えこひいき、極端な平等主義、ひらがな強制… 保護者のための「はずれ先生」対策

社会

更新日:2017/4/10

 子どもは親を選べない。自分が子どもだったとき、境遇を呪ったことがあるかもしれない。そんな自分が親になって、再び“選べない”もどかしさを実感するのが、保育園・幼稚園・小学校の担任発表のとき。熱心な先生が多いことはわかっているが、人には相性というものがある。だから、親としては「あたりの先生だ」「はずれの先生か…」と一喜一憂してしまう。わが子がかわいいのだ。早ければ、この世に生まれて1カ月も経たないうちに、くじが引かされる。毎年「あたり」が出続ける確率に期待するより、「はずれ先生」にあたったときの対策を知っておくほうが、よっぽど効率的である。

「はずれ先生」にあたったとき読む本』(青春出版社)は、7,500人の子どもを見てきた著者が明かす「はずれ先生」の対策集。相性の悪い先生、新人先生、えこひいき先生など、じつに60のケース別に具体的な対策が紹介されている。

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 近年、信じられないような先生の存在が取り上げられ、物議を醸す。好みで対応を変える先生、欠勤が多い先生、お友達先生、極端な平等主義先生、ひらがな表記を強制する先生、など「本当にいるのだろうか」と疑ってしまいたくなるような“都市伝説”先生は、少なからずいるらしい。いきすぎた顧客意識は自分をモンスターペアレント化させてしまう恐れがあるが、まるで子どもを人質に取られているかのように耐え忍び続ける必要はない。どんなはずれ先生でも、つきあい方のテクニックはあると本書は断言している。

【ケース1】好みで対応を変える先生

「できの悪い子ほど可愛い」と思う先生も、1を聞いて10響く子が好きな先生もいる。つまり、相性の問題。非協力的・モンスターペアレントの子どもは、どんな先生でも可愛いと思えない。つきあい方のポイントは3つ。

(1)共感する
先生が手を焼いているであろう特徴と、先生の対応への感謝を、声に出して伝える。

(2)手紙作戦
暑中見舞い、寒中見舞い、年賀状など、季節の挨拶を出す。子どもは「先生お元気ですか」などのメッセージを添える。

(3)プレゼント作戦
お中元、お歳暮とのし紙をつけて大げさにすると受け取ってもらえない。「子どもとクッキーを焼いたので召し上がってください」などと持って行く。

【ケース2】欠勤が多い先生

 自分の子どもの入学式と重なったため、入学式を欠席した担任がニュースになった。こういった特別な場合だけでなく、家族サービスのために有給休暇をとるなど、欠勤が目立つ先生がいるらしい。まずは、体質・体調の問題なのか、病気がちなのか、それ以外なのか、欠勤の理由を知ることが重要だという。前述の「家族サービスのための有給休暇」のケースについては、多忙で制約の多い先生の立場に一定の理解を示し、保護者が広い心を持つことも大切だ、としている。

【ケース3】お友達先生

 子どもとの垣根を低くし、フレンドリーで親しみやすい先生が増えているといわれる。確かに、新年度スタート直後こそ人気は出るが、だんだんとクラスのまとまりがなくなり、学級崩壊に至るケースもあるという。保護者は、個人面談や保護者会などで、先生の価値観を覆す必要がある、という。「授業態度が悪いときは厳しくしつけてくださっていっこうにかまいません」とはっきり伝えることで、先生としても「信頼関係を築かなくてはならない」という肩の荷が下りるそうだ。

【ケース4】極端な平等主義先生

 「運動会で手をつなぎみんなでゴール」がまことしやかに広まったが、同じ到達地点にクラスのみんながゴールインすることを最終目的にしている極端な平等主義の先生はいるらしい。たとえば、「全部、正解して偉いね」「100点をとって立派だね」という褒め方をしたり、二言目には「しっかり・ちゃんと・がんばって」を連呼するタイプの先生だ。保護者は、せめて家庭ではわが子とほかの子どもを比べることはせず、個人面談のときに「息子は2カ月前と今ではこんなに成長しました」などと先生が見落としてしまっている成長を細かく伝え、目を向けさせるとよい、としている。

【ケース5】ひらがな表記を強制する先生

 自分の名前を漢字で書けるのに、まだ習っていないからひらがなで書かなければならない、と言われる。習っていない漢字を書いたら、プリントの名前欄に大きく×が書かれてあった。こんな先生にあたったら、まず「書けるんだから漢字で書いてもいい」と内心で自分を納得させる。そして、子どものために工夫できる先生かどうかを観察することが重要だとしている。

 ものの見方はいろいろとある。相性がどうしても合わない先生とつきあっていく際に、自分の見方を変えて、先生の短所を長所と捉える方法もある。次のような変換だ。

おおざっぱ → 細かいことをネチネチ言わないで、伸び伸びさせてくれる
新人である → 何事にも一生懸命である
怒ってばかりいる。厳しい → しつけができる
冷たい → 子どもに振り回されない
親の意見を聞いてくれない → ポリシーを持っていてぶれない

 本書に書かれたはずれ先生の態度は、裏返せば、親としてやってはならない態度ともいえる。子どもへのふだんの接し方を見直すきっかけにするのも有りだろう。

文=ルートつつみ