセラーに。『きいろいゾウ』『円卓』は映像化される。過去に『ふくわらい』が直木賞候補に。

今月のプラチナ本『サラバ!』編集部の寸評はこちら

■第152回芥川賞候補作品
「惑星」(新潮8月号)上田岳弘
<受賞>「九年前の祈り」(群像9月号)小野正嗣
「ヌエのいた家」(文學界9月号)小谷野 敦
「影媛(かげひめ)」(新潮12月号)高尾長良
「指の骨」(新潮11月号)高橋弘希

■第152回直木賞候補作品
『鬼はもとより』(徳間書店)青山文平
『あなたの本当の人生は』(文藝春秋)大島真寿美
『宇喜多(うきた)の捨て嫁』(文藝春秋)木下昌輝
<受賞>『サラバ!』(小学館)西 加奈子
『悟浄出立(ごじょうしゅったつ)』(新潮社)万城目 学