【小学生男子あるある】なぜ彼らは傘を「おちょこ」にするのか?

出産・子育て

公開日:2015/3/17

 傘を持たせると、ひっくりかえして「おちょこ」にしなければ気がすまない。なぜか。彼らが小学生男子だからである。

 「小学生男子あるある」がぎっしり詰まった4コマエッセイコミック『小学生男子(ダンスィ)のトリセツ』(まきりえこ/扶桑社)が人気だ。キテレツな小学生男子の行動に悩む母親に向けて、付き合い方のヒントが事例を踏まえて紹介されている。ちなみに、タイトルの「男子」は「ダンスィ」と読む。インターネットの2ch育児板発の言葉で、「小学生男子の中でも、少年らしいやんちゃやいたずら、冒険心に富んだ遊び、自然と親しむ行動を好む男子」の総称である(女子は「ジョスィ」)。

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本書によると、小学生ダンスィの生態とは、主に次のようなものである。
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●水たまりをよける機能は付いていない。直進が基本。

●すべてのポケットになぜか砂が入っている。

●持ち帰ってくるプリントがいつも、ランドセルの中でアコーディオン状に圧縮加工されている。

●ジグザグに走れば、雨粒はすべてよけられると思っている。

●凹んでも再起動は3秒後。
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 大人にとってはゴミでも、異常な愛情を傾ける。たとえば、消しゴムのカス。小学生ダンスィには、立派な資源である。学校から帰ってくるなり、息子が満面の笑みで差し出してきたのは、「けしカスで作られた、巻きの完璧なうんこ」。練りに練ってあるので真っ黒。本書の作者である母親は、授業をきちんと聞いているのか心配になる。こういった愛情や情熱、根気を、どう勉強やスポーツなどに向けさせていくかが、親の力の見せどころである。

 小学3年生になり「ギャング期」が到来すると、友達と“アウトローなオレくらべ”が始まる。たとえば、「つーやぶ」と呼ばれる通学路破り。決められたルートではなく、仲間と決めてワクワクしながら帰る。発案者は、仲間から「おまえ、すっごいばか!」と最上級の褒め言葉がもらえる。帰り道で女子に見つかり、翌日、先生に叱られるとわかっていても、その日が楽しければ満足なのが小学生ダンスィ。母親としては、たくましさを評価しつつも、しっかりと叱らなければならない。

 小学生ダンスィは、大人が見過ごすようなささいなことに着目し、心を動かす。夏になると、玄関扉の覗き穴(ドアスコープ)から差し込む朝日で、扉向かいの壁に小さくできる丸い虹。「虹くん」と名づけたそれが今年初めてやって来たことを息子は知らせたいが、親は朝のしたくで忙しい。息子を学校に出してから気づくのは、虹が現れたであろう場所に貼られた「にじくん」と書いた付箋。汚したり、壊したり、話を聞かなかったりと親を年中やきもきさせる小学生ダンスィだが、「この子でよかった」と思わせる瞬間もある。

 たいへんでも、愛おしくても、小学生ダンスィの時期は必ず終わる。作者の息子は中学生になり、キテレツ具合が収まりつつあるというが、一抹の寂しさも感じているようだ。「日々やらかしてくれる彼らの姿」を心に刻んで、子育てを楽しんでほしいと、現役世代にメッセージを送っている。

文=ルートつつみ