その胸のドキドキは恋ではなく立派な病気! 病気か、それとも老化なのかを正しく見極めよう

健康

公開日:2015/2/21

 30歳を境に、友人たちとの会話に老化が原因と思われる内容が増えた。まずは腰が痛い、寝付きが悪い、眠りが浅い、健康診断で再検査した、健康を考えて××を始めた、徹夜をすると翌日が潰れる、疲れが抜けない、というようなことを訴え始め、これが40代に入ると、老眼が始まってものが見えづらくなった、聞き間違いをする、四十肩で手が上がらなくなった、人や物の名前がパッと出ない、それどころかまったく思い出せない、自分の枕のニオイに驚いた、といった本格的な症状となって現れてくる。こうなってくると、否が応でも「老化」を自覚することになる。

 人間の体というのは20~30歳くらいで成長が止まり、その後は老化していくという。皮膚科医によると肌は25歳前後から老化が始まるそうで、これがいわゆる「お肌の曲がり角」であり、この頃から女性は化粧のノリが悪いと感じることが増えてくるそうだ。確かに若いうちにそんなことを耳にして、頭ではわかっていたものの、「まだまだ先!」と思っていたら、30歳を過ぎて明らかに20代後半までとは違う自分の体に戸惑いを覚える…でも本当にこればっかりは、経験してみないと絶対にわからないものだ。

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 しかし「俺も年取ったな~」なんて笑ってばかりもいられない。その体の不調には「病気」が隠れている場合がある、しかも「重大な病気」のサインかもしれない、というのが『老化か? 病気か? それが問題だ。』(細井孝之/マガジンハウス)だ。「リストアップした症状の中にはすべての人に等しく生じる老化現象から、一刻の猶予もならない重大疾患までたくさんの可能性が含まれます」という本書には、次のような症状が解説されている。

 「急に胸がどきどきする」「新しいものごとが覚えられない」「一年が早く流れていく」「歯磨きをするときに“えずき”が増えた」「昔より瞼が垂れ下がってきた」「立ったまま靴下がはけない」「尿の勢いが弱くなった」「胃もたれしやすくなった」「電話の声が聞き取りにくい」「白髪や抜け毛が増えた」「お腹が出て来た」「爪の縦線が増えてきた」「やたら熱い湯に入りたくなった」…どうだろう、誰でも何かしら心当たりのある症状ばかりではないだろうか?

 これらの症状が「病気」か「老化」なのかを本書では端的に説明していく。ちなみに「急に胸がどきどきする」のは「病気」で、不整脈などの可能性があるので一度受診をした方がいいとある。最悪の場合、心原性の脳梗塞を引き起こすこともあるそうなので、これは命に関わる重大な病気のサインだ。「まだそんな年じゃないから大丈夫」という過信は時に危険となる。そう、その胸のドキドキは恋ではないのだ。

 本書のタイトルはシェイクスピアの『ハムレット』の有名なセリフ「生きるべきか、死ぬべきか、それが問題だ」のパロディだが、ロシアの文豪ツルゲーネフが規定した、人間の2つの型のひとつである「ハムレット型」は、内向的で懐疑的、物事を容易に決めず、なかなか行動に移さない思索を好む性格のことだ。

 これは個人的な意見だが、このタイプはストレスを溜めやすく、年齢を重ねるほど面倒臭い人になって、友達も少なくていつも鬱々としており、なかなかツラい不健康な日々を送っている人が多いような気がする。なので30代からはその真逆の、理想主義的な情熱家である「ドン=キホーテ型」を目指した方が、少々のことではへこたれず、楽しい人生を送れると思う。まあこちらもこじらせるとかなり面倒臭い人になってしまうが、ストレスとは無縁なドン=キホーテの方が、ハムレットよりは健康的なハズだ。

 老化は誰にでも等しく訪れるもので、避けることはできないが、努力次第で遅らせることはできる。それには生活環境を改善し、自分の体の状態に耳を傾けることが必要だ。30代以上は、自分がどれだけ自分に責任を取ってきたのかが如実に顔や体に出てしまうものだ。楽しく健康に過ごすために本書でチェックし、おかしいなと思ったらすぐに専門医に相談して欲しい。

文=成田全(ナリタタモツ)